「木村拓哉さんのアイデアに助けられました」三ツ星シェフが明かす『グランメゾン東京』監修秘話
「グランメゾン東京」の監修を受けた理由
岸田さんは33歳、当時最年少の若さでミシュラン三ツ星を獲得。数々の美食家を唸らせる、こだわりぬいたフレンチを作るだけにとどまらず、「ランチ営業を止める」「直前のキャンセルに対しキャンセル料を取る」など飲食業界の「常識」を変え、水産資源枯渇の問題にも積極的に発言するなど、業界の第一線を走り続けている。そんな岸田氏は去年、「ドラマの監修」という新たな挑戦をした。その背景には、新型コロナウイルスの問題の前から感じていた、飲食業界への危機感があった。
木村さんの影響力は尋常じゃない
有働 昔、木村拓哉さん主演で「ビューティフルライフ」というドラマがありましたが、木村さんが美容師役をやったら、美容師の志願者がバーンと増えたそうですね。
岸田 僕がやりたかったのはまさにそれなんです。普段行く美容院の方から「放送後、3年間美容師が増えたから、その世代の美容師が一番多い」と聞きまして。その頃は美容師の専門学校まで出来たというんです。それで木村さんの影響力は尋常じゃないぞ、この仕事は飲食業界のために必ずやらなきゃいけないことだと思いました。
木村さんは、撮影中にアイデアをどんどん出してくれるんです。ドラマの最初はスケジュールに余裕があるのですが、終盤に差し掛かるとどんどん切羽詰まってくる。毎回1話につき1品のレシピを考えればよかったのですが、最終回では1週間で全部のメニューを一新することになって「とても間に合わない」と思っていました。そうしたら、木村さんのほうから、「この調理法でこうやったらどうか」とか、「こうすると見栄えがよくなるんじゃないか」とご提案をいただいて。特に最終話のマグロの料理は、木村さんが逆提案してくれたから生まれたようなものだったので、本当に助かりました。