特別講演会『未来につながるジャイアントパンダの子育て』とタンタンお嬢さま | ぱんだのーと

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パンダちゃんたちの愛くるしい姿を思った事とともに綴るのーとです

 

 

 

長年ジャイアントパンダの飼育に携わってこられた方のお話を聴いてみたい。

 

パンダさんの魅力にとり憑かれてから思い続けてた事が叶いました。

 

10月14日 王子動物園で行われた

アドベンチャーワールドの獣医師、中尾建子さんの特別講演会に

参加させて頂きました。

 

講演テーマは

『未来につながるジャイアントパンダの子育て』

 

 

 
 
 

知りたかった事、知らなかった事、知っていた事も、飼育員さんならではのエピソードを交えつつ話して下さるので、とても興味深く貴重なお話ばかり、とても楽しく拝聴しました。

 

 
 
個人の備忘メモとして

印象に残っている事を思った事と共に。

 

 

生まれたばかりの赤ちゃんのひみつ

生まれた時は体はもちろん、パーツも小さく未発達でそれぞれの機能も完全には果たしていない赤ちゃん。それに比べてお口と尻尾は大きくて、お口は母乳を飲むために、尻尾は水分を蓄えるためにそう出来ている。

 

 

やはり、未熟な赤ちゃんも

生きるための最低限の機能はしっかりと整ってるのですね。

 

たしかに存在感があって大きく開けられるようになってる!

 

 
 
 
そういえば、尻尾も潤ってみずみずしい感じがしてる。
 

 

 

 

 

一喜一憂の日々

75gとアドベンパンダさんのなかで一番小さく生まれたちび浜ちゃんの飼育現場では、少し母乳が飲めただけで喜び、どんな小さな変化にも一喜一憂する毎日だった。無事に育ったことは奇跡。

 

 

きっと私たちには想像つかないような

大変さ、重圧だったのだろうな。

 

そうして今

元気なちび浜ちゃんの姿を見せてもらえてること。

しみじみと、その有り難さを思う。

 

 

中尾さんが何度も力作だと力説されていた(笑)自作の赤ちゃん。

左:結浜197g  右:ちび浜ちゃん75g、 

 
 
 

 

 

体の柔らかさ、実は。

小さく未熟な状態で生まれてくるジャイアントパンダの赤ちゃん。お母さんは、体温調整が出来ない赤ちゃんの体温を保つために前屈姿勢で包み込むように抱いて世話をする。この抱き方は赤ちゃんが安心できる抱き方でもあり、ジャイアントパンダの体が柔らかく出来ているのは、そうして子供を守るためだと中尾さんは推測している。

 

 

いつもしっかりと抱え込んでるのは

ただ、愛おしいとか大切とかというだけの事ではなくて

子供の命を守るための行動なんやね。

 

*ここまでの母子の画像はアドベンチャーワールド公式HPより

 

 

 

 

赤ちゃんが自分で体温調整が出来るようになるまでは

寝る時も腕や胸の上において決して地面には下ろさないんだとか。

 

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2018.9.18

 

 

 

 

 

別の子だとは気づいていない疑惑(笑)

飼育下で双子が生まれた時、1頭ずつ入れ替えで母乳を与える、すり替え保育。お母さんは別の子だとは気付いていないのではないか。それは野生ではどちらか1頭しか育てないため、単独生活をするパンダさんは自分のテリトリーに、もう1頭別の子がいるということが、そもそもない状態だから。

 

 

現にお腹を空かせた方の子供を渡したときに

「えっ、今飲んだばっかりなのに、まだ飲むの?」

っていうような顔をして子供を見てるって。笑

 

そりゃあ、お母さんも

蜂蜜を食べてる間に子供を取り上げられて

戻ってきたのは別の子だって思いもよらないだろうし

とにかく、ず~っと飲み続けてるんだから

この子大丈夫かしら?って心配にもなってくるよねぇ。笑

 

だけど心配しつつも欲しがる子には母乳を与えねばならず

双子のお母さんは休む暇なし、本当に大変だ。

 

 

 

 

足ブロックの真相

母親が食事中に授乳をせがまれて、子を足ブロックしてるのをよく見かけますが、食事中の授乳を嫌がるのは、野生では子供から離れた場所で食事をする習性のため、食事中の授乳は有り得ない事で、その習性は飼育下のパンダさんでも同じだから。野生では母親の食事中、子供たちは安全な高い木の上で待っている。

 

 

あれは単に

お母さんのていたらく

という訳ではないんやね。笑

 

 

 

 

お母さんと過ごすことの大切さ

ジャイアントパンダは子供とよく遊ぶ動物。性差があり、男の子はお母さん大好きの甘えん坊で、女の子の方が自立しているので、女の子の場合、お母さんの方が遊びたくて子供を追いかける事もある。これまでのなかでは優浜の時にその傾向が強く、嫌がって逃げるのを追いかけてたことも。男の子の双子だった隆浜秋浜のお母さん争奪戦は熾烈だった。そうしてお母さんと過ごす時間の中で、生きていく上で大切な事を学んでいく。特に男の子同士でお母さんを奪い合うという経験は、将来の自然交配にいい影響をもたらし繁殖がうまくいく。

 

 

未来につながる子育て、その核心部分。

幼い時期にお母さんと過ごすという事が

どれだけ大切なのか、よくわかる。

 

今では貫禄たっぷりの隆浜、秋浜兄さんも

子供の時はお母さんにべったりやったんやね。

そう思うと何だかすごく可愛く思えてくる。笑

 

結浜は優浜ちゃんと同じ女の子のひとりっ子だけど

お母さんにベッタリの甘えん坊やった。

 

ちび浜ちゃんはどうなのかなぁ。

お母さんの懸命な子育てを見ていると

甘えん坊さんでいてあげて欲しいって思うなぁ。

 

 

 

こうしてみれば、

全ての行動や特徴には理由があって

それはつまり生きていくためであり

本能や習性によるものなんやね。

 

当たり前のこととはいえ

たくさんの貴重なお話を拝聴し

改めてそんなことを思った次第。

 

たくさんの事を学ばせて頂き、ありがとうございました。

 

 

 

 

最後に…

 

この日、最も印象に残ったこと。

 

 

これまでいちばん手がかかったのは?という質問に

「永明」と即答された中尾さん。

 

お腹が弱く食事を摂らなかったため

食べてくれる竹を探し歩いたり、試行錯誤の毎日

苦労させられたと…

 

だから、第1子である雄浜が生まれた時も

子供が生まれた嬉しさよりも永明さんが

繁殖の出来る立派なオスに育ってくれたことの方が

嬉しかったそう。

 

 

「甘やかし過ぎた。」

 

と話す中尾さんの笑顔からは

我が子に対する愛情のようなものが伝わってきました。

 

永明さんの可愛い盛りの娘たちがいても

やっぱり永明さんのことがいちばん可愛いんだろうなぁ。

 

2018.5.2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頂いたお土産。

 

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昼下がり

木洩れ日が気持ちよさそうだったタンタンお嬢さま。

 

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