７５歳以上は免許更新時に認知症テストまでやるようになっていますが、日常的な買い物、通院など、どうしても足の確保が必要になります。特に公共交通機関の利便性が悪い地方では、自分で運転するしかないケースがあります。しかし、警察庁の統計にも出ているように高齢者は他の年代に比べて事故につながるケースが多くなってきます。

そこで、一定の距離を保ちながら前車に追随して走る機能、進行方向に障害物があるときにアクセルを踏み込めない機能など様々な運転支援機能が開発されるようになりました。臨機応変な判断力が落ち、運転能力も衰えてきた高齢者に代わりに運転してくれる人がいればいいのですが、核家族が普通になっている今、その様な環境にある高齢者は多くないでしょう。そこで、運転支援、自動運転という技術が必要になってきました。

運転支援、自動運転には、操作支援レベルから、ハンドルから手を放して運転するレベルまで５段階あり、国土交通省に分類によれば以下のとおりです。

この分野で世界を牽引するのがテスラ（米国）ですが、何年も前から実用化に向け、公道を使って走行テストをし、一部は実装され市販されています。しかし、自動運転モードで走行していてあちこちで事故を起こしているのが実情です。

Googleでも実証実験を行っていますが、事故を起こしています。

これらの事故多発を受け、テスラでは同社のホームページで、自動運転機能を過信せず、運転中はハンドルから手を離さないでくださいとの注意を喚起するまでになっているようです。

これでは、とても機械に運転を任せて安心することはできません。そもそも、万が一の時のハンドル操作が間に合わない事故も起きてしまいました。

日本の頭脳集積都市、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所（産総研）が、同県日立市で行っていた公道を使って自動運転のバスを走らる実証実験が行われ、新聞、テレビなどで紹介されていました。以前より自動運転には関心があったので見ていましたが、先日ガードレールに接触するという事故を起こし、原因を究明するまで実証実験は中止されました。実証実験では万が一の時に備えて運転手が運転席に座っていたのに、自動運転機構が急ハンドルを切ったことに運転手が対応できず、接触事故を起こしてしまったことは憂慮すべきことです。公道でも交通量の少ない道を使っていたため、人や車を巻き込んでの事故にならなかったのは不幸中の幸いでした。

そんな中、日産から自動車専用道路で！という条件がついてはいますが、ハンドルから手を放しての運転を可能にする機能がついたスカイラインが発表されました。走行時に車線の中央付近に車両を維持するステアリング制御機構（同一車線内ハンズオフ機能）が搭載されており、これによってドライバーの運転負担を軽減できるそうです。国土交通省が定めた自動運転レベル３に相当するものです。しかし、高速道路、自動車専用道路を走ってみれば分かりますが、走行レーンを走っていても横のレーンから車線変更してくる車がいます。余裕を以て合流してくれればいいのですが、急な割り込みに対応できるのか不安です。調べてみたら、テスラ社のホームページに急な車線変更での割り込みにも対応できるという動画あり、

・自動運転で走行中の車線に割り込んでくる車を検知

・運転者の操作なしにこれを受け止め

・安全に処理（操縦）する自動運転（支援）機能

が紹介されていました。イベント毎にその動画をキャプチャしてコメントをつけ解説しましたが、これを見ると自動運転機能が何を考えているのかが少しだけ分かります。

その１：

運転支援機能をonにしたテスラの車で高速道路を走行しているとき、左後方からトラックが自動運転のテスラ車が走行中のレーンに割り込もうとしてきた。
その２：

一瞬トラックの姿が消えたのは、①自動運転の機能をonにしていたテスラ車がスピードを上げ、トラックとの車間距離を開けてテスラ車の後ろにつかせるようにしたのか、②割り込みしようとしたトラックの運転手はレーン変更ができないと思って速度を落とし、テスラ車の後ろに入ろうとしたかのいずれかです。
安全運転を基本にする自動運転支援機能なので、人間のドライバのようにクラクションを鳴らして割り込みを拒否したり、スピードを上げてトラックとの車間距離を広げて入りやすくすることはしないはずです。ブレーキをかけてスピードを落とし、トラックを先に行かせて割り込みをやり易くするようにプログラムされていると推測します。この機能で相対的にトラックの速度が上がり、次のその３の状態になります。なお、その場合テスラ車の自動運転機能は同じレーンを走る後続車との車間距離を検知し、その距離、迫ってくる速度を考え、安全と判断したらブレーキをかけて速度を落とすというロジックになっているはずです。

その３：
このトラックは、レーンを変更してテスラ車の前に来てから数秒後に更に右方向にレーンを変更しました。

このトラックは前方の行先掲示板に表示されている右方向に曲がりたいために半ば強引に車線を変更してきたことが分かります。本来なら余裕を以て右折の手前から最右端のレーンを走るべきですが、このトラックの運転手は間際になってレーン変更をしたために起きた運転シーンです。この様な強引な車線変更してくる車があった場合でも、テスラの自動運転支援機能は運転者の助けを借りずに対応できた！という安全、安心をアピールするビデオでした。

しかし、残念ながら自動車専用の高速道路でさえ、自動運転による事故は起きています。高齢者が生活に使う高速自動車専用道路ではない交差点があり、路地があり、車や人が飛び出してくる可能性のある一般道路では推して知るべしでしょう。高齢者が安心して運転できるような自動運転支援機能はまだまだ先の話でしょう。それよりも実用的で現実的な高齢者移動支援策は、コミュニティバス、オンデマンドバスではないかと思います。

※質問はosugisama:gmail.comまでどうぞ。

※リブログを除き、本ブログを無断転載、流用を禁止します。

高齢者社会／運転支援、自動運転の考察