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濱西のブログ 公益通報者保護法や関連する事件・訴訟・団体等を見張るブログ

公益通報者保護法や関連する事件・訴訟・団体等を見張っていきます

公守会の濱田さんがオリンパスの内部通報制度に疑問を呈しています
http://ameblo.jp/jpmax/entry-11437894922.html

まず、法律の目的を考えてみましょう
公益通報者保護法の目的は、法律の第一条に書いてあります
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO122.html

(目的)
第一条  この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに
公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、
公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、
もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。


よって、通報者が特定されないようにすることは、公益通報者の保護の目的のために必要な手段ではあるが
目的は通報者を保護し、法令遵守や健全な発展をすることです
だから、不利益が被らないのであれば、実名であろうが匿名であろうが問題ないのですが
現実的には通報者がバレると報復を受けることは確実なので、通報者がバレないように保護することも
通報者の保護のためには必要でしょう


企業側が通報窓口の規定を作る際に例外規定を設けたいのは気持ちとしてはわかりますが
オリンパスの通報窓口の規定で「例外的に、同社規程に従って通報者のお名前を同社に報告せざるを得ないことがあります」が
どのような状態が該当するのかを明示していないと、通報する側は怖くて通報できないでしょうね
その例として、「例えば、調査結果から悪意に基づく通報であったことが判明した場合や
他人の誹謗中傷、脅迫、恐喝など不正の目的でご通報・相談が行われた場合など」と書いてありますが
誰にとっての悪意か、悪意と善意は誰が決めるの?とかが曖昧な点が気になります

ただ、匿名云々よりも、もっと大事なことをオリンパスは忘れています

通報によって、通報者並びに関係者に不利益が被らないことを約束することや
この通報窓口の運用において、会社側が違反した場合の罰則について何も言及してないことの方が問題だと思います

仮に当時の濱田さんのケースで、第三者が通報して通報者が匿名で守られたとしたら
上司は通報前から苦言を呈し続けていた濱田さんを疑って、報復人事をするでしょうね
誰が通報しようと、関係者全員が保護されないと、通報者だけを保護しても無意味です

法改正の手順について、どんな方法でしようとしても
法律が決まるのは国会で、衆参それぞれ過半数以上で可決することです(参院否決→衆院2/3再可決もありますが)

そのためにすべきことは半数以上の国会議員に賛同してもらうことですが
濱田さん側の公守会の動きを見ていると、行政に働きかけて法律を改正しようという動きしか見えてきません
確かに、役人に訴えかけて法律を作ってもらって、閣法として法案を提出すれば
その法案の審議自体はすんなりと進んで、時の与党側の賛成多数で法律ができるでしょう
政局に左右されずに法改正ができる点はメリットがあるかもしれませんが
役人まかせで動いている現状を見てると、法改正への動きが進んでいるようには見えません
実際に公守会ブログでの活動報告を見ていると、陳情してから1年半たってやっと新たな実態調査が始まっただけで
その調査の内容も進み具合もまだ分からない状態です

以下、公守会の活動履歴を時系列で並べてみました

2011/03/03 公守会メンバーが消費者委員会に意見書を提出
2011/03/11 消費者委員会で消費者庁に調査を求める意見が採択される
2011/04/07 公守会が消費者庁長官(内閣の大臣ではない)宛てに意見・要望書を提出

その後、1年半以上行政側の動きが進んでいるかどうかわからない状況が続く

2012/10/19 公守会ブログ「平成24年度「消費者庁公益通報者保護法に関する実態調査」ようやく始まる」の投稿によれば
やっと調査の予算がついて、一般財団法人比較法研究センターによって調査が開始される
2012/11/27 公守会ブログ「動き始めた実態調査(消費者庁管轄)」~比較法研究センターの投稿で、調査のことを再紹介
2012/12/12 公守会ブログ「実態調査加速中」と投稿、ブログ内容はリンクだけで、消費者庁が定期的に調査しているものと
一般財団法人比較法研究センターの調査の再紹介
リンク先のページでは、平成24年度「消費者庁:公益通報者保護制度に関する実態調査」 を行っています。の
表記だけで10月時点から2ヶ月たっているが、調査が加速しているようには見ない内容だった

12月12日のリンクだけのブログについて、何の説明もないので、私は大西さんのブログで
後者のページに調査内容の詳しい説明がなかったため、前者の定期調査だけだと勘違いして加速中ではないと批判しましたが
後者の調査もホームページだけ見れば、加速中というほど進んでいるようには見えませんね
いつ調査が終わって公表されるのでしょうか?


行政に働きかけて官僚に法律を作ってもらうのも、やり方としては間違っていませんが
遅々として進まない状況を見ていると、これだけでは本当に改正できるか疑問に思います

公益通報者保護法の問題をもっと広めて国民全体に認識してもらうことは公守会としてもやっていると思いますが
(ただ、対オリンパスばかりのように感じてしまい他の活動状況があまりないのが残念です)
実際に法律を決める国会議員にも、重要な問題と認識されないことには
役人を動かして作らせるにしても、国民や議員の監視の目がないと、なかなかことが進んで行かないと思います

公守会にヤル気がないのであれば、まずは議員へのアンケート調査をここや2chの掲示板で検討していきたいと思います

安倍内閣の消費者担当大臣が先日決まりましたね

森雅子 内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全・少子化対策・男女共同参画)

ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E9%9B%85%E5%AD%90
公式ホームページ
http://www.morimasako.com/

6年前のインタビュー
「違法収益剥奪」と「ダイバシティ」で企業の経済犯罪を防げ
森雅子さん
金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室課長補佐・弁護士
https://jinjibu.jp/article/detl/keyperson/89/

インタビューを読むと、企業の犯罪についての厳罰化や

>会社の違法な行為には、断固「ノー」と言ってもらいたい。

と言っているので、公益通報に関しても理解を示してくれると思いますね

今こそ、「公益通報者が守られる社会を!ネットワーク」として
法改正を訴えていくいい機会ではないでしょうか

今を逃して政局が不安定になってしまってからでは
ここ数年のように消費者担当大臣が1年に3~4人も替わってしまう事態になるかもしれません

誰に訴えかけるにしても、本当に法改正を目指すのであれば、この年末年始のうちに
まず幅広く意見を集めることを始めなくては、何時まで経っても進まないでしょうね

まず、今の法律の問題点があればご意見を頂きたいです

このブログのお気に入りブログでリンクをさせて頂いている「ことのブログ」の大西さんのアイデアで他の市民団体と団結するっていうのもひとつの手段としてはいいと思いました

いきなり公守会(とりあえず、正式略称が決まるまでこう呼ばさせて頂きます)が
あまり関連性のない反原発運動と結びついて活動するのは無理があるし
関連性がないと、主張もお互いに相容れない場合もありますが
仙波さんに関連する分野の、裏金について活動している市民団体とか
串岡さんに関連する分野の、談合について活動している市民団体などと組んで
お互いの主張を発信しあっていけば、相乗効果が見込めると思います

報復人事に絡んで、「大人のいじめと子供のいじめ」と題して、いじめ問題に取り組む団体と連携するのもひとつの手です
考えれば、いろんなところと組んで主張できますね

濱田さんは自分の裁判ばかりに夢中になってしまうのが問題ですが
公守会で、一番活動しやすい位置にいるのは濱田さんだと思います
・裁判で勝訴し主張が認められた実績がある
・行政、立法、司法も中心は東京にあるので、東京在住で活動しやすい
・不遇な待遇を受けたとはいえ、平均より多い高収入を維持し続けている
・ブログなどの情報ツールを使いこなせる
などの有利な条件を兼ね揃えています

郵政選挙でも4年、民主党政権でも3年続いたんだから、今回の選挙で当面働きかける有力な政党は自民党に決まりました
弱者の権利を主張するところはほかっておいても賛同してくれます
もたもたしていて、安倍さんや自民党の悲願である憲法改正の動きが活発になれば、政党は公益通報者保護法なんて優先順位が下がるでしょう
今こそ、公守会は理想の法改正に向けて、動くいい機会だと思います
私たち国民も健全な法改正に向けて後押しをしましょう


公益通報者保護法の成立のきっかけとなったトナミ運輸の串岡さんの事件ですが
金額で考えるだけでも、かなりの不利益を被ったことがわかります

串岡さんの場合、裁判での請求額が4805万円のようです
(他の情報では4500万とありましたが、第三者の書評のページに書いてありました)
http://www.rakuraku-soft.com/bbs/koda/kd_01.php?id=99

訴えを起こしたのが、異動から28年後なので、1年あたりたった約171万円ですね
トナミ運輸の場合、電機メーカーと比べると年収は少なく、今年のデータでもホームディングスですら、平均年収は474万円です
http://yoikaisha.com/contents/company/9070.html

前述の書評によると、手取りが約18万で総支給額は約24万でした
賞与は求人案内で年2回昨年実績1.5ヶ月分とあるので、年収にすると、約324万円ですね
https://job13.mynavi.jp/13/pc/search/corp57675/employment.html

当時の物価や年収は今より金額的には少ないし、初めの方は平均以下の年収とはいえ
今の平均と比べても差額は1年あたり約150万円
150万×28年で4200万円ですから、実損分だけなら4805万は妥当かもしれないけど
串岡さんは元々幹部候補生として入社しているようですし、
精神的苦痛を含めたら、元々の請求額が少なすぎる気がしますね

勝ち取った金額も、1365万円と和解金の1800万円で、たった3165万円です
http://blogs.yahoo.co.jp/kabusuiriclub/40265029.html

32年も苦痛や脅迫に耐え忍んだ人に対する金額としては低すぎますね

もっと桁違いの額で訴訟を起こすことができないのかなと思ったけど
訴えを起こす請求金額によって、最初に印紙代が必要で、4800万円の請求でも16万4千円もかかります
控訴や上告まで考えると、73万8千円も訴えるだけで必要、しかもこれプラス弁護士費用もあります
もし、1億円の請求の場合は32万円、控訴や上告まで考えると、訴えるだけで144万円も必要です
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf

手取り18万円では最初の16万4千円でもかなりきついですよね

さらに、串岡さんの報復人事による不利益は、直接的な給与以外にも厚生年金の方でもかなり損していますよね

年金はこれから一生不利益が続いていくのだから
報復人事はその時点だけではなく、一生被害者を苦しめる非道な行為です

こういった先人たちの苦労が無駄にならないように、これからの活動をよりいっそう実行力のあるものにしなければなりませんね