2021年12月

兼題 「着ぶくれ」 「当季雑詠」

出題者 碧水


(2年前の着ぶくれお姿です。)
「冬の寒さを防ぐために何枚も重ねて着ること。」と歳時記に載っています。
着ぶくれて動作が鈍くなった様子や着ぶくれの犬を詠んだ俳句など、
句の背景を想像すると滑稽で楽しめます。


公園に着ぶくれ集う犬仲間  泰山
犬友のお付き合いも楽じゃない(選句も)

着ぶくれて文七元結反芻す   泰山
少し脱いだ方が勉強になりませんか
〇7の最高得点句。「作者を一桂さんと思って。」という声が聞こえたような・・

着ぶくれの背中掻きあう昼休み   一桂
猫でしょうか。
「昼休みは小学校の昼休みのイメージです。
給食を食べて運動場に遊びに行く。
着ぶくれていますから、運動すると暑くなり、背中がかゆくなります。
友達に「かいて~」といってかいてもらう。」という背景の句。

息白しわれはこうして生きている   一桂
生きるしかありません

飼い主も犬も着ぶくれ夕茜  ゆめ
迷惑そうな犬の表情
「犬用のダウンジャケットもあるそうよ。」

婆ちゃん子いつも着ぶくれコロコロと   ゆめ
お婆育ちの三文安。過保護です。



着ぶくれて死に神も即逃げにけり  素頓
まだ死にそうもないから、と?
死因は着ぶくれ(鈴蘭)「七五五の句とひとり勘違いのコメントに「深読み賞」」

着ぶくれて講堂で聴くベートーベン   素頓
演奏者は着ぶくれていない

着ぶくれの無言の列や始発駅   鳥閑
こころでは叫んでいる。「さっさと入り口開けろ」

着ぶくれてやっと浚ひし犬の糞   鳥閑
屈むのに苦労
「犬の糞を浚うっていう?」「拾う、片付ける、拭き取るなども浮かびましたが、
浚うになりました。
犬の句には常連がおられるので、少々下品な「犬の糞」を詠みましたとさ。
*浚う(さらう)



着ぶくれてぽつねんと待つ終電車   摩天
来ないかもしれない

難民の無言の列や寒の月   摩天
子供の澄んだ目が刺さる
「何もできない無力感」でも自由句に力強く◎を付けたゆめさん。

着膨れやレントゲン技師毛むくじゃら   一兎
レントゲン技師が脱いじゃった

子も犬も鼻をひくひく畳替へ   一兎
畳替は冬の季語と知るも「ひくひく」が分からず
「匂いを嗅ぐことを「鼻をヒクヒクさせる」と言いませんか?」



着ぶくれて小銭まさぐる自販機前   碧水
◎2〇3の最高得点句で「朝市や客も売り子も着ぶくれて 碧水」
こちらの句も〇7の最高得点句と絶好調の碧水さん。

着ぶくれを解いて鉄棒逆上がり 碧水
ついに逆上か(素頓さん)にコメント大賞!

着ぶくれし目で追ふ宇宙ステーション 鈴蘭
着ぶくれると宇宙飛行士のようだ

初雪や白紙にしたきことのあり 鈴蘭
融けたらバレるかもね


よいお年をお迎えください
来年もよろしくお願いいたします。