2014-04-17 02:38:01 執筆開始
2014-04-23 03:41:07 関連記事リンク追加
アガサ・クリスティを最近読みたくなった理由。
初期の作品には、おそらくシャーロック・ホームズの影響が大きいと考えたからでした。
むかし読んだことがあるのは『そして誰もいなくなった』(1939年の作品)。
数年前にマザーグースに興味が湧いたときに読み返したのですが、「Ten Little Nigger Boys」の歌詞をたどるように一人ずついなくなってしまうストーリーには、やはり深く魅せられてしまいます。
アガサ・クリスティの著作にはマザーグースに絡めたものがたくさんあるそうです。これは童謡関係の代表作でもあるのですね。
ちなみに、マザーグースに関する本を色々と買い込んだ数年前というのは、たまたまTVでアニメ映画『風が吹くとき』(1986年制作)を見た頃でした。
ピンク・フロイドから離れてまもない頃のロジャー・ウォーターズが、音楽を担当した映画です。
作中にはオリジナル曲の他に、マザーグースの有名な子守歌「Rock a bye baby」が象徴的に流れるシーンが何度かあります。この映画のタイトルは、歌詞の冒頭から使われていたのでした。
Rock a bye baby Music Box Movement
Uploaded on Uploaded on 2011/12/16 by Mark Miller
ロジャー・ウォーターズの『風が吹くとき』については、いずれ別の記事でお話しすることにしましょう。
これは『ナイル殺人事件』の邦題で1978年に映画化されました。ピーター・ユスティノフがポアロ役で、キャストがとてもゴージャス。女優陣はミア・ファロー、ジェーン・バーキン、ベティ・デイヴィス、オリヴィア・ハッセー等々……。両親が洋画好きだったせいか、わたしが子どもの頃から我が家にはお正月に家族そろって映画を見に行く習慣があって、79年の年明けに見たのがこの作品でした。
Death on the Nile 1974 trailer (02:45)
Uploaded on 2011/01/07 by jubmasterflex
ナイルといえば思い出すのが、ピンク・フロイドが音楽を担当した映画『モア』(1969年)の1曲、「ナイルの歌」。
Pink Floyd - The Nile Song / Seabirds (More BSO) (02:37)
Uploaded on 2009/05/05 by Walruson
この曲は、パリにやってきた主人公の青年ステファンが賭博場にいるシーンで2回流れます。最初は偶然入ったとき(映画が始まって数分後)。2回目のときには、街で知り合った男と再会します(さらに数分後のシーン)。
賭博はヒッピー族のパーティ会場の一隅で行われていて、ステファンはそこで出会った女性エステルを好きになってしまい、彼女を追ってイビサ島へ渡ってゆくのです。
PCゲームで楽しんだアガサ・クリスティの世界もあります。
『Peril at End House』でした。
これはHidden Object Game、いわゆるアイテム探しのゲームで、2007年にリリースされたもの。
原作は1932年の発表、邦訳は創元推理文庫では『エンドハウスの怪事件』、ハヤカワミステリ文庫では『邪悪の家』。
原作を知らなくてもそこそこ楽しめたのですが、このあいだ原作を読んだあとで何年かぶりにやってみたら、ビジュアルアートが細かいところまで原作に忠実に作られていることが分かって、ちょっと感激ものでした。
同じ開発元から『ナイルに死す』のHidden Object Gameも出ているので、近いうちにまたチャレンジしてみるつもりです。
では、最近読んだアガサ・クリスティのお話に入ります。
最初は本屋さんでたまたま目についたハヤカワミステリの短篇集『火曜クラブ』(1932年の作品。創元推理文庫では『ミス・マープルと13の謎』)。
これは、ミス・マープルのシリーズです。毎週火曜日の夜のお茶会を楽しむひとたちがいて、各自が体験している謎めいた事件を紹介していくという連作。
事件の真相や犯人を推理するミス・マープルは、本題に入るまでの前置きのおしゃべりが長いんですけど、観察眼と洞察力に加えて、女の直感というところでもずば抜けているという感じ。ものすごく頭のいいひとなんですね。
次に手に取ったのが、『火曜クラブ』の巻末にあるアガサ・クリスティの作品集目録の解説で気になった短篇集『おしどり探偵』(1932年の作品。創元推理文庫では『二人で探偵を』)。
夫婦で私立探偵をやっているトミー&タペンスのシリーズです。
この漫画は、幼なじみだった主人公のカップルが高校生のときから始まり、最初は学校の中の事件を手がけているのですが、社会人になると自分たちだけの探偵事務所を持つようになります。
もしかしたら『パズルゲーム・ハイスクール』の押上大地と三輪香月のキャラクターは、『おしどり探偵』のトーマス・べレズフォード(愛称トミー)とプルーデンス・カウリイ(愛称タペンス)にインスパイアされたのではないかしら……などと考えたのですが、『おしどり探偵』などの文庫の解説を読むと、ミステリには映画化されるほどの有名な夫婦探偵シリーズがいくつもあって、いろいろな作家が書いていたようです。
それはさておいて、『おしどり探偵』の第6話「婦人失踪事件」を読みはじめたとき、“これってだいぶ前に読んだことがあるみたい……”と思い当たりました。
それもそのはず、「婦人失踪事件」は、シャーロック・ホームズ・シリーズのパスティーシュ(というよりパロディ作品)として、ハヤカワミステリ文庫『シャーロック・ホームズの災難』上巻に収録されていたのです。
ちなみに、ホームズのパスティーシュやパロディは著名な作家も手がけていて、アガサ・クリスティもその一人でした。『シャーロック・ホームズの災難』上巻には、エラリイ・クイーン、O・ヘンリー、マーク・トウェインの書いた作品も収録されています。
3冊目に手に取ったアガサ・クリスティ本は、これも『おしどり探偵』巻末の解説がきっかけです。トミーとタペンスの出会いのエピソードが書かれているということなので、このシリーズの長編第1作『秘密機関』(1922年の作品。創元推理文庫では『秘密組織』)。
正確に言うなら、2冊目を読むのを中断して、こちらを先に読みました。探偵小説というよりは冒険小説というジャンルでしょうね、クリスティが若い頃に書かれた作品だけあって、ミス・マープルみたいな長話ぬきでテンポよくストーリーが進んでいくので、一気に読んでしまいました。
タペンスの本名プルーデンスは、ビートルズナンバーにもあるので、それも親しみやすかった理由のひとつです。
この曲のプルーデンスがミア・ファローの妹であることは、ビートルズのお好きな方ならご存知でしょう。
オリジナルも大好きですが、わたし的にはこのカバーバージョンも捨てがたいというか、スージー・スーは、デビューの頃から聴いてきた、とても魅力的なシンガーなのです。
Siouxsie and the Banshees - Dear Prudence
Uploaded on 2012/10/09 by RedAntTouring
さて、トミー&タペンスのシリーズの長編2冊目『NかMか』、3冊目『親指のうずき』を読み終えた頃には、この際だからアガサ・クリスティを読破したいという野望のようなものが胸のなかに生まれていました(トミー&タペンス長編4冊目『運命の裏木戸』は、このシリーズの最終作であり晩年のクリスティが最後に執筆した長編ということもあって、後日のお楽しみにとっておくことにしました)。
かくして本屋さんで何冊かを買い込み、時折何冊かを買い足して、常にベッドの脇に積み重ねておくようになりました。
わたしの場合、読書タイムというのは、おおむね寝るまえにベッドのなかというのが多いのです(雑誌やライトノベル系は、外が明るい時間帯に茶の間で読んでいます)。
ところで、クリスティ読破計画の優先順位ですが、最初は、今でも好きなマザーグースにゆかりのある作品を中心にと考えていたのです(調べてみると長編だけでも10作品以上あるようです)。
けれども、やはり、なるべく初期のものから順に読んでいこうと決めたのでした(そのほうが作風の変化を楽しむこともできそうだなと思えました)。
まずは短篇集いろいろ。
それから、ミス・マープル初登場の長編。
エルキュール・ポアロ初登場以降の初期長編10冊ぐらい。
手元にあるのは太平洋戦争の前に書かれた、古き良き時代の作品が多くなっています。
ここでちょっと、わたしが手に取っている邦訳の選び方をお話しておきます。
アガサ・クリスティの日本語版は、初期~中期の作品なら、なるべく創元推理文庫とハヤカワミステリ文庫から選ぶようにして、それらで入手できないものはハヤカワミステリ・クリスティ文庫という感じです。
2003年から発行されているクリスティ文庫は、14冊の短篇集に収録作品の重複がなく、66冊の長編を網羅しているので、クリスティを読破するにはうってつけなのですね。
でも、惜しいことに、訳者や解説担当者がハヤカワミステリ文庫の方ではなく、別の方に替わっているケースが少なくないようです。作品によってはライトノベルみたいだなあと感じてしまう訳文もありますし、クリスティをあまり読んでいなさそうな解説文にも出会いますから、古き良き時代を求めて本格的にクリスティを読みたいわたしには物足りなさが……。
創元推理文庫やハヤカワミステリ文庫の旧い翻訳には、クリスティが現役だった時代ならではの雰囲気が感じられます。
言葉遣いのなかには今ではあまり使われなくなった言い回しなども見られますが、ほどほどに格調の高い上品さが心地よいのです。(英語が得意ではないわたしが言うのもナンですけど)原文の持ち味をなるべく活かしたいと考える訳者の真摯な姿勢が感じられました。
旧訳には誤訳があるとかもネット上の書評には出てきますが、読者がストーリーを把握する途上で勘違いが生じる部類だとしたら、そもそも出版には至りません。瑣末な問題だと思います。
それと、文庫本の表紙のデザインで、旧訳のほうが趣味に合うというのも、ちょっとしたこだわりです。
- Image Data: http://www.tsogen.co.jp/
Image Data: http://www.amazon.co.jp/
そこへいくとハヤカワミステリ文庫では、真鍋博の幾何学模様を活かしたロマンティックでクールなイラスト、創元推理文庫では、ひらいたかこのシュールレアリスムを暖かいタッチで取り入れたイラスト。
真鍋博もひらいたかこも個々の小説の世界を象徴的に描いていて、 長く見ていても飽きない名画のような味わい深さがあります。
レコードやCDならジャケ買いという方法がありますね。
本気で味わうつもりなら、小説でも、表紙の装幀で心を惹かれるものを選ぶほうが、気分がよいというものです。
Chapter 24 - The Pink Floyd (03:42)
Uploaded on 2009/05/23 by hawkmoon03111951
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(その2へ続きます)
2014-04-17 02:38:01 執筆開始
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