東大の講堂へ現れた順子。

目をほんのり赤くして、きっとこの行動に、意を決して移すその日に。

彼女は眠れなかったのだろう。

ピンク一色、全身の戦闘服に身を包み、向かったのは・・・

 

『間違っていた』 ことを伝えなくては

 

背をしっかりと伸ばし、足取り軽やかに闊歩するのは、強がりと鼓舞。

この扉の向こうに、私が初めて好きになった人が、いる

 

終業のチャイムは既に鳴った・・・

その大きな扉を開ける。

講堂にはぎっしりと学生たちが座っている。

でも、その景色は、私の目には映らない。

ハッキリと見えたのは、彼の、ピンク色の彼だけ。

 

教授から声を尋ねられても、丁寧に頭を下げる事だけで精一杯。

 

いつもの、ずっと呼んでいた、その声で呼んでみる・・・「ゆりゆり」

 

「春見?」

講堂に響くその声を、彼はあっという間に受け取り見つけ、顔を上げてくれた。

私が向かうその先、そして彼が来る。

 

「ごめん、やっぱ間違えてた」

驚く彼の表情。

「わたし、カラオケは小室ファミリーから昭和に遡るけどいいの?」

何の話?な彼

「腰痛いし、傷跡なかなか治んないし、寝不足だとふけるけどいいの?」

頷く彼。

「卒業するころ、私、アラフォーだよ、ユリゲラーとか知らないでしょ」

畳みかける私に、大きく頷く

 

 

 

何を言いたいのか、でも真っすぐに自分を見つめて話し始めた春見。

強がりの中に不安を押しつぶして、必死に俺に伝えようとしているものがある。

 

 

「結婚するなら、ひとつなる早でお願いしたいんですけど」

 

『結婚?』

俺   胸の鼓動が早くなる。そして春見がどんな思いでこの場所に来たか。大きく頷いてやる。

隠しきれない笑顔を、自分の溢れる想いが、全身の血を熱くする。

 

そして、彼女の口から出た言葉は・・・

目に、今度は溢れそうな想いを込めて、漏れたのは・・・

「確認だけど、本当に、本当に、私でいいの?」

 

 

何度伝えても、何度その想いをぶつけても、ずっと抱えて来た不安で、彼女は今、押しつぶされそうだ。

俺は、そんな彼女が愛おしく、一気に払ってやりたくて、引き寄せる。

「春見がいい、春見じゃなきゃダメだ、、何回言わせんだよ」

だって・・・

そう言いたそうな、真ん丸な瞳をこちらに向けたまま・・・

 

頬に手を添えて、目を閉じたその唇に、そっとキスをする。

まだその緊張が解けないのか、開けたその瞳は、俺だけに送る眼差しだ。

だから俺は、ちょっといたずらを零してみる。

「やっぱ、変な大人だな」

すると、ぱぁーっと頬を赤くし、笑みが漏れた

「ばぁーか、君ももうすぐそうなるよ」

そんな笑みが混じった、その時だった

 

彼女の口から、、、「好き」

 

今度は、俺を幸せにしてくれる魔法の言葉だ。嘘だろ!嘘じゃない!!

彼女から寄せて来たその唇は、俺の全てを満たしてくれた。

やばいやばい、最高に幸せだ!! 俺の腕の中に納まった彼女、愛おしくて気が狂いそうだ。