その間、周辺では様々な事が起こり、僕自身もいろいろな経験をしました。
今年は節目節目でソロで演奏する機会を頂き、多くの人々にお会いしました。
その人々が全て僕の人生を豊かにしてくださるような方ばかり。
ありがたいことです。
その間、2曲の新曲が一応の完成を見て、それぞれ演奏することも出来ました。
中でも最新作の「rejoicing(a thousand
years)」は、新たなチャレンジを与えてくれました。
その前に完成した「europa」はあるモチーフがあり、それに添って膨らませていくという仕事でした。
しかし、この「rejoicing(a thousand years)」は日常の営みの中で見つけた小さな「喜び」を音にする作業。
それは愛する人に対する想いであり、その関係性において発生する「喜び」を音にする作業。
しかし、それだけでは唯の叙情であり、過ぎた感情表現になってしまう。
ですから、納得のいくまで音楽的なアプローチを経て、仕上げていかなくてはなりません。
こうして度重なる考察と推敲を行い、そして演奏家として新たなテクニックの獲得を目指して構築していきました。
非常にシンプルなハーモニーを如何に美しく響かせるか?
とても平易な単旋律を如何に奏で届けるか?
ここがとても重要な要素でした。
作家の井上ひさし氏は「誰でもが知っている言葉で、自分にしか書けないものを書く。」と言いました。
「rejoicing(a thousand years)」は正にその通りのことを狙って書かれました。
そして「喜び」がテーマであり、その喜びの源は「愛」である。
「rejoicing(a thousand years)」は日常の営みの中で見つけた小さな「喜び」(=「愛」)を音にする作業と書きました。
つまり、これからもまた様々な「喜び」と出会いながら、変化していくことになるでしょう。
出来れば、人生の最後までずっと変化して欲しいと心から願っています。