「新型インフルエンザ 12」 | 脱奴隷小児科医の刹那主義

「新型インフルエンザ 12」

 さてと、インフルエンザワクチンの接種も混乱の極みですね。

 接種する医療機関を決めるそうですが、おそらく地域の基幹病院になるのでしょうか。

 そうなれば、自治体病院などはただでさえ忙しく医師も不足がちであるのに、さらに輪をかけて
 忙しくなりそうです・・
 いやそれ以上にパニックとなり、まともな診療体制を維持できなくなるのではないでしょうか。
 毎年やってる季節性インフルエンザのワクチンもありますし・・

 基礎疾患の有無(種類?)によって優先接種を決めるそうですが、ご年配の方で基礎疾患が一つもないと
 いう方のほうがまれでしょう。
 その辺りの線引きと対応を個々の医療機関に全て任せるというのは無理がありますね。
 また乳幼児の接種ラインを決めるのも難しいところです。

  
 「わし、まだ新型のあれ打ってもらってへんぞ。熱出て、持病が悪化したら、どないしてくれるんや。」

 「わし、高血圧の薬を医者からもらって飲んでるやけど、優先されへんみたいやな。
  今一緒に同居している娘が妊娠してるんやけども、優先的に打ってもらわれへんのか。」

 「早うから来て待ってんのに、すぐ打たれへんってどういうこっちゃ。」

 「なんや、国が打ていうてるのに金取るんかいな。せっしょうやで。」
 
 「わしゃ、輸入もんは嫌いやさかい、国内産で頼むで。中国産とか怖いからな。」


 「うちの子まだ6か月ですけど、先週肺炎で入院してたんです。早めに打ってもらえませんか。」

 「うちの子、早産なんです。季節性のワクチンだったら生後6か月から打ってくれる病院もありました
  けれど、新型はダメなんでしょうか?」

 「うちの子8か月なんですけど、喘息の気があると言われているんです。インフルエンザで喘息に
  なったりしないのでしょうか?」

 「来月1歳になるんですけど、早めに申込みしてもいいですか?」



 いやいや、書こうと思えばなんぼでも書けますよ。
 いくらでも思いつきます、この手の相談事はね。

 それぞれ個別にどのように対応していくのでしょうかね。

 

 まあ、結論から言うと無理ではないでしょうか。


 では、元奴隷小児科医なりの解決策を提示いたしましょう。

 別に難しい話ではないです。

 BCGやポリオワクチンなど各区や町村などの保健センターで接種することが多いと思いますが、
 その場所を利用するだけです。
 すべて厚労省の管轄でインフルエンザワクチンの接種を行うのです。

 接種基準の取り決めや、説明文書の配布、接種時間や日時、相談窓口などすべて厚労省の管轄で行うの
 です。
 もちろん必要な人材も厚労省が準備するのです。
 接種する医師が足りなければ、臨時で募集すればよいのではないでしょうか。

 各区や市町村の保健センターなら、全国にまんべんなくあるでしょうし、医療機関にかける負担も少なく
 て済むはずです。
 
 だって10月下旬から年内に1700万人分も接種する予定なのですから、医療機関にかかる負担は相当
 なものになるはずです。
 インフルエンザワクチンの接種で忙しくて、インフルエンザ脳症の治療が妨げられるということになって
 は、本末転倒です。

 ワクチンを作るだけ作っておいて、輸入するだけ輸入しておいて、後は医療機関に丸投げしようとして
 いる厚労省をみると、やはり国民へのパフォーパンスが一番大事なのでしょうか。
 どんだけ医療機関が忙しくなろうとも、いろんな問題が起きようとも、〔知ったこっちゃない〕という
 のが本音なのでしょう。
 丸投げするのであれば、ある程度体制が整った状態になってからして欲しいものです。

 はっきりいってワクチンを打つだけなら、たいした時間もかからないかもしれません。
 そのワクチンを打つ前の説明や準備、打った後のフォローに莫大な時間と人手がかかるのです。

 
 それら全てを、厚労省管轄でお願いしたいものですな・・・