以前、私の実家は熊本にありましたが一昨年前に母が亡くなり、下半身が動かない父が一人になってしまったので、今は実家を処分して父は筑紫野市にある施設にお世話になっています。
その父は10年ほど前に骨折した腰が治らず下半身は動きませんし、半年前に大腸がんを患ったことからストーマを付けていますが、それ以外は頭も体も驚くほど元気です。
そんな父、施設に入所してから頻繁に私に電話を掛けてきます。
私が仕事中であろうと無かろうと本人のタイミングで掛けてくるので、出られない時は手が空いた時に折り返すのですが、その時は繋がらない事が殆どです。
もしかしたら急用かも知れないと何度か掛けますが、ようやく繋がっても大した用事は無く、昔話や親戚の話など、いつも同じ様なことを言っています。
私も余裕がある時は良いのですが、時間に追われている時にはストレスに感じ、それが積み重なってこの半年ほど父からの電話にはかなりイライラしていました。
そんな昨年末の休日、自宅を大掃除している時に本棚にある「鏡の法則」が目に止まりました。
それは子供や夫との人間関係に悩む主婦が夫の先輩のサポートで悩みを解決していくという、実話に基づいた物語です。
物語で主婦の栄子は、夫の先輩である矢口のアドバイスを1つ1つ実行していくことで、悩み解決の糸口を掴みます。
もう何年も前に購入し一度読んだ本ではありましたが、その日、私はその本を最初から一気に読み直し、栄子と同じ様に、自分の父に対する思いを紙に書き出してみました。
すると、これまでの父の苦労や一生懸命に私たち兄弟を育ててくれた事への感謝の気持ちから、涙が溢れてきました。
それに、父からすれば最愛の妻を亡くしたあと、コロナ禍の中で住み慣れた熊本を離れ知人の居ない筑紫野の施設に入所して以降、外出はおろか私たち家族との面会もままならない中で、一人とても寂しい思いをしているんだとろうと感じました。
それから父に電話をかけ、「いつも心配してくれてありがとう。」と感謝の気持ちを伝えました。
電話のむこうの父の表情は解りませんでしたが、私自身はスッキリと清々しい気持ちになりました。
それから、偶然かも知れませんが父からの連絡がぐっと減り、少しは安心してくれているのかなと思っています。
(写真は博多雑煮)

