「光輝く生の実感なんて、波瀾万丈のドラマにしかないと

思ってた。でも、本当は、ささやかな日々の積み重ねが、

こすり合わされて灯をともし、

その人の生涯を照らすものではないのか。

そして、照り返しで、死を確認した時、満ち足りた気持で、

生に飽きることが出来る。

私は、死を思いながら、死ぬまで、生きて行く。

今わの際に、御馳走さま、とひと言、呟くために。

その道中の楽しみを与えてくれたのは、目の前の男だ。」

 

「無銭優雅」山田詠美 幻冬舎 2007

~『牛肉の上等を入れたおから』