こんにちわ。皆さんお変わりないですか?コーネリアスです。今回は、ユダヤタルムードの教え第二弾、『金の冠をかぶった雀』の小話をお送りしたいと思います。これは、タルムードの中に小話、説話として納められているものです。そうですね、子供向けの絵本なんかも出てるので、もしかしたらご存知の方もいるんじゃないかと思います。

富を他人に見せびらかすと…

 

 お話の内容は以下の通りです。

★『金の冠をかぶった雀』

ある日ユダヤの賢帝ソロモン王は、鷲の背に乗って空から領内を隅々まで視察していました。エルサレムから遥か彼方の領国を飛行中に、ソロモン王は急に体調が悪くなり、鷲から落ちそうになりました。それを見ていた雀たちは、何百羽と寄って来て、鷲から落ちそうになった王様を支え、王のピンチを救いました。これに感謝したソロモン王は雀たちに次のように言いました…

 

『助けてくれてありがとう。礼としてお前たちに何でも欲しいものを授けよう。遠慮なく申すが良い。』

雀たちに救われたソロモン王

 

 

『ありがとうございます、王様!頂戴するものについては、一度皆で相談した上で、改めてお願いしようと思います。少しお時間を頂けないでしょうか?』

 

『分かった。意見が纏まったら、余の宮殿まで来るが良い。』

 

 雀たちは巣に戻り何を貰うか大議論した。しかし、皆勝手な事ばかり主張するので話が纏まらない。『何時でも身を隠しておける葡萄畑』、『何時でも水が飲める池』、『何時でも食べ物に困らないように、野原に落穂をまいてもらう』…等々色んな意見が出た。そんな中、ある雀がこう言った…

 

『ねえみんな、ソロモン王と同じ金の冠を被って空を飛んだらどんな気分だろうね…きっと格好良くて誇らしいんだろうなあ…』

 

『…そうだなあ、お前!それ良いなあ。なあみんな!金の冠!これで良くねえか?オレは賛成だ!』

 

『オレもだ!金の冠、イケてるよ!』、『俺も賛成!』、『ワタシも!』…こうして雀たち全員が『そうだ、そうだ』と言い出し、意見は纏まりました。

 

 数日後、雀の代表がソロモン王の宮殿へ行き、『王様、意見が纏まりました。王様と同じ金の冠を僕たち全員に下さい。それが僕たちの願いです。』と申し出た。

 

それを聞いたソロモン王は、少し困った表情で、『それはあまり良い考えでは無いのように、余には思えるが…お前たちはどうしてもそれが欲しいのか?』

 

雀たちは、『是非とも金の冠を下さい!』と繰り返した。

 

『…そうか、分かった。これは約束だったからな。確かに余はお前たちに何でも欲しいものと言ったからな。約束は守ろう。』とソロモン王は、雀たちのたっての願いを叶えた。

 

 金の冠を被ったイスラエルの雀たちは、嬉々として大空を飛び回った。今まで猟師たちは、雀などには目もくれなかったが、金の冠を被っている為、全国で雀が狩られるようになり始めた。仲間たちは次々射殺され、イスラエルの雀はとうとう最後の五羽になってしまった。

国中の猟師が雀狩りを始めた…何でこうなるの?

 

 生き残った五羽の雀たちは、命からがらソロモン王の宮殿までやって来た。そして、ソロモン王に金の冠を丁重に返して、次のように言った。

 

『私たちが間違っておりました、王様。金の冠はもう要りません。王にお返し致します…』

 

冠を外した途端、平和を獲得した雀たち…

 

 雀から金の冠が外され、少しずつ雀は平和を取り戻し、何年かの後にまた元の数に戻ったとの事でした。

 

 この説話から得られる教訓とは、

①『富や財産は、他人に見せびらかすな』

②『大きな富を得たからといって、調子に乗るな、派手な生活をするな』

です。結局は雀たちのように財産を狙われ、身を滅ぼしかねないからです。この世の中、人の世には確かに善人が多いと思いますが、それと同じくらい悪人も多いです。悲しいかなこれが現実です。なので、雀たちのような振る舞いをしてると、そういった人たちに狙われるわけです。持ってる財産がね。ここで雀というところがネックですね。これが鷲やコンドルなら襲われませんよ、多分。理由は強いから。雀は、一般的に考えれば、いわゆる弱者ですよね。この説話はこの辺のところも含んでいるわけです。つまり、社会の弱者こそ、富や金を他人に見せびらかすなかれ、という事ですね。言われてみれば、ごもっともな話です。でも、人間というのは突然大金が転がり込んだり、何かで予想外の利益を得たりすると、調子に乗ってしまうところありませんかね。嬉しさと同時に気持ちも大きくなったりとか…そのせいで油断したり…そうすると、危ないですよ、とこの説話は我々に教えてくれています。人生油断大敵、気を付けましょう。