2020年7月


兼題:「氷菓」  「当季雑詠」
出題者:一桂

   
歳時記によって「氷菓」は氷水の傍題として載っていたり、「氷菓」の傍題にかき氷がのっていたり、
「氷菓」も「かき氷」もそれぞれが独立した季語として載っていたり。
石の会は夏の氷菓子全部を「氷菓」ということといたしましょう。


神宮にアイスキャンデー売りの鐘   泰山
「あの鐘の音は涼を呼ぶ」
「エツ、そんな鐘の音あるの?」
◎1〇5の最高得点句
「昭和23年ごろから我が家では、食堂をはじめました。
そこで、アイスクリームとキャンデーを製造していました。
戦後引き揚げの叔父たちが、箱にキャンデーを入れて神宮へ売りに行っていました。
貧乏でしたが、皆なで一所懸命に働いていました。その思い出です。」

夏座敷七十五年生きました   泰山
「まだまだ生きて下さいよ」
「頑張りましたね~」

氷菓売る翁の笑みの温かし   一桂
「買う子は良い子、買わない子は悪い子」
「売るための作戦ですぞ」
氷菓の冷たさと笑顔の温かさに〇4の高評価。

 

かき氷ありますと旗のはためきぬ   ゆめ
「ハタハタが売りの句」
「幟(のぼり)はためきぬ、では如何」

夏帽子あれこれためし決められず  ゆめ
「店側は消毒が大変です」
「コロナ予防のため商品には触れないで下さい」
「あれこれ迷って結局は買いませんでした」とさ。

二人旅甘さを分かつ氷菓かな  素頓
「この時は良い関係でした。」
「そんなときもありましたね」

薔薇色の雲をながめつ氷菓喰ぶ   素頓
「ビレッジシンガーズの歌を聴きながら」
「そしてバラ色の明日を思う・・はずだった・・コロナがすべてを奪った」
夕焼け空の句が多い素頓さん。きっとすてきな思い出がおありなのでしょう。



約款の文字びっしりと氷菓噛む   鳥閑
「約款と氷菓の関係は?氷菓の箱か袋に書いてある説明書?」
「アイスクリームの包装に免責条項がびっしり。知らなかったです」
保険等の約款です。
約款は内容が硬くて味気ない、氷菓は硬いが味がある。

バスを待つアイスクリーム一個ほど  鳥閑
「こないので、ついもう一個」

かき氷口から鼻へ抜けにけり  摩天
「それから目から鼻へ抜けたおかげで賢くなりました。」

炎天やウイズコロナの声虚し   摩天
「アフターコロナも検討せねば。」
「ウイズアウトの声高し」
ソーシャル・ディスタンス、ロックダウン、パンデミック、クラスター、オーバーシュート、
三密、アベノマスク、コロナ太りなどコロナ用語も感染者数も増えています。

 

古(いにしえ)はあずき氷や海野宿  一兎
「海の宿の変換ミス?」
「海の宿」の変換ミスではありません。「海野宿(うんのじゅく)」という北国街道の宿場です。

梅雨前線利根の中洲は水の下   一兎
「中州は危険です」
「あっ家まで、泣かすね」
中洲で泣かすの駄洒落コメント。

白熊の親子の前に氷菓売り   碧水
「熊にも一本。」
「白熊が欲しがります」

天然の文字につられてかき氷   碧水
「わかります、その気持ち」
「天然に弱い」
秩父 長瀞の人気はライン下りと天然かき氷!?

濃厚なソフトクリーム大牧場   鈴蘭
「搾りたてです」

泣きじゃくる児に氷菓のなだめ策   鈴蘭
「ハイ、早く泣き止まないと溶けちゃうよ。」
「中6なので児を吾子とかに」

暑中お見舞い申し上げます
熱中症にも感染症にも気をつけてお過ごしください。
(中富良野町のラベンダー畑とメロンミックスソフトクリーム)