for Dear Mother

for Dear Mother

今だから話せるロックギタリスト・ハマハチと今は亡き母親との270日 癌闘病物語

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おふくろ、元気でやってる?

そっちの世界はどうよ?

きっと悲しみも苦しみもない、最高の世界なんだろうな。

俺が行くには、まだ早い気がするから、もう少し待っててくれよな。

でも、生前はホントによく頑張ったよな。

俺なら、あそこまで頑張れなかったと思う。

俺も見習わなきゃな。

てか、今までホント、心配ばっかりかけて、ごめんな。

でも、今はしっかりやってるよ!

あっ、霊界があるとしたら、おふくろは俺を見てると思うから

いちいち言わなくてもわかるよな(笑)

てか本当に産んでくれてありがとう!

親父は俺を堕ろさせようとしてたんだよな?

なのにそれを無視して産んでくれて本当にありがとう。

生きてると辛い事の方が多い気がするけど、

俺はおふくろの子供として、産まれてきて、

本当に良かったと思ってるよ!

今は、俺達、別々の世界だけど魂は永遠だよ。

そして、いつでも一緒だからな。

最後に一万点くれてありがとな。

なんか少し、救われた気がしたよ!

じゃ、またどっかで!

バイバイ!!




後書き




まず、ここまで長々と読んでくださった方々に心から感謝いたします。

最初にも書きましたが「母親の死」というのは、受け捉え方も十人十色だと思います。


文中に出て来る暴言や悪態の数々は、平静な今、客観的にみると、確かにありえない

言動であると共に、これを読んでいただいた皆様に嫌悪感を与えてしまったのではないかと、

大変申し訳なくも思っております。

しかし、最初に書いた様に、十人十色です。

ウソの文面で感動してもらおうなど、これっぽっちもありません。

なので、大ひんしゅくを覚悟してありのままを描写する事とした訳です。


この話を通して何を伝えたかったかというものもありません。

が、しいて言うなら、今だに無くならない医療ミスや崩れ出している親子関係等が、

少しでも改善されていってくれたら、という思いを、切に願っているだけです。

そして、これだけは言えるでしょう。

母親ほど無償で愛をくれ、いつでも味方をしてくれる人はこの世にはいない。

今の世の中、例外もありますが、敢えてそれらは無視させて下さい。


そして、今現在も多くの方が毎日毎日ガンで亡くなられています。

本当に憎むべき病気です。

1日も早く、それが終末期であっても治せるという医療を心から願ってやみません。


それと、もう1つ。

今現在、親御さんが健在であり、そこに感謝の気持ちや愛を少しでもお持ちの方、

どうか恥ずかしがらずに「ありがとう」や「愛してる」の言葉をその親御さんが亡くなる前に

プレゼントしてあげて下さい。

そして、身内が少しでも「おかしい」と思ったら、即、病院に連れて行ってあげて下さい。

そうすれば俺のような後悔を一生背負っていかなくても済むはずです。


親子関係において、そんな言葉をいちいち口に出さなくても十分伝わり合えている事も

わかるのですが、言葉には物凄いパワーがあります。

死んでしまってからでは永遠に伝える事が出来なくなってしまいます。

どうかその前に。


長くなりましたが、ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。


                                                ハマハチ

バタバタとしながらも四十九日が過ぎ、おふくろの骨つぼをお墓へと納骨する日がやってきた。

俺は、みんなが集まる前にもう1度、骨つぼのフタを開け、骨を触りながら、おふくろとあーだのこうだの

話をしていた。

「さぁ、時間だ、おふくろ、墓に入りに行くぞ!」

そう言うと俺はおふくろの遺骨を抱き、お墓へと向かった。

お坊さんや親戚連中、それに弟もみんな集まっていた。

そこでまたお経をあげてもらい、一通りの式が終わった。

普通ならこの後、みんなで食事でも、となるのだろうが、敢えてそうしなかった事は言うまでもない。

「おふくろ、これで全て終わったよ。後は、マンションの解約手続きをして、俺は東京に戻るよ。

で、また来るから、じゃあな!」

そう告げると俺は墓を後にした。


後日「さぁ、大変だな、これだけの荷物をどうしよう。まず、必要な物といらない物と分けていこうぜ」

俺と弟で、それらの作業を開始した。

そうこうしているうちに頼んであった引越し屋さんも来てくれて、作業が続いた。


全て、おふくろが使っていた物だけに処分するのは本当に辛かったが、そんな事を言っていたら

いつまで経っても片付かない。

仕方なく、涙を呑んで作業を続けた。

全ての作業が終わり、処分するトラックと東京へ行く俺の荷物が入ったトラック、2台のトラックが

去って行った。

そして、すぐに不動産屋を呼び、解約の手続きを済ませ、俺はおふくろの過ごしていた部屋を後にした。

東京での引越し屋さんとの待ち合わせもあるので、俺はその足で東京へと戻って来た。


追伸 おふくろはガンだと分かる直前に健康だからといって健康保険を解約していた。

よりによって・・・。

なので残された俺や弟に遺産など入る訳もなく、お墓を建てるまでの大金調達が、どれほど大変

だったのかは、安易に想像がつくだろう。

保険は大事です。


それからひと月が経ち、俺の生活も徐々にではあるが、元に戻り始めていた。

おふくろが入院してから、本当に色々あったが、おふくろは俺にとても大きな何かを残してくれて

いった気がしている。

「おふくろ!ありがとう!愛してるぜ!またな!」


つづく・・・。

骨になったおふくろを、生前おふくろが過ごしていた家に連れて来ると、俺はまず、

葬儀屋の用意した祭壇を組み立て、遺骨と遺影、そして花などのお供え物を並べた。

ローソクを付けて、しばらくその前に座り込んでいた。

遺骨だけは抱いたままだった。

「おふくろ、長かったけどやっと戻って来れたな。どぉ?やっぱ安心するだろ?

でも57歳は、若過ぎたな。

考えてみれば、タバコやアルコールが原因でガンになって死んだ訳じゃん?

俺よりロックンロールしてるよな(笑)さすが俺のおふくろって感じだよ」

そんな事をひたすら語り掛けながら時間が過ぎていった。

おふくろの家は賃貸のマンションだったので、納骨が終わったら引き払わなければいけなかった。

おふくろの思い出、モノ、匂いなどがまだたくさん残っているだけに、かなり辛いものがあるが

仕方ない。

そうこうしているうちに俺にも、どっと疲れが押し寄せてきたので風呂に入って眠る事にした。

ベッドに入る前、おふくろの入院中、いつも帰り際にやっていた握手をする為に

俺はおふくろの骨つぼへ手を差し出した。

「お疲れな。おやすみ」

そういうと俺は眠りについた。

おふくろが家に帰って来て、しばらくは、部屋の引き渡しに向けて荷物整理等する必要があった。


すると翌日にはすぐにおふくろの1番上の姉が他の親戚を連れてやって来た。

家に来てほんの少しおふくろの祭壇に手を合わせた。

そいつらの行動は、想像通りのものだった。

おふくろの着ていた服や身に付けていたアクセサリーから化粧品に至るまで、次から次へと

物色しだしていた。

「こんないい物持ってたのー!?これあたしもらってくから、これあんた持ってきな!

これもいいじゃない」

そんな会話を俺の目の前で展開している。

ここまでくると怒りの感情は、既に無くなっている。

「呆れ」以外の何ものでもない。

海外のニュースなどで災害時に店に入り、略奪行為が行われているシーンを目にするが

まさにそれであった。

自分たちの気に入った物を次から次へと車に運び、満足するとすぐに帰って行った。

残ったのは荒らされ放題荒らされたおふくろの部屋とゴミだけだった。

俺はその後奴らが散らかすだけ散らかしていったおふくろの部屋を片付けながら、わずかばかしの

おふくろの形見を小さな箱へと詰めてそれを大切にキープした。


「おふくろの姉妹がした事だし、俺はもう何も言わないよ」

そう骨つぼに向かい言っていた。

それから、毎日、朝起きては

「おはよー!」とおふくろの所へ行き、水や花、お供え物等を変え、昼間は、骨つぼの蓋を開け

おふくろの骨を触りながら話し続け、夜、寝る前に

おやすみ!」と握手する手マネをして眠りに付く。

そんな毎日が続いた。

数日経ったある日の夜、不思議な事が起きた。

いつものように俺は入浴を済ませ、ベッドに入るとその日は中々寝付けないでいた。

マンションが道路に面していない事もあり、とても静かだった。

部屋は静まり返り、明かりも消していたので真っ暗で、目を開けていても何も見えない暗闇だ。

俺は上を向いたまま、その暗闇の中で目を開けて考え事をしていた。

その時だった。

俺が引っ越して来た時のままのダンボール箱の山に強烈な光が浮かび上がった。

青に近い、白い光だった。

俺はとにかく驚いた。

車の光でもないし、何だこれは?

もしかしておふくろ?


次の瞬間、大事な事を思い出した。

いけねぇ、おふくろと握手するのを忘れてた!!

俺はすぐに明かりを付けて祭壇のある部屋に急いだ。

「ごめん、ごめん、握手するの忘れてたな(笑)」

そう言いながらいつものように手を差し出した。

「おやすみ」

そしてまた俺はベッドへ戻ったが、さっきまでの光はすっかり消えていた。

やっぱりおふくろだったのかなぁ?

握手、忘れてるぞ!って言いに来たのかなぁ。

本当におふくろなら一言でいいから話がしたかったなぁ。

そんな事を考えながら俺は眠りについた。

基本的に霊現象など信じないが、この時の光だけは未だに不思議である。

それ以来、この光を見る事は1度も無くなった。

成仏したのかなぁ、おふくろ・・・。


つづく・・・。