ー王都 グレイシア 裏路地 とある部屋ー
「さてと、名前決まったんなら次は住む場所だな。」
俺はいつの間にか、こいつを疑わなくなっていた。
俺が理由を考えていると、「...にーたん?どうしたの?」
そうか。やっと理解した。この曇りのないまっすぐな瞳。
こんな子どもを疑っていたなんて、俺はどうかしていた。
だからと言って、一緒に住むわけには...........。
「にーたんと一緒、いられる?シロ!にーたんと一緒、嬉しい!にーたんといれるならどこでもいい!」
おいおい、そんなまっすぐな目で見るなよ...........。
「だったら、明日の明け方出発だ。ちゃんと準備しろよ。」
俺がそう言うと、シロはせっせと荷物を用意しだした。
シロがはしゃいでいるのを見て、俺はそのうちに、この王都で得た情報を整理する。
この王都は深い闇が潜んでいる気がする。一刻も早くこの街から出たほうが良さそうだ。
(なるべく、人の少ない場所がいいな。それでいて住むには苦労しない街が。)
やはりそんな都合のいい街はなく、
「仕方ない。貿易の盛んな港町か、海か山が近くにある街にするか。」
ふと気になってシロを見ると、シロはまだせっせと荷物を用意していた。
「...シロ?持って行くのは大切なものだけで、そんなに持っていけないぞ?」
シロのバックは大きく膨れ上がっていて、今にも弾けそうだった。
中身は、ほとんどがゴミみたいなものだ。
「でも、シロ、これいる!」
シロは以外と強情な性格みたいだ。頬を膨らませてごねている。
「だったらここでお別れだ。嫌なら早く捨てろ。」
少し冷たく言うと、シロはしぶしぶと捨てた。
「さてと、移動には馬車を使ったほうが良さそうだな。」
俺がまた考え事をしていると、ドアが開けられて、缶のようなものからいきなり白い煙のようなものが出て来た!
(.....っ!な...ん...だ...!?)
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目をさました俺の目には信じられない光景が広がっていた!
俺の視界には、荒らされた部屋と、無理矢理こじ開けられたように歪んだドア。
そこにシロの姿はなかった...........。
「.....っクソ!!一体なんなんだよ!シロ?どこなんだ!シロ!」
俺の脳裏に嫌な考えが過る。『誘拐』おそらく、シロは人攫いにあったのだろう。
(....どうする?何か手がかりは!....?あれは、)
見つけたのは、先ほどシロのバックに弾けそうなくらい詰め込まれていたゴミみたいなもので、キラキラしているものがあった。
「これは、砂金!?シロのやつ、こんなものまで持ってたのか!だが、これで!」
俺は灯りを持って急いで部屋を飛び出し、道を照らした。すると......。
(やっぱり、思った通りだ。道にほんの少しだが砂金が落ちてる。)
だが、これもあまり多くはないだろう。俺はコレを頼りに疾走した。
ー王都 貿易港ー
「へへへ。こいつはいいのが手に入ったなぁ!高く売れそうだぜ。」
人攫いたちは笑みを浮かべて、シロを見ている。
「んーーーっ!んー!んんー!」
シロは必死に抵抗するが、手足を縛られていて、身動きが取れない!
「おいおい、嬢ちゃん。あんまり騒ぐんじゃねぇぞ?威勢がよすぎると後で痛い目にあうぜ?」
人攫いは手に持ったナイフをチラつかせて、シロを脅していた。
「兄貴~!出港の準備ができましたぜー!」
人攫いたちは着々と準備を進めている。
(にーたん!助けて!)シロは必死に助けを求めるが、人攫いたちは、
「よーし、そろそろ出港だ!船を出せ!」
船長らしい男が掛け声を出すと、船が動き出した!
ーとある海の上ー
「今夜は宴だぁぁ!!祭りじゃぁぁ!!飲めや歌えや!!ガハハハハ!!」
人攫いたちはどうやら、『海賊』らしい。
船の上で騒いでいる。
「こんなにたくさんの奴隷が手に入るとはなあ!流石は王都と言うべきか!ガハハハハ!」
どうやら、シロの他にも攫われた人がいたようだ。
《へぇ~、祭りか。楽しそうだなぁ~》
突如船に響き渡る声。
「っだ、誰だ!!姿を見せろ!!」海賊たちは驚きを隠せない様子で叫ぶ。
《俺がもっと楽しい祭りに招待してやるよ!》
声が響き渡ると同時に帆の上からいきなり人が飛び降りて来た!
リュウだ!!
リュウはこれ以上ないような不敵な笑みを浮かべて、
「ただし、お前らの血祭りだけどな♫」
そう言うと、眼にも止まらぬ速さで駆け出し、次々と海賊たちを文字通り『薙ぎ倒し』ていった!
「だ、誰なんだてめぇは!」海賊の船長は、怯えながら問う。
辺りの海賊を一人残らず薙ぎ倒すと、船長に向かって、答えた。
「誰かって?見てわかんだろ...『俺は俺だ♪』強いて言うなら、貴様らを殺しに来た。」
リュウはかなりキレているらしく、指をゴキッ!と鳴らして、殺意に満ちた顔で歩み寄っている。
「......覚悟はできてんだろうな?」
そういったかと思えば、リュウはもう船長の目の前にいた。
「ヒイッ!!」船長は、化け物を見るような顔でリュウを見ていた。
「まず、お前に聞きたいことがある♪『誰に命令されてやった?』待つのは嫌いなんでね。5秒ごとに貴様の手足を1本1本砕いていくとしよう♪」
「だ、誰が貴様なんかに!」
ゴキッ!鈍い音が響く。右手を砕いた音だ。
「ぐ!!ああああぁぁぁぁぁ!!!」
「ほら、早く言えよ。お前が言わなくても、お前の部下もいるんだ、誰か1人くらい言うと思うぞ?」
「う、うるさい!絶対に言わん!」
「あっそ。んじゃ、左手も♪」
また鈍い音が響く。
「ぐああああぁぁぁぁぁ!!!うっ...」
「どうだ?言う気になったか?ほら、5~」
「し、知らないんだ!信じてくれ!嘘じゃない!」
続いて左足の砕ける音。
「知らないわけないだろ。嘘はいけないな~。それにしても、全然言わないね~、君。そうだ、追加ルールね♪次の右足でも言わなかったら、君の首を頂こう♪5,4,」ニコニコしながらいうリュウを見て船長は涙を流して命を乞うだけだった。
「わかった!言う!言うから待ってくれ!」
「ヤ・ダ♪」リュウの拳が海賊の船長をの最後の右足を砕く音が響いた。
「うっ....そんな....あんまりだ!」泣きじゃくる船長を見て、
「言ったよなぁ。俺は待つのは嫌いだって。自業自得だ♪」
そして、リュウの手が海賊の船長の首に近づいた瞬間。
「言う!『ローレン』だ!その男に言われてやったんだ!嘘じゃない!他のやつらにも確認してもいい!」
「やっと言ったか。だいぶ面倒をかけさせてくれたなぁ。もうお前らに用はない。死んでくれ♪」
リュウは躊躇いなく海賊の船長を海に落とした。両手両足を砕かれた男は、抵抗もできずに哀れに海底へ沈んでいった。
