ファンタジー恋愛小説

ファンタジー恋愛小説

主に小説を書いていきます。まだ初心者ですが、精一杯がんばっていきますので、よろしくお願いします。小説家になるという夢を必ず叶えます!

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薄暗い地下水道を二人で走る。
ガルダは年寄りということもあり、避難しているみんなとティル姫を見守ることにした。
地下水道ということもあるので、走ると肌寒い風が頬をかすめる。



「足元気をつけてくださいね!」



いくら薄暗いところでも、足元の視界はとても悪かった。
目の前に障害物があっても気づかないだろう。
出口が見え始めると、少しずつ足元が見えるようになり、
少し安堵する。



鉄格子に近づいていくと、肌寒さから、ドロドロねちねちとした、
嫌な生暖かさになる。
まるで人を殺して、返り血を浴びたときの暖かさのような。



外は相変わらずだった。ところどころに黒い影達が歩き回り、
空は黒い紫色に染まっている。
幸い、こちらに誰も気づいていないようだ。



ロロが必死に鉄格子を開けようとしているがびくともしないようだ。
どうやら力任せに開けようとしているらしい。



「ダメです、開きません……。 ならば」



魔法を使おうと手を動かしたが、僕はそれを制する。



「ロロ、ここで魔法を使って鉄格子を破壊したら、大きな音で敵にばれる。 
敵にばれたら、避難してる人たちにも危害がおよぶかもしれない。 だから力で開けるのは、
やめておこう」



今の僕は珍しく頭がさえている。
いつもはだらだらだが、ピンチになったりすると火事場の力が働くのだろうか。



「困りましたね……。 どうやってここを出ればよいのでしょう?」



僕が若い男性とここに入ったとき、男性は器用に鉄格子を開けていた。
そして鉄格子を元通りに直した。
その時、男性はどのような手順でやり方で、ここを開けたり閉めたりしたのだろうか。
それさえ思い出せれば、なんとかなるのだが。



「ねぇ、ロロ。 ロロたちがここに避難するとき、どうやって入ったの?」



「それは若い男性の方が器用に、開け閉めしていましたよ。 ……あ!」



簡単なこと、その男性を呼びに戻ればいい。
余計な時間を省きたかったせいか、慌てて簡単なことが思いつかなかった。
普通は誰でも思いつきそうなことなのに。
その辺は、まだ未熟者である。



「ロロ、その男性。 呼んできてくれないかな?」



「はい! 分かりました!」



ロロにここを任せると、性格から考えて、うっかり魔法を使ってしまいそうな感じがして、
男性を呼ぶのはロロに任せた。


しばらくしないうちに、ロロは男性を連れて戻ってきた。



「ごめん! ごめん! 鉄格子のこと忘れてた」



そう軽く笑って謝りながら鉄格子に手をかける。
そしてあっという間に鉄格子が開いた。



「それでは、行きましょう! ありがとうございました!」



ロロは男性にお礼を言いながら外に出る。
僕も軽く会釈をして、外に這い出た。
街の中は次第に暗くなっていく。
早く手を打たなければ、ここも黒い霧に飲まれ、荒地化してしまう。

地下水道を出て一本道、突き当たりにぶつかると、城までの大通りが一本道になって、
つながっている。



「ロロ! ここから僕についてこれる!?」



「はい! がんばってついていきます!」



二人でうなづき合い、同時に走り出す。
案外、気が合うのかもしれない。
走り続けていると、目の前から黒い影が次々と現れ飛び掛ってきた。

エンジェルソードを構えて、こちらに飛び掛ってくる黒い影を一振りで消し去る。
なんだか体が温かいと思ったら、ロロが僕に魔法をかけてくれたようだ。
なんの魔法かは分からないが、多分防御系の魔法だろう。



「きりがないですね! 私ひとりじゃあんなの倒せません!」



「走りながら倒していけばいいさ。 エンジェルソードで戦っていけば、
走りながらでも十分進める」



すると突然、ロロが後ろを振り向く。



「ロロ、前見て走らないと危ないよ!?」



「な、何かが後ろから飛んできます!」



「え?」



気配は全く感じないが、物凄い風音を出しながらこちらに飛んでくるような感じがした。



「どうします!?」



このまま必死に走っても、追いつかれるだろう。
なら……。

足を止めて、後ろから飛んでくるものに、迎え撃とうとエンジェルソードを構える。
ロロも慌ててとまり、僕の背後に立った。
次第に向こうから黒い影が見え始め、それは物凄い速度で移動している。
音と感覚で分かる。



「あれは、ドラゴンです!」



ロロが大きく手を振り、自らの居場所を相手に知らせる。
そういえば見覚えのあるものだ。
その時、辺りを揺らせるほどの轟音を発しながらドラゴンは吼えた。



「ユーナさん! ドラゴンが背中に乗ってといってます!」



「ドラゴンの言葉分かるの!?」



「ずっと昔からここで暮らしていればそれぐらい分かりますよ?」



さも当然のようにロロは話す。
恐れ入ってしまう。



「タイミングに合わせてジャンプしてくださいね!」



タイミング?まさかドラゴンが飛んできたところをジャンプで乗るのだろうか。
でもドラゴンが飛んでいる速度はとても速い。
少しでもタイミングをはずせば、置いてかれてしまう。
そんな不安が体を鈍くさせた。



「大丈夫ですよ」



こちらを向いて励ますようにロロが笑顔で言う。
何かをつぶやいた後、僕の足に少し力がみなぎってくる感覚が走る。



「また魔法をかけたの?」



「はい! これで大丈夫ですね!」



後ろでうめき声のようなものが聞こえたので、振り返ってみると、隙間から黒い影がみるみると現れて、
今にも襲い掛かってきそうな感じだった。
しかし何かに足を挟まれているように、隙間から抜け出せずにいる。



「今、黒い影たちの足止めをしています!」



「ロロすごい!」



「私でも恐ろしいぐらいに頭が働いてると思ってますよ……。 火事場の力でしょうか?
でも、この魔法長くは持ちません」



ドラゴンは目の前まで迫ってきた。
とっさに地面を思いっきり強くける。

僕の体は家を軽く超えるほどに浮き、下にはドラゴンの背中が見える。


その背中目掛けて、僕は落ちていく。地面に突っ込むように。

…。

なんとか背中に降りれたようだ。ロロは……。
気づくと、隣にいた。いつの間に……。



ロロの魔法が切れたのか、黒い影達は大きくなりドラゴンに襲い掛かる。
それをドラゴンは周りを小さく揺らすほどの雄たけびで、黒い影をいっきに遠くへふっとばす。
すごい……。



「いつもは大人しいのにこういうときは頼もしいのですよ? 
困ってる人を助けることもあるので」



ロロは自慢げに言う。よほど嬉しいのだろう。
ここを通ると、黒いものが無数の矢のようにこちらに飛んでくる。



「しっかりつかまっててください!」



その掛け声で、しがみつくようにつかまる。
ドラゴンは黒い影を素早くかわしていく。
左右に周ったり、空中で回転を繰り返したり……。
きつい、ついていくのがやっとだ。



それをしばらく繰り返してるとフィア城が見えてきた。
しかしフィア城は黒いが透明なバリケードで守られてた。
邪魔者を入れなくするためだろう。



「どうするの?」



ドラゴンに聞くと、返事をするようにドラゴンはまた雄たけびをあげる。
とても耳に響くぐらいの音だが、耳をふさいで、手を離せば、すぐにドラゴンから落ちていってしまう。
ドラゴンはそのままバリケードに突っ込む。
ぶつかった瞬間、大きな振動で危うく落ちそうになった。危ない。



「やめてください! そのまま強行突破は無茶ですよ!」



ロロが必死にドラゴンをとめようと説得するが、珍しくドラゴンは言うことをきかない。
みんなを守るため、この国を取り戻すために必死なのだろう。
ドラゴンが苦しそうに突っ込むのに何もできないのが、無性に心に痛かった。



「お願いです! やめてください! お願いです!」



ロロは叫んで同じ言葉を繰り返してる。ロロは誰も傷ついてほしくない故に、
無茶をするなと説得している。
僕は何もできないのだろうか。
このまま目の前の戦いを黙ってみてるだけなのだろうか。
いや、エンジェルソードがある。これでバリケードに少しでも穴があけば……。



「ユーナさん! 何するつもりですか!?」



エンジェルソードを構えると、ロロがこちらにも泣きすがるようになった。



「ドラゴンのお手伝いだよ。 ちょっと考えがあるんだ」



構えたエンジェルソードをそのまま黒いバリケードに差し込む。
はじき返されると思い、力をいれて身構えていたのだが、あっさりと穴を開けることができた。
エンジェルソードは黒いものと戦うにはずいぶん相性がいい。
しかし油断はするつもりはない。



「このバリケードにあっさり傷を……」



ロロが信じられないものでも見てるかのような目で目の前の出来事に釘付けになっていた。

するとドラゴンの頭がゆっくりバリケードの中に入っていく。
そして首、胴体、僕達、尻尾と入る。



「どう? なんとかなったでしょ?」



「こんなあっさりと……。 ユーナさん、あなたは一体何者でしょうか?」



「何者でもないさ。 それに今のは僕の力じゃなくて、エンジェルソードのおかげ」



誇らしげにロロに、エンジェルソードを見せる。
その時、ドラゴンの体から黒い稲妻があちこちに散らばり、僕達は放り出されてしまった。
幸いバリケードの外には放り出されなかった。

落ちていく瞬間、ロロがまた魔法をかけ、地面に叩きつけられる衝撃を無効にしてくれた。
おかげで僕達は無傷だ。


しかしドラゴンはそのまま黒い霧の中へと落ちていった。



<第11章 竜の意思 THE END>