2024年2月

兼題:春風  当季雑詠
出題者:素頓


【春風や堤長うして家遠し  蕪村】
参考句解:春風がそよそよ吹いている。堤は長々と伸び、故郷のわが家ははるか遠方にかすんで見えない。
「長う」「遠し」のO音の対が長堤のイメージを増幅している。

~~~春に吹く風は暖かく穏やかに心地よい~~~


健やかと祈りの太鼓春の風   泰山
お宮参りに太鼓で祝う
*心臓によくないなんて言わないで感謝をこめて踊ろうよ。
上五は字余りになっても「健やかにと」としたい。

鬼やらい手渡されたる豆五粒   泰山
物価高騰の折から
*5粒は少なくないか、せめて10粒。

春風が頬と心を撫でていき   一桂
心を撫でるという表現がいい
*撫でる行為は「生きてました。」と生存確認か、痴漢行為か。
「春風が頬を撫でる」は常套句だが「心も撫でた」のが良い。

幼子の肌やはらかに春の風   ゆめ
高齢者は体も頭も固い
*幼子の柔らかな肌の懐かしさよ、羨ましさよ。

春風に浮かれふわふわ何もせず   ゆめ
食べる事だけ忘れない。
*年中ボーとしています。ボーッと生きてんじゃねーよ!

大空の青へ旅する春の風   素頓
行ってらっしゃーい。
*中七は詩的に工夫の跡。

春風にゆらゆら揺れしトンビかな   素頓
されど弁当を狙って急降下
*のんびりしていると食事を掠(かす)め取られますぞ。
湘南のトンビは恐るべし!

春風を求め伊豆へと一人旅   鳥閑
踊り子に会いましたか?
*お一人とは贅沢な。だけどあの踊り子も老婆になっているよ。
俳句に詠むのは勿体ないほど川津桜は素晴らしい。

春風の土手気がつけば一万歩   鳥閑
今日は体が軽い
*気持ちよく歩けた今日も元気だね。



春風や水琴窟の音色ほど   摩天
ほどの続きは読者任せか
*ささやか、やさしい、かすかなほどの風。
水琴窟の音は「冴返る」が似合いそう。

病床の窓を開ければ春の風   摩天
もう少し生きたいよ
*春が来ていることに気がつき良くなって退院かな。

関白亭主我が家は常に春の風   一兎
嫁は賢い
*心の中では嵐の日々でしょう、家庭訪問してみたい。

春風や大河の果てに光る海   一兎
ここに地終わり海始まる 大好きな言葉です。
*鵠沼海岸?東京湾?揚子江?オホーツク?正解は石巻の海。◎1〇4の高得点句。

春の風ベンチに開く文庫本  碧水
春風を頬に至福のひと時よ
*読書家のじい散歩、まだまだ青春。◎1〇4の高得点句。

春の風心が先に旅に出る   碧水
お金は後について来ぬ
*そのまま体は置いて来た遊離現象。◎2〇4の最高得点句!!

春風や砂漠にも咲く花のあり   鈴蘭
砂漠にも春がある
*「東京砂漠の花は夜開く」とコメントの鳥閑さま、コメント大賞

春の風北の大地の目覚めかな   鈴蘭
芽吹き始まる
*春眠で中々目覚めず、熊も遅い目覚めであればいい。


(札幌雪祭り ススキノ会場の氷像)