漫画ハイキュー!!のキャラクター
影山飛雄の過去から見る「コミュ力」皆無の罪深さ
『ハイキュー!!』は宮城県を舞台に、偶然の巡りあわせから同じバレー部に入った二人の高校生・日向翔陽と影山飛雄が、
弱小校から全国大会を目指す週刊少年ジャンプの青春スポーツ漫画。
しかしこの漫画で最も注目したいのは、競技のあり方よりも
退陣に対する真剣さを説いている面だ。
そしてその一例として殊更に注目してしまうのが、もう一人の主人公
影山飛雄の人間性とトラウマエピソードである。
以下に1巻にて取り上げられている彼の中学時代の失敗のストーリー。
彼は部活でよくいるタイプの頭一つ抜けた実力を持った少年で、
その実力は中学で入部した時点で頭角を現していた。
1つの素晴らしい才能があるからなのか、
協調性に関してはとんだポンコツで、
柔らかいもの言いや、オブラートに包むと言ったことを
知らない上に、自身の飛び抜けた才能への無自覚さから、
周囲にとっての実力不相応な要求を掲げた上に、
言い分も聞かずに怒鳴り散らす。
と言うパワハラ上司の中学生版とも言うべき
横暴な態度を取る
(このことから、彼はいまだに「王様」いい意味でなく
悪い意味で、陰口をたたかれるハメになる)。
そんな彼に対して当然ながらチームメイトは
徐々に不満を募らせ、最終的に一番大事な試合で
チームメイトの不満が爆発して
影山の投げたボールをシカト誰も飛ばない…。
試合は敗北を喫した上に、影山とチームメイト間には
高校生活序盤まで続く明確な亀裂が生まれてしまう。
一連の流れから見た通り、影山の過去の暴言が
めぐり巡ってしっぺ返しを食らったわけだが、
この描写と言うのが非常に痛烈だ。
確かに、社会生活を送る上で一番大切な者は
協調性に他ならない。そしてこの事実に気付かずに
他人の心を踏みにじった影山も確かに悪い。
けれども彼に下った罰は中学生特有の容赦なさから
非常に残酷で、(私事で恐縮だが)神経質だった高校時代の
苦い思い出がよみがえり胸が痛くなる。
私にも同じようなほぼ全員から総スカンを食った
同じような経験がある。
その後、高校において影山は周囲の快活で性格の良い
同輩や先輩によって対人態度を少しずつ改善してゆくが、
このシーンを苦い思い出として忘れることは、
影山本人も、おそらく読者も出来ないだろう。
この漫画のこのくだりほど、人と人との繋がりを
無視して生きることの罪深さを描いているものはない。
スポーツ、部活、何らかのプロジェクトで何らかの
壁にぶち当たった人がいたら、対人関係のヒントに
ぜひハイキューの1巻を読んでほしいとすら思う。
それくらい、社会で生きると言うことの意味を心に
突きつけられるような描き方なのだ。
その後に影山は孤独の王様でなくなるのだが、ここは
ぜひ読んでもらいたい、いい場面です。


