キッチンの中は調理をする為にかなり気温が上昇するので暑い日はドアや窓を開けないと倒れそうになるほど室温が上がるのでドアを開けていた所から入って来た。

 

時々「スプーンをください。」「先生のお使いで書類を持ってきました。」とキッチンのドアの所まで来る子達居る。

でも、今回はどうやら違う様子。

 

始めは気が付かなかったけど特殊学級の女の子が教室を抜け出してキッチンに来たようだ。

見かけない子。新入生かしら?小学一年生位だな。

 

オーブンもナイフも使うキッチンに生徒が入ってくるのは危険だ。

キッチンの真ん中には大きな作業テーブルがある。その周りをクルクル回りながら時々私の顔を見て楽しそうに微笑む。

「この子は遊んでいるんだ。」

 

私はとっさにキッチンの周りを見渡す。

オーブンのドアは閉まってる。ナイフも出てない。調理したての熱い食べ物も無い。大丈夫そうだ。

 

でも、どうやってこの子をキッチンから怪我をさせずに外にうまく安全に誘導したら良いか考える。

私は以前学校の図書室で働いていた事があるので、生徒との接し方のトレーニングを受けていたので、一生懸命思い出してみた。

 

まずは、生徒の体に触れてはいけない。

腕を掴んで怪我をさせたり、あざを作ったり、肩を外したりしてしまってはいけないからです。

 

女の子の後を追いかけて話をしようと試みたけれども、鬼ごっこの様になってさらに女の子は嬉しそうに速度を上げてキッチンの中を走り始めてしまった。

後ろを振り向いて私の顔を見ながら「こっちへおいで~」って言っている感じだった。

 

次は床に膝を就いて、目線を女の子の目線迄落として安心させようと試みたが、楽しそうに声を上げながら女の子は未だ走り続けるだけだった。

 

ふっとキッチンには後ろにもドアがあるのを思い出した。

外から不審者が入ってこれないようにオートロックが掛かっているが中からは外に出れる。

女の子が外に出てしまったら大変だと思い、私はドアをブロックする様にドアの前に立った。

 

女の子は私の方に向かって走って来た。そして私の顔を見あげて嬉しそうに笑っていた。

丁度、その時に一緒にはキッチンで働いているキャレンが校長先生と特殊学級のエイドさんを連れて来てくれた。

「良かった。。。」

 

やはり生徒の安全が学校の一番大切な事。何もなくてよかった。。。

 

女の子が教室に戻っていったので校長先生に女の子の状況を聞いてみた。

どうやら女の子は最近転校していたばかりの小学校一年生で、未だ特別なアセスメントを行い始めたばかりで何処のクラスに所属させたら良いか検討中なので普通クラスに居るとのこと。

 

普通クラスには30人の生徒に先生一人しかいないので、生徒が居ないからと言って、先生は他の生徒達をクラスに残して教室を離れるわけにはいけない。 難しい状況なのです。

 

その後、女の子は一か月後くらいに特殊学級に入り、一対一のアシスタントを学校が付けてあげられる様に学区から許可が下りて、今はアシスタントさんに守られて学校生活を送っています。

 

最近では予算などの関係から一対一でのアシスタントが必要な生徒も学区からの許可が下りにくく、一対一のアシスタント無しで学校生活を送っている生徒さん達が少なくないそうです。

 

学校で働いていると、色々な事が見えてきます。

私はせっかくアメリカに来たのだからアメリカの全てを見たいと思っています。だから、学校と言う場所は毎日色々な事が起きて、今まで知らなかったことを目の前で見る事が出来ます。

アメリカと聞くと、とかくグラマラスな部分が目につきますが、色々と現実的な社会状況を垣間見る機会が多いです。

 

毎日色々な事が起きます。

さて、明日は何が起きるか

 

つづく