こんにちは~
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頑張ったね、私
では、更新された「スタシカ」ノベル。
第8話で~す。
第8話
”奇跡と現実”
コンサートで魔法が発現したスターワン。
その日を境に彼らの状況は一変し、世界中で大きな反響を巻き起こした。
CMのオファーも数十件入り、主なキャッチコピーは「奇跡」
しかし、底辺まで落ちぶれた経験があるからか、いまいち実感が湧かないソル。
DKマネージャーがそんなソルに声をかけた。
「とこにいても、どんな場だろうと、お前の1番の武器は誠実さと優しさだと言うことを忘れるな」
「え?」
DKマネージャーはなんでもないとごまかしたが、ソルは逆らってはならない運命を告げられたような気がした。
「それから、外を出歩くのは避けろ」
いきなり魔力を得たせいで、危険が増えたのは確かだった。
ソルはサイン会の日、デモ隊の中で一人浮いていた男のことを思い出していた。
ソルは仕事を終え、夜遅くにレッスン室へ。
廊下の先にあるレッスン室に向かいながら、後ろを振り返ると、ミント色の光のことを思い出した。
奇跡のように魔法が発現するというサインだったのだろうか?
「ポッポー」
レッスン室に入ると、ソルの肩に、赤い頬に雪のような白い羽、頭部に緑の模様がある小鳥が乗ってきた。
アビスが召喚した小鳥だった。
そして、ほのかな光がソルを包む。
「サンキュ」
「少し疲れてるみたいだったから」
ビケンの光を浴びると疲れが取れる。
本当に便利で不思議な力だ。
しかし、能力が開花したばかりで、想像できる範囲でしか魔法を使ってこなかった5人。
「それぞれ、どんな魔法が使えるのか調べて、構成を考えてみよう」
ソルの提案にみんながアイデアを出し始めた。
そんなメンバーの姿を見て、
「なんで、いきなり発現したのかな?」
とソル。
「あの日なんかあったっけ?」
ユジンの問に、全員が首を横に振った。
「最後だと思ってパフォーマンスしただけ」
ソルの答えに、全員が頷いた。
時間が流れても、オファーの嵐は収まらず、誰よりもこの日常を切実に願っていたソルも、疲れの色を隠せない。
次の仕事へ向かうバンの中、後部座席で体を縮めて眠るビケンを見て、胸が痛くなった。
運転中のDKマネージャーがこれからの予定をまくし立てるのを聞き、スターワンのリーダーとして、ソルは訴えた。
「マネージャー、俺たちだって人間です。睡眠がかかせないって事、忘れないでくださいよ」
「寝るのは移動中だ。アイドルは忙しいときが一番幸せなんだ。みんな死ぬほど願ってることなんだぞ!」
「でも、このままじゃ本当に死んじゃいます」
恵まれていることはわかっていても、一言言いたかった…
窓の外を見ると、アビスの化粧品の巨大広告が目に入った。
何もかも上手くいってる。
しかし、ソルは微かな不安を拭いきれずにいた。
(いきなり、人気が出たからかな?)
絶壁で強烈な風に吹かれるような恐怖心に襲われたが、頭を強くふり、考えを振り払った。
スターワン、ついに魔法アイドルとして人気が出てきましたね~
でも、人気が出れば出るほど、人気のない時にはなかった悩みも増えていき…
そしてソルは、 せっかく魔法も手に入れ、人気も出てきたのに、相変わらず暗い…
不安のない毎日を送らせてあげて~~