歌手 重音テト

江戸の町は 今日も深く
夜の帳 かけて行く
鏡向いて 紅を引いて
応じるまま 受け入れるまま

橙色 輝いた花
憧れてた 望んでいた
いつのまにか 藍色の花
けれど私 安くないわ

『真はただ一人の何方かのためだけに咲いていたかったのだけれど
運命はわっちの自由を奪いそいで 歯車を廻して行くのでありんす』

偽りだらけの恋愛
そして私を抱くのね
悲しいくらいに感じたふりの
吉原 今日は雨

貴方様 どうか私を
買っていただけないでしょうか
咲き出す 傘の群れに
濡れる 私は雨

行き交う群れ 賑わう声が
ひしめき合い もつれ合い
願うことは どうかいつか
鳥籠の外 連れ出して

『真は行くあてなど無くなってしまいんしたのだけれど
此方の籠の中から見える景色だけは
わっちをいつなる時も癒してくれるのでありんす』

偽りだらけの恋愛
そして私を買うのね
私に咲いた花びら
濡れる心に降るは 雨

貴方様どうか私と
一夜限りの戯れを
望む シミの数が
鈍く 心に刺さる

憂いを帯びた花
望む 果てる

『ようこそ おいでくんなまし』

恋人ごっこの夜に
吐息「あっアッ」と鳴かせて
悲しいくらいに感じた振りの
吉原今日も 雨

偽りだらけの恋愛
そして私を抱くのね
悲しいくらいに感じたふりの
吉原今日は 雨

貴方様 どうか私を
買っていただけないでしょうか
咲き出す 傘の群れに
濡れる 私は雨


歌手 VY2

【神様に嫌われた二人は
天の川を挟んで一人と一人。
一年に一度、七夕の夜だけ
会うことが許されたのでした。
しかしそれも晴れた時だけ。
まだ梅雨空が続くその日は
滅多に晴れることなどないのです。
人は七夕の雨を催涙雨と呼ぶのでした】

今年も雨が降った 結局この夜は晴れたことがない
川は荒れ生命を拒む
わかっていた きっとずっと
来年も再来年も
あの人は雨を降らせる

唯一この川を渡れるとされる
カッパとかいう緑の妖怪
要はそいつと同じくらいの
筋力と肺活量を身につければいいんだろう?

今じゃ給料の6割は筋肉費
見て!華厳の滝のような俺の僧帽筋!
天の川を渡るってサイエンス・フィクション?
筋肉を磨くより大事なことある?

鬼が棲む山に篭もり修行 欲世などとうに捨てた
大胸筋の神様に嫁ぐ
木々を引き抜き
岩をくるぶしで撃砕していると
怪しげな小屋を見つける

この険しい山に似つかわしくない
異端なファッションの集団が
中でどんな悪巧みをしているのだ
ドラマティックな筋肉で阻止してやる!

大学生が楽しげにパソコン作ってる
鬼もこの景色見たら失笑するぞ
ここで組み立てるメリットってなんだよ!?
下山というプロセスを考慮しろよ!

しかも全員で7人もいるじゃねーか!
みんなでできる遊びをしなさい!
でも7って数字なんか引っかかるな?
7月7日って何かあったっけ?

七夕の夜 天の川を見に行く
こんな鍛えた肉体も竦む激流
会えない辛さに 目を逸らしていた
何かに夢中になって誤魔化していた

すぐにはやみそうもない雨に
濡れた瞳がカッパを見つけた
これで…!

俺の力を試せる!俺のほうが強い!
俺の筋肉のほうが総合的にすごい!
思い切り殴りかかってみたけど
容易く受け止められて

「ピアノの発表会感覚みたいな
半端な覚悟で来るんじゃねーよ!」
速やかにボコボコにされた挙げ句
二つ折りにされてどこかに運ばれた
目を覚ますと川の向こう 目の前には初老の女性


歌手 VY1

【神様に嫌われた二人は
天の川を挟んで一人と一人。
一年に一度、七夕の夜だけ
会うことが許されたのでした。
しかしそれも晴れた時だけ。
まだ梅雨空が続くその日は
滅多に晴れることなどないのです。
人は七夕の雨を催涙雨と呼ぶのでした】

彼は行ってしまった 天の川の向こう側
約束の日は一度も晴れたことがない
神様のいじわるに抗う方法を探して
カッパという妖怪が川を渡れると知った
だけどカッパは滅多に見つからない
とんでもないレアな妖怪
困り果てたある日街外れで
妖怪の群れに遭遇した

妖怪たちが靴ひも結べなくて泣いてる
ママにやってもらったのがほどけて泣いてる
アホすぎて不憫で教えてあげたら
すごい!やけに懐く!グイグイくる!

そのような経緯で設立しちゃいました
泣く子も滅ぶ妖怪派遣会社
低能妖怪なんざ低賃金で使っても
たまにガムでも与えれば大喜びで働いた
社員の個性を生かした営業
政治家とも仲良し
天の川を渡るってサイエンス・フィクション?
経営のほうが大事だろ!

妖怪たちが食券買えなくて泣いてる
食券というシステムが理解できず泣いてる
こんなところに経営の落とし穴があるとは
社食が丸々無駄じゃねーか!

そんなアホな会社の評判を聞きつけて
一匹のカッパが面接を受けにきた
カッパって何か引っかかる気がする
たしかずっと探していたような

七夕の夜 カッパに依頼する
会えない辛さに目を逸らしていた
何かに夢中になって誤魔化した
だけど今は願う
彦星を連れてきて
カッパは大きく頷いて
「任せてください」と言った

どうして彦星をボコボコにしてんの!?
デッドオアアライブって発注したっけ?
お前も例に漏れずアホ妖怪か!
帰りはやけに遅いのにパンチは早いのな!
彦星がノビていた
昔より大人になって

歌手 初音ミク

どうして みんなが 幸せなの?
この世界のこと 聞きたいって、知りたいって
水辺の公園で みんなが耳を澄ませて
わくわくするね ねぇ、オンディーヌ?

ハイハーイ!
さあさあ、みなさん 教えてあげまーす!
みんなが気になってること 疑問に思ってること
ぜーんぶ 教えてあげまーす!

えー、みなさんが 幸福なのは… 義務なんです。
幸せですか? 義務ですよ? 果たしてますか?
我々、幸福安心委員会は みなさまの幸せを願い そして、支えまーす。

幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸せですか? 義務ですよ。

幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸せですか? 義務ですよ。

ですから、安心して義務を果たすように!
みなさまの幸せが 我々の幸せ。

幸せですか? 義務ですよ? 果たしてますか?
幸せじゃないなら…

絞首 斬首 銃殺 釜茹で 溺死 電気
火炙り 生き埋め 薬殺 石打ち 鋸 はりつけ
好きなのを 選んでね♪

ハイハーイ!
さあさあ、みなさん 幸せだけが満ちてまーす!
不安とか不満、なにひとつないでしょー?
コワーイ、恐いわー
幸せすぎて、恐いわー。

ホントに みんなが 幸せなの?
この世界の外 行きたいって、逃げたいって
水辺の公園で みんなが耳を塞いで
ビクビクしてた ねぇ、ウンディーネ?

ハイハーイ!
さあさあ、みなさん 死にましたー!
オンディーヌをふった騎士は 死にましたー!
葬儀に出るなら、向こうに並べ!
それ以外は 幸せに暮らせ! 以上

幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸せですか? 義務ですよ?

幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸福なのは義務なんです
幸せですか? 義務ですよ。

義務なんです 義務ですよ? 義務なんです 幸福なのは義務なんです
義務なんです 義務ですよ? 義務なんです

幸せじゃないなら 死ね



おすすめの歌ってみた
歌 初音ミク

8月15日の
午後12時半くらいの事
天気が良い

病気になりそうなほど
眩しい日差しの中
することも無いから
君と駄弁っていた

「でもまぁ夏は嫌いかな」
猫を撫でながら
君はふてぶてしくつぶやいた
あぁ、逃げ出した猫の
後を追いかけて
飛び込んでしまったのは
赤に変わった信号機

バッと通ったトラックが
君を轢きずって鳴き叫ぶ
血飛沫の色
君の香りと混ざり合って
むせ返った

嘘みたいな陽炎が
「嘘じゃないぞ」って嗤ってる
夏の水色
かき回すような
蝉の音に全て眩んだ

目を覚ました
時計の針が鳴り響くベッドで
今は何時?

8月14日の
午前12時過ぎ位を指す
やけに煩い蝉の声覚えていた

でもさぁ、少し不思議だな。
同じ公園で昨日見た夢を思い出した
「もう今日は帰ろうか」
道に抜けた時
周りの人は皆上を見上げ口を開けていた

落下してきた鉄柱が
君を貫いて突き刺さる
劈く悲鳴と風鈴の音が
木々の隙間で空廻り
ワザとらしい陽炎が
「夢じゃないぞ」って嗤ってる
眩む視界に君の横顔
笑っているような気がした

何度世界が眩んでも
陽炎が嗤って奪い去る
繰り返して何十年
もうとっくに気が付いていたろ

こんなよくある話なら
結末はきっと1つだけ
繰り返した夏の日の向こう

バッと押しのけ飛び込んだ、
瞬間トラックにぶち当たる
血飛沫の色
君の瞳と軋む体が乱反射して
文句ありげな陽炎に
「ざまぁみろよ」って笑ったら
実によく在る夏の日のこと
そんな何かがここで終わった

目を覚ました8月14日のベッドの上
少女はただ
「またダメだったよ」と
一人猫を抱きかかえてた