テキサス州のテキサスモータースピードウェイで開催されるテキサス600。600とは、600キロのことであり、248LAP(372マイル)を争う。
昨年は、雨での中止、翌日順延、さらにレース途中で中断し、後日、ワンデーイベントで開催と荒れに荒れた末、グラハム・レイホールとジェームス・ヒンチクリフの一騎打ちとなり、僅差でレイホールが優勝。
以前書いたように、日曜日の生中継で、時間が延長されたたため、最後まで録画出来ず、水曜日未明の再放送を観て、書いているところ。
年2回のNASCARカップ戦は、ともに500マイルだから、かなり距離は短いが、インディカーは荒れる、とにかく荒れる。
今回も、その証拠に、レース前のセレモニー、コースレイアウトなどの紹介、スターティンググリッドの紹介もバッサリカット。
あとでピットウィンドウが48LAPだということは会話で確認。PPはキャリア初のチャーリー・キンボール。スコット・ディクソン、アレキサンダー・ロッシ、トニー・カナーン、トリスティアン・ボーティエとトップ勢はホンダが独占。
佐藤琢磨は、予選8位で、今後のショートトラック、ロードコースでは不利と言われる状況では、是非とも、ポイントを積み上げておきたいところだ。
レースは、キンボールがリードする展開で序盤は進み、15LAP、ロッシに続き、ボーティエがディクソンをパスして、2位、3位に。
25LAP、キンボールとボーティエがトップバトルをすっと展開し、29LAP、ボーティエがキンボールをパス。この辺から、ジョセフ・ニューガーデン、ウィル・パワーのシボレー勢が徐々に浮上してくる。
35LAPには、ボーティエ、ニューガーデン、パワーのトップ3となるが、37LAP、カナーン、ディクソンとヒットしたロッシがスピン、クラッシュ。初のイエローとなる。
各マシンがピットに向かい、ニューガーデン、パワー、ボーティエ、ディクソン、エド・カーペンターのトップ5。ピットロードでヒンチクリフが突如スピン、並走するエリオ・カストロネベスと接触し、ちょうどピットアウトする佐藤琢磨とヒット。
エリオはそれほどでもなかったが、琢磨はフロントウィングを交換することになってしまい、大幅にタイムロス。足回りが壊れなかったのだけは不幸中の幸い。
キンボールにオイル漏れが発見され、そのままリタイア。ヒンチクリフはドライブスルーペナルティでラップダウン。琢磨も1LAPダウンの20位にいる。
49LAPにリスタート。パワー、パジェノー、ボーティエ、ディクソン、ミカエル・アレシンとホンダ、シボレーの混戦でトップ争いが続くが、82LAPには、エリオが4位に。
この集団に“戦犯”のヒンチクリフが粘りに粘り、トップ勢とバトルを展開。2位のパジェノーはおろか、トップのパワーさえ捉える勢い。
91LAP、エリオが突然、スピン、クラッシュ!2回目のイエロー。リードラップカーがピットに向かい、パワー、パジェノー、ディクソン、カナーン、アレシンのトップ5。
琢磨はステイアウト、ウェーバーラウンドを経て、ラップバックに成功。103LAP、リスタート。その直後に、カーペンターが前のマシンと接触し、スピン。3度目のイエロー。
108LAP、リスタート。パワー、パジェノーにボーティエ、ディクソン、カナーンがトップ5で戦う展開が続くが、139LAP、ターン2にデブリで4回目のイエロー。
ここでリードラップカーがピットイン。パワー、パジェノー、カナーン、ディクソン、ボーティエのトップ5だが、なぜか、マックス・チルトンがステイアウト。
このストラテジーには、村田アナも解説の松浦さんも「?」。タイヤもピットウィンドウも限界に近いのに、なぜステイアウトなのか?
148LAPリスタート。チルトンも踏ん張るが、すぐにパワーがトップを奪う。そして153LAP、カナーンとタッチしたヒンチクリフがクラッシュ、ボーティエ、エド・ジョーンズ、ライアン・ハンターレイ、アレシン、カルロス・ムニョス、JR・ヒルデブランドを巻き込むマルチクラッシュが発生。
マシンを長い時間かけて修復して復帰したヒルデブランドを除く6台が消え(うち、5台はホンダのマシン)、レッドフラッグで31分中断。
結局、不可解なチルトンのステイアウトも、直後の惨事で帳消しになる形となり、イエロー後にピットイン。パワー、ディクソン、チルトン、パジェノー、カナーンのトップ5。上位陣がごっそり消えた中、琢磨が8位に浮上している。
160LAPにリスタート。マルチクラッシュの起因となったカナーンは、ストップ・アンド・ゴーだが、20秒のストップが加算され、2LAPダウンに。
170LAP、パワー、パジェノー、ディクソン、ニューガーデン、琢磨のトップ5。190LAP、ニューガーデンがピットイン、タイヤにブリスターが出来ている。
デブリなどではなく、強制的にピットインとタイヤ交換が義務付けられ、ここで6回目のイエロー。実況では、ファイアストンイエローなどと喋っていたが、正式には何と言うのだろうか。
ディクソン、パワー、パジェノー、琢磨、グラハム・レイホールのトップ5で198LAPリスタート。
201LAP、パワーがトップ、パジェノー、ディクソン、ニューガーデンが3ワイドでのバトルを展開し、琢磨はその後ろで機を伺う・・・が、ニューガーデンがクラッシュし、7回目のイエロー。
パワー、パジェノー、ディクソン、琢磨、チルトンの順で210LAP、リスタート。一度はトップ3に遅れた琢磨だが、215LAP、パワー、ディクソンが1-2。パジェノーとのサイド・バイ・サイドのバトルを制して3位となる。
さらにディクソンにも襲い掛かり、223LAP、ディクソンをパスして2位に。パワーに迫るが、ディクソンも抜き返す。
225LAP、コンペティションイエロー。どうやらこれが正式名称らしい。NASCARではお馴染みだが、30LAPごとに強制的に行うというのは、全く違う。
パワー、ディクソン、琢磨、パジェノー、チルトンのトップ5で229LAPリスタート。レイホールはピットでのエンジンストールで9位まで後退している。
度重なるイエローでカナーンはリードラップに復帰。パワー、ディクソンのトップバトルが激しさを増し、パワー夫人がペットボトルをあり得ない方向に捻じ曲げている。
「ペットボトルは犠牲になったのです」と村田アナw。一度は後退した琢磨だが、242LAP、2列目3ワイドでカナーン、パジェノーとの3ワイドのバトルでアウトから3位。
オーバルでイン、アウトを激しいムーブで走るアグレッシブさには、観てる側は面白いと言うより、冷や冷やする。
そして、244LAP、パワー、ディクソンの後ろにいた琢磨は、グラスに突っ込みスピン、2位のディクソンも巻き込み、コナー・デイリー、チルトンも巻き添えにしてリタイア。
そのままイエローコーションでレースは終了し、180LAPをリードしたパワーが優勝。カナーンは何と2位で、パジェノーが3位。
レイホール、ギャビー・チャベスまでがトップ5で、琢磨は10位に終わった。ディクソンはよほど怒ったのか、インタヴューにも答えず、スクーターで去ったが、これは琢磨が悪いだろう。
貴重なポイントを失っただけでなく、あの状態で優勝の目はなかったし、トップ5に入れれば、シリーズを戦うには十分だったはず。
ディクソンは十分にスペースを空けていたし、見えていなかったとしたら、スポッターとの連携の問題で、やはり弁解出来ない。
あれだけ理知的にものを考えられる男がいざ、ハンドルを握るとこういうミスをする。シリーズを通して戦うにはまだまだ伸びしろがないと難しい気がする。
パワーは通算31勝目(チャンプカー時代の2勝含む)で、ランキング5位に浮上。チャンピオンの目が出てきたか。