あたりがまだ薄暗いなか僕の目は覚めた。
新聞配達のおばちゃんが今日も来た。
このおばちゃんは優しくて、
いつも声をかけてくれる。
だから僕は尻尾でめ~いっぱい気持ちを伝えるんだ。
声もだしたいんだけど・・・・。

おばちゃんを見送ってしばらくすると、
近所のノラがやってきた。
こいつは、年は同じ年くらいで公園や神社でくらしている。
「おはよう。今日も寒いね」なんて言って
今日も、狭い檻の隙間からあいさつした。
そして、
「お前もノラになっちゃえよ。」と、僕をそそのかす。
言われっぱなしの僕。
だけど、本当のところ僕もそう思ってるんだ。

この狭い檻の中で、毎日毎日が過ぎて行って、
僕がこの家にいる意味がないんじゃないかって思うんだ。
そう考えてるうちに、今のご主人が出てきた。
「ワンワン(おはよう)」というと、
「うるさい!どうしてお前はそんなにうるさいんだ。」
と、僕の檻を蹴りつけた。

ぼくは、今のご主人にあいさつをしただけなのに・・・。

間もなくして、今のご主人の奥さんとタケルがでてきた。
「ワンワン(おはよう)」というと、
タケルが何かを言いたげに僕の方をみる。
そこに、「タケル、そんな犬構うんじゃありません!」
と、手を引いた。
「お義父さんがあんなんじゃなかったら、こんな汚い犬なんて・・・」
そう言いながら、二人は家を去っていた。

そうして、今日も僕はひとり檻の中にいる。







いつから僕はこの檻の中にいるのだろう・・・・

あたり一面がくらくなり
吐く息も白く、雪もちらつくなか
僕はたったひとり
檻の中にいる。

立ち上がるので精一杯の高さと、
僕がもう一人いたら見動きすら取れない檻の中から、
毎日同じ景色を眺めてる。



ザザッ、ザザッ、・・・
と、サンダルを引きずる音。
これは今のご主人の息子のタケルの足音だ。

「ほら、ごはん」

と、僕の檻の中に、
2つの器をおいてすぐに家の中に戻って行った。
ご飯の余り物の詰め合わせが僕の夕ご飯。
おいしい時もあればおいしくない時もある
でも、生きるためには食べるしかないんだ。


・・・生きる?
僕はなんのために生きているの?
待っていていんだよね?
きっと戻ってくるんだよね?
そして僕をこの檻からだしてくれるんだよね?。

ぼくはこの思いだけで、
生きるんだ。
待っているからねご主人。

ご飯を食べ終わった僕は、
寒さをしのぐように体を丸めて、
眠りについた。








人生で一番悲しいとき

意識が薄らぐなか

泣いている君達をみていくよりも

笑っている君達がみたいな。


だれともわかちあえない

恐怖とたたかうとき

君たちがえがおであれば

ほっと安心できるんじゃないかな。


だからね。

ぼくが生きているうちには、

僕ができる最大限の愛で

見守ります。


心からわらう顔を見たいから。