心臓がビクンと動いたような気がした。
Aさんについて行くと、スチール物置の中でひげが
横になって死んでいた。口が少し開いていて、体は
すでに硬くなっていた。
「ここはいつも開けたままなんですか」
「そう。昨夜お風呂に入っているとき猫の鳴く声が
聞こえたから、あら元気になったんだと思っていた
けど…」
Aさんにはひげの具合が悪そうだということを話して
いた。
「さかりのついたような鳴き声だった」
その後ひげは死んだんだろう。さかりのついたような
鳴き声とは、ひげが最後の力を絞って、助けを求めた
のかもしれない。その様子を想像するとたまらなかった。
どうしてうちに来て鳴かなかったのだろう。
私は「ひげちゃん、連れて行けば良かったね~」
と言ってひげを撫でた。もっと撫でてやりたかったが、
Aさん夫妻が後ろに立っていたので遠慮した。
夫が段ボール箱を持ってきて、Aさんがバスタオルを
ひげにかけた。私はひげを抱いて箱に入れた。Aさんの
ご主人が裏山に埋めてくださると言った。
うちの猫は今まで皆焼いて、骨を庭に埋めたのだが、
土地があれば土葬にするのがいいのだろう。
