Haku no Burogu
あなたがわたしを殺したあの日から
わたしとあなたの
時はとまってしまった
わたしはあなたの名も知らない
わたしの家族がながした涙もあなたは知らない
わたしのことを
忘れたふりをして
あなたは生きてきたんだね
でもあの日から
わたしとあなたの時はとまったまま
あなたも気づいているでしょう
庭の木の影に
通りの向こう側に
毎夜の夢の中に
わたしを見つけて
おびえているでしょう
もうずっと長い間
そうしてあなたはおびえているんだね
月のうらがわ
深い海の底
澄んだ空のうえ
わたしもどこにも逝けないの
もうずっと このほしのうえ
あなたの おもいに とらわれているの
あなたはわたしのすべてです
あなたはわたしの運命だから
わたしの手はあなたに十字をきるためにあり
わたしの体はあなたに捧げる供物を育てるためにあり
あなたのために
まいにちの祈りをささげます
朝も昼も夜も
いつもあなたをおもって祈っています
わたしのすべてはあなたのために
この体が骨と皮ばかりになっても
あなたのために
遠い異国で父が焼かれても
あなたのために
幼い兄妹たちが飢えて死んでも
あなたのために
わたしたちは祈るのです
あなたのために
祈ることだけが
わたしの人生のすべてだから
みつめる
言葉も無く
いきをとめて
みつめる
空気がうごく
ずっとずっと遠く
ここにはないもの
みつめる
素直に
無心で
ワタシにはつかめないもの
遠くてまぶしいもの
ずっと
知っている
あなたの罪を
世界中が知っている
あなたが罪を犯したことを
こどもたちは息をひそめ
あなたが通り過ぎるのをまっている
あなたは十字架を首にかけ
静かに祈っている
あなたのかみさまは
あなただけをたすけてくれるのですか
あなたはきれいな花を摘み
少しの野菜とパンを食べ
まいにち静かに祈っている
あなたの手が血にまみれていること
あなたの罪を
あなただけ
気づいていない

