こんにちわ。皆さんご機嫌いかがですか?コーネリアスです。今回は、北欧のある島を巡っての話から、現代日本の状況を考えてみたいと思います。

バレンツ海に位置するスヴァールバル諸島の中心的島

 

 一般の読者の皆さんにはあまり聞き覚えの無い名前だと思います。かく言う私コーネリアスも実はつい数年前に知りました。この『スピッツベルゲン』という言葉は、どうもオランダ語のようで、意味は『尖った山々』という事らしいです。16世紀にオランダの探検家が命名したようです。場所は、上記の地図のように、ノルウェーの北方のバレンツ海上に位置しています。で、現在はノルウェー領となっています、一応ね。何でこう言う言い方をするかというと、ここちょっとややこしいと言うか、歴史的にも複雑な場所なんですよ。ヨーロッパの歴史を時系列に追った時、複数の国々が色々な形で此処に関わっているからです。なんで、そのような事が起きたかと言うと、その土地に思ってもいない『恵み』というか『付加価値』がついてしまうからなんですね…

スピッツベルゲン島の風景

 

 歴史から見ると、どうも最初はいわゆる『北方の捕鯨基地』として、色々な国々が関わったようです。16、17世紀頃です。この近海で鯨が多く取れたからでした。近隣のノルウェー、ロシア以外に、ベルギー、イギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデン等々です。但し、古代からこの頃に至るまで、此処の領有権は未だどこの国にもありませんでした。ある意味で、『みんなの共有地』的場所だったわけです。で、最初に此処の領有権を主張し始めたのが最近隣国のノルウェーでした。歴史的にも一番最初に其処に住み着いたのが彼等だったようなのです。そうした事も根拠に領有権を主張しました。19世紀の事です。その後、此処が俄然クローズアップされ始めます。一つは北極圏観光の拠点として、いわゆる観光資源ですね、そしてもう一つが石炭鉱床の発見でした。この石炭の発見が此処のその後の運命を大きく変える事となります。この石炭を目指して、ロシア(厳密には当時のロマノフ王朝ロシア帝国)、アメリカが参入してきます。

 さて、ロシアですが、石炭が発見された途端に次ように主張を始めます…『ノルウェーが言うより遥か大昔、我々の先祖たちはその辺り(スピッツベルゲン)で、ホッキョクグマやアザラシを狩猟していたんだ。だから領有権はノルウェーじゃなく、我々ロシアにある。』とね。そして、此処に炭鉱の施設を作ります。メイドインロシアのね。これだけなら、まあロシアも隣国と言えば隣国なんで分からないでもないんですが、ここに何とアメリカまでしゃしゃり出て来て、領有権を主張します。そして『その石炭はオレのもの』とばかりにロシア同様、炭鉱施設を作ってしまいます。このアメリカに関しては、一体何が領有の根拠なのかさっぱり分かりません…いずれにしても、こんな経緯でスピッツベルゲン島を巡り、ノルウェー🇳🇴、ロシア🇷🇺、アメリカ🇺🇸が領有権争いを始めるわけです。とはいえ現実的には人口比率的には、やはりノルウェー人が一番多いのですが、ロシア人も数多く入植。その殆どが炭鉱労働者でした。採炭地のバレンツブルクという所にはちょっとした『ロシア人街』が出来ていたほどで、この地域ではロシア語が飛び交い、ロシア料理店なども立ち並んでいたそうです。そう、これちょっとしたいわゆる『実効支配』ですね。で、これはロシア帝国が滅びソ連になっても継承されたようです。また、此処スピッツベルゲン島では、オーロラも見れると言う事で、これが次第に世界中に広まり、いわゆる観光地としても再度大きく注目されるようになりました。

オーロラの観光地としても有名

 

 そう、最初は何処にでもある何の変哲もない島だったんですが、石炭というエネルギー資源、オーロラ、極地観光といった観光資源が付加された事で状況が一変してしまったわけです。途端に島の価値が高まり、色んな国が『其処はオレのもの!』と言い出したわけです。全く、『人の世』というのはみんな現金だ…で、このままでは当然利権を巡って戦争という事になりそうなので、1920年にある国際条約が締結され、取り敢えず丸く収まりました。それがスヴァールバル条約と言うものです。この条約で以下のようなルールが制定されました。

★スヴァールバル条約

①スピッツベルゲン島はじめのスヴァールバル諸島の領有権はノルウェーが有するものとする。

②但し、此処ではノルウェー国の法律は適用外とする。

③法的には本条約でのルールが適用される。

④本地域は非武装地帯とする。

⑤本条約の加盟国は本地域で自由に経済活動が出来る。

⑥租税について→本地域で徴収された税は、ノルウェー本国への流用を禁ずる→税は諸島内のみで使用。

主なところはこんな感じです。で、現在此処には40を超える加盟国が加盟しています。勿論我が日本も加盟しています。まあ、ある意味、国際的にはノルウェー領ですが、事実上は国際機関が統治してますよ、という事ですね。ある種二重体制です。これを見ていた時私コーネリアスは、これに大変よく似た中東のある都市を思い出しました。イスラエル🇮🇱のエルサレムです。エルサレムというのはイスラエルの一都市なのですが、過去の人類歴史において此処を巡り数多くの(宗教)戦争が引き起こされた為、第二次世界大戦後、イスラエル建国の後、此処は国連が直接管理する事となりました。なので、領有権はイスラエルですが、その管理は国連が行っています。イスラエル政府は口が挟めないというか、勝手に何でも決めて実施するとはいかないわけです。国連の許可が必要となります。

 さて、このスピッツベルゲンを巡るエピソードを見た時、私コーネリアスはこれを日本に置き換えてみました。すると二つの事が頭をよぎりました。一つが『尖閣』、もう一つが『北方領土』です。尖閣と言えば、現在日本と中国でゴタゴタ揉めている地域ですが、そもそもいつから中国は此処の領有権を主張し出したのか?確かコレ、鄧小平が国家主席だった時のように覚えています。私の記憶では当時確かどこかしらの学術機関か何かがこの周辺の地質調査をした際、尖閣周辺の地下に原油や天然ガスの埋蔵が確認されたとの事なのです。この報道が出た後、彼等が領有権の主張を始めたんです。何か似てませんか、スピッツベルゲンの時のロシア、アメリカと…そもそも中国という国は確かに大国ではあるのですが、エネルギーに関しては、エネルギー小国です。自国の大地からは、原油、天然ガス等は殆ど取れません。にも拘らず人口は14億近く居るわけですから、エネルギー確保は彼等にとっては急務、絶対的な国家的課題なわけです。そんな矢先自分の目と鼻の先の海域でこんなものが見つかれば…黙って見過ごすような人たちではないですよね。私はこの辺の事がこの問題の根本にあるように思っています。つまりエネルギー問題。これって、かのスピッツベルゲン問題と同じですよね。

 さて、もう一つが北方領土。此処は言わずと知れた日本とロシアの大問題地域ですね。国連での認識ではこの地域はいわゆる日露間の『領土紛争地域』と解釈されています。第二次世界大戦が終わって、日本とロシアの間に未だに正式な『国交』、『平和条約』が存在しないのは、この問題が解決していないからです。ロシア(当時のソ連)は、日本(当時の大日本帝国)が、1945年8月15日にポツダム宣言を受諾し、連合国側に無条件降伏した後、当時の我が国の主権地域北方領土に武力でもって勝手に侵攻して来たものです。そもそもがです、戦前から日本とソ連の間には、『日ソ不可侵条約』なるものが存在しており、両者は双方に戦争しない、戦わないという事を申し合わせていました。ところが彼等は『日本敗戦。今の日本は弱し』と見るや、一方的にこれを破棄。侵攻してきたわけです。日本が戦いを止めて武装解除した後にです。そして此処を『今日からオレたちの土地だ!』と言い出して居るわけです。あり得ないでしょう!だって一方的な侵攻なんですから。国際法上も認められない。でもね、当時アメリカも一応批判はしたんだけど、その後は見て見ぬふり。日本に対しては、『一応アイツらに文句は言ったんだけどさ…言う事聞かないんだよなぁ、アイツら』で終わりです。どう考えても、既に双方で申し合わせ済みとしか思えません。ルーズベルトとスターリンの間でね。読者の皆さん、これが大戦の敗戦国の有り様です。そう、鬼滅の刃じゃないですが、いわゆる『生殺与奪の権』を他人に握られるとこの様な目に遭うわけです。で、その後当然ながら我が日本政府はソ連政府に『返せ!』と猛抗議。これが現在でも継続しているわけです。私コーネリアスも、速やかなる『全面返還』を強く要求する者です。当たり前でしょ。普通に考えてコレ泥棒と同じなんですから。日露間にはこんな問題が、76年間も続いているわけです。再度強調しますが、私コーネリアスとしてはロシアからの『無条件全面返還』を要求する者ですが、76年間も政府間で話し合ってダメな話です。ここはチョット冷静に考えてみようかと思うわけです。この時かの『スヴァールバル条約』が参考になるのではと考えるわけです。

 この件に関しての日本の主張はハッキリしています。『返せ』です。では、見方を変えてロシア側はどう考えているでしょう?不法な実効支配ですが、76年間もいわゆる『自国領』として治めてきたわけです。今更『わかりました。どうもごめんなさい、日本の皆さん。北方領土はお返しします。』と言ったらどうなるか?そんな大統領というか政府に対し、国内で猛批判、きっと暴動が起きるでしょうね。国を揺るがすくらいの。なんで、彼等の立場からすると、『何を今更』じゃないでしょうか?

日本のキーワード→『返せ!』

ロシアのキーワード→『何を今更…ヤダ!』

これじゃ、多分永遠に返還なんて無理だと思うのですよ。双方の主張が平行線のままです。そこで、私コーネリアスは、これを次のように解決してみてはと一つの案をご提案してみたいと思います。当然ですが、私コーネリアスの個人的な私案ですが。良いか悪いかは読者の皆さんのご判断にお任せしたいと思います…

★(仮称)日露北方領土条約の締結

①当該北方領土地域(戦前日本領であった地域)の領有権は、日本国とロシア共和国双方にあるものとする。共同所有とする。

②当該地域では日本国の国内法も、ロシア共和国の国内法も無効とする。

③当該地域での法律は、別途双方で専門家委員会を設置し、そこで策定するものとする。

④当該地域は完全非武装地域とする。

⑤双方の国民はビザ、パスポート無しで自由に往来可能とする。また、居住権も全て自由とする。

⑥当該地域では、自由に経済活動が出来るものとする。

⑦当該地域での租税に関しては、③に定める法律に従うものとする。また原則徴収した税の本国への流用は両国共に禁止する。

⑧その他、不測の事態、想定外の事態等が発生した場合には、双方政府間で真摯に話し合い、両国の国益に適った形で解決するものとする。

 如何でしょうか?私コーネリアスは、法律の専門家でも無ければ、外交の専門家でもありません。なので、さほど自信はありませんが、これならロシアは領土を失うわけではありません。また、決して完全な形では無いにしても、現実的には日本に北方領土が返って来る事になります。スピッツベルゲン島を巡る歴史的事実から、こんな事を考える今日この頃です…それにしても、スピッツベルゲンについては石炭さえ出てこなかったら、恐らくあっさりノルウェー領で治っていた様に思います。石炭が出て来たが故にちょっとだけ複雑というか、面倒な事になりましたね。それでも、結果的にはノルウェーはその領有権は国際社会から認められた訳で、私はよかったんじゃないかと思います。北欧においてこんな前例があり、尚且つそこにはロシアも絡んでいる。ロシアもそれを受け入れたわけですよね。だから丸く収まった。なら、北方領土についても同様の手法というか、この前例を参考に日本側から何か提案をしてみるのは如何でしょうか?子供の喧嘩じゃ無いので、『返せ!』、『返せ!』の一辺倒では何も解決しないように、私には思えます。手を変え、品を変えて知恵を巡らせて強かに外交交渉を願いたいものです。ねっ、外務省の方々…期待してますから。

 因みに領土については、『1平方メートルの領土を取られても気にしないような民族は、やがて必ず全ての領土を取られる。』という格言がヨーロッパにはあるのだそうです…