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ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 開いたままのブチの目のまぶたを指で閉じた。ブチは

死に顔もかわいかった。

 猫が死ぬといつも思う。つまらない!って。

せっかく生きているのに何で死ななきゃいけないんだろう

って。何のために生きてきたんだろうって。死ぬために

生まれてきて何の意味があるんだろうって・・・。

 考えれば、ブチは死ぬ前に何度も私にメッセージを送って

いた。愚かな私がそれに気づかなかっただけだ。

 ブチの頭に触ったとき冷たく感じたのは、もうすぐお別れ

だよって言っていたのだ。

 外に出たとき、いつも見慣れた風景がやけに寂しく、凄然と

自分に迫ってくるように感じられたのは、ブチが私に出て

行かないでと言っていたのだ。

 ブチが何度も知らせてくれたことを、私はどうして受け

止めてやれなかったのだろう。今までどうしてもっと何かが、

誰かが知らせてくれていることに、私は耳を澄ますことが

できなったのだろう。きっと今までも数えきれないほどの

メッセージに気づかずに過ごしてきたのだろう。

 ブチが教えてくれたんだね。これからはなるべく聞き

逃さないようにするよ。

 ブチの火葬は結局遠くはあるが、以前他の猫を焼いた火葬場

まで行って荼毘に付した。

 「ミータもそこで焼いたから」

と夫が言った。

 ブチは助手席の私の膝の上に乗った。

 『ブッちゃんもうお別れだね・・焼いてしまったらもう

 あなたに触ることもできない・・』

 途中少し遠回りをして以前住んでいた家の前を通った。

ブチが一番長く住んだところ、母親のミータと一緒にくらした

ところ。ブチにとってミータとくらした数年間が一番幸せな

期間だっただろう。それからよく長く生きてくれた。

 夫がその家の前をゆっくりと運転して、私は膝に乗せていた

ブチを両手でよく見えるように持ち上げた。

 「ブッちゃん、ここでミータといたねー」