文庫本全4巻のうち、興味深いのは第45章から第50章まで。東大文学部国史学科教授 平泉 澄(きよし)の強烈な思想と戦時下社会に与えた影響力の強大さを立花流の鋭い視点と分析力で著している。
平泉史学の真骨頂は、勝つ見込みが全くない絶望的な戦いにおいて、天皇のためにすすんで命を捧げる忠義の死の賞揚、「散華(忠義死)の美学」にあった。
大河ドラマ「八重の桜」には、何かしら同様の思想が受け継がれているように思える。
昨年の「平清盛」では泥々として腐敗しきった天皇制貴族社会に反抗する武士、清盛が描かれて、視聴率が落ちた、その反動だろうか。