アイスダンスのおかげで知恵熱が出ている灰原です。いや、たぶん雨にあたったせいでしつこく治ってなかった風邪が悪化しただけなんですけど…。なんのなんの負けませんよ。アイスダンスのステキパワーでもっと熱を出して体中のウィルスを一気に殲滅じゃ!
世間はJOだというのに乗り遅れる気まんまんで今日もイエテボリアイスダンス記事、GOです!
☆タニス・ベルビン&ベンジャミン・アゴスト組
CDで、まさかの転倒で出遅れたベルアゴ。ODでは得点を伸ばしましたが、今季、ODはいい組が多くて、ごぼう抜きにはいたらず。メダル目指して、全力の演技を見せてくれたFD。曲はショパンから。
冒頭、いきなりジャッジのまえで魅せる振付。そこからステップに入るんだけど、うっわ、やっぱ巧ま! 猛烈な安定感です。軸足もエッジもぶれないし、アゴスト選手のサポート最高。ベルビンちゃんもエッジワークきれい。ツィズルも、リバースしても楽~に4回転シンクロするもんね。ステップの距離も近いし、こんなに巧いのに、なんでこの人たち世界チャンピオンになれないんだろう。
ホフノビみたいな派手なリフトはないんですけど、柔軟性を活かした美しいポジション。アゴスト氏の保持が、また、さらっとしてるんですよね。簡単そうにやるし、だけどたんに保持しているだけでなくて、ひとつひとつのポーズが素晴らしくカッコいい。これはすごいと思う。
メダルが難しいのはふたりともわかってたと思うけど、最後まで全力で魅せてくれた。素晴らしい演技でした。演技を終えたふたりが満足そうで良かった。うれしかった。
ただ、やっぱり振付がもうひとつかな、と思いました。ベルアゴは巧いんだけど、巧さを見せるプログラムではなくて、もっと物語というか、世界を見せてほしい。水のように流れるこのプログラムで、なにかを表現したいのはすごくわかったんですけど、なにを表現したいのか、ハッキリかたちになってなかったかなと思いました。そこが、表現の方向がガッチリ固まってたカップルたちの後塵を拝した理由のひとつではないのかなと。
ふたりの愛でもいいし、友情でもいい。あるいは怒りでも悲しみでも、かわいらしさでも優しさでも。ふたり自身からメッセージが発せられさえすれば、すぐにも世界チャンピオンになれると思います。
ベルアゴは、巧くなるのがほかのカップルより早過ぎて、感情表現がいままで追いついてなかったんじゃないかというふうになんとなく思う。トリノ五輪のころまで、技術であるていどまでカバーできたんだと思うんですよね。ただ、やっぱり人を感動させるのは技術だけではないから。スポーツであるアイスダンスにそこまで芸術性を求めるのは酷かなと思うけど、ほかのカップルもみんな技術力はあって、勝負は表現力! みたくなってるのは事実なので…。
ベルアゴだってここまで巧くなるからには、スポーティなだけじゃなかったはずだと思うんですよ。情熱だってあるだろうし、挫折だってあったろうし、きっと喧嘩もしたでしょうし、泣いて実家に電話したことだってあるでしょう。ひとつひとつ、それを乗り越えてきたからいまがあるんですよね。自分たち自身を表現してくれればもうそれだけで素晴らしいものが出来上がると思います。伝説的な演技だってできると思う。もう技術は持ってるんだし!
「アイスダンスといえば恋愛表現」みたいに言われるけど、そこは気にしなくていいと思うんだな。ナフカ&コストマロフ組とか、必ずしも恋のイメージはなかったし。それでもオリンピックで金メダル取りましたからね。あのふたりからは「わたしたちは美しいでしょう」という猛烈なメッセージが発せられていたよーな気がします(ええ、もちろんお美しいですとも、ナフカさま)。
ふたりともすごく魅力的なんだから、あとは心を見せるだけ。コーチ変更がうまくいくといいですね。壁が見えるのは、ジャンプできるからです。来季楽しみです。頑張って!
☆ヤナ・ホフロワ&セルゲイ・ノビツキー組
ODの「ロシアンジプシー」ほんとにステキだった~。なにしろロシア、お家芸だけに、雰囲気をよく捕まえていたと思うし、ふたりのワイルドな持ち味と、ジプシー民謡の持つ泥臭さがよく合ってて、におい立つような素晴らしさでした。
さて、FD「はげ山の一夜」。もうこれはねえ、名プログラムですよね。アイスダンスでありながら、ここまで優雅さとかかなぐり捨ててワイルドに攻めていいのでしょうか。アクロバット志向より足元の美しさを、ってかんじで、ISU的にはダンスの今後を指導していきたいみたくって、来季からダンスリフトの規定がまた変わるそうなんですけど(どう変わるかはちょっとちゃんとまだ調べてない)、ホフノビだけは別枠にして欲しいです(無茶いうな)。
冒頭、おどろおどろしいポージングからシンクロナイズドツィズルはきれい。ヤナさん相変わらずスピードあるなあ。サーペンタインリフト、肩の上でヤナさん倒立状態から、ノビツキー選手の首に肩膝だけひっかけて巻きつくように全身を保持って……どんなリフトだよ(泣)! いつ見ても、わかっているのに、ホフノビのリフトのすごさにはため息が出ます。ヤナさんの抜群の身体能力によって、どんなポジションからもありえないスゴ技を繰り出してくるのだ……。
つなぎのステップでも、ヤナさんが屈んでノビツキー選手の足を持ち上げて見せたり、かと思えば、ヤナさんブリッジ体制でポンプみたいに上下に体を動かしていたり、相変わらずヤナさん大活劇でした。ヤナさんはパーフェクトに素晴らしかったと思います。
ノビツキー選手も、すごく頑張った。雰囲気も出てたし。たしかに頑張ったのはわかるんだけど、でも、サーキュラーステップの途中のツィズルでずっこけたときには「ノビ太ーーッ!」と叫んでしまいました…。ああ、絶対やると思ってたけどやっぱりやらかしたか。オリビエさんのツィズルとノビ太の全体にはつねに油断がならない。失敗に動揺したのか、そのあともちょっとターンが曖昧になっちゃった気がする。ヤナさんが強気にリードしてましたけど。ここでレベルを落として、FDだけだと5位。ファイスカとベルアゴには負けています。
でも、オーラス、ヤナさんビールマン状態からノビツキー選手が膝を掴んでのローテーショナルリフト、ヤナさんがハンドバッグに見えるので、灰原、ハンドバッグリフトって呼んでますけど、いつもより多く回っておりますという雰囲気で。ノビツキー選手も全力投入。頑張ったね!
あと、ホフノビはCDが良かったー。切れまくりで、フリーレッグがバッチリ揃ってました。CDの特訓がほかにもいい影響を及ぼしたかな。
持ち味全開で、素晴らしい大会だったと思います。知名度を上げた1年でした。ロシアでは、ドムシャバに続く2番手と認識されてきたはずですが、ロシア選手権優勝、ヨロ選3位、世界選手権3位、という戦績で、実績的には肩を並べるところまで来たのでは。ドムシャバもうかうかしてられないだろうし、ホフノビは一気に抜いちゃいたいでしょう。来季は2チームとも楽しみです。銅メダルおめでとう!
☆テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア組
出た! モンスターカップル!
「ホフノビのあとにテッスコの演技を見ると、同じ競技とは思えない」桃木先生談。そうですね。アイスダンスって自由すぎる。
灰原は、さすがにワールドではまだメダルは無理だろうと予測したのですが……ごめんなさい。なんと銀メダルを獲得してしまいました。びっくり。
OD「黒い瞳」は、素晴らしかったんだけど、ちょっとテッサちゃんに緊張が見えたかな? 正直言って、グランプリシリーズのほうが出来が良かったかなと思いました。このふたりにしては、ミッドラインステップのユニゾンが狂っていたと思う(このふたりにしては、です。ふつーに考えたら超合ってます)。それに、ホフノビと同じ系統のダンスということで、生命力の塊みたいなホフノビと比べると、やや巧さが目についちゃったというのはあるかなー。要求高すぎてごめんなさい。
で、FD「シェルブールの雨傘」ですが、ODとはガラッとイメージを変えて、神々しいほどに清楚に。突然、雨に降られたように、出会ってしまった少年と少女が、まっさかさまに初恋に落ちていく感じ、高揚感と切なさが、おそろしいほど胸に迫ってくる、すごい演技でした。やはり、ベルアゴとコーチも振付も手がける人が同じということで、スピンの構成とか、リフトの前後の振付が、非常にベルアゴに似ているんですが、ただやっぱりプログラムがふたりに合っている、というのがすごい強みになって、ベルアゴ越えを後押ししたと思います。この初々しさ、清楚さ、若さゆえの未来への期待と先の見えない不安感、こういう、湿っぽい青春モノの滑れるの、もう彼らしかいないじゃないですか。同世代メリチャリはもっと闊達な雰囲気だし。
もちろん、表現が素晴らしいだけでなくて技術もすごくって、足元がもう、軸足もフリーレッグも流れるようにユニゾンしているし、ガチャガチャしたところがいっさいない。スピードもねえ。スコット君が飛ばしまくるんでテッサ大丈夫かと思いましたけど、きっちり合わせます。女子とは思えない速さ! ODでは、プラス評価ばかりはしきれない、と思った猛烈な巧さが、プログラムを底上げしてくれました。うー、ハマるプログラムを手に入れるのは強い!
改めて何回も見て思ったのは、恐ろしいことに、技術的にはまだ余地があるなってことで。たしかに巧いし、たしかに持ち味があるけど、技術の洗練ではベルアゴにはまだ負けると思いました。そしてまだまだ伸びると思った。こわいなーどうなのよもう…。
あと、いま彼らが持っているテーマって年を重ねても滑り続けられるテーマじゃないから。これからキャリアを重ねる中で、「青春」だけじゃない持ち味が出てくるといいなと思いました。昨年の「悲しきワルツ」も、若い悲恋がテーマだったと思うので。
ただねえ、もう、彼らについては、将来どーなるんだとか、そんな心配不要かもしんないですよね。このままどこまでも突っ走ってって伝説になっちゃうのかも。もっともっと遠くまで行っちゃってください! 来季も楽しみです。銀メダルおめでとう!
☆イザベル・デロベル&オリビエ・フェルダー組
ODでは、スカーフを使った小粋なダンスがステキだったデロション。FD「ピアノレッスン」は、NHK杯のときとは、かなり振付を変えてますよね。衣装も違うし。灰原は以前の振付もストイックでとても好きだったんですけど、新しい振付も華やかで見ごたえがあり、いいなーと見入ってしまいました。
おたがいの距離が近く、軸足の角度もピタリで合ってて、コンパルソリでもないのにきっちりしたステップをちゃんと見せてくれて、スピードも速いだけでも遅いだけでもなく表現にあわせた緩急自在で、やっぱりアイスダンスはこうじゃないとね! って思いました! オリビエさんが回転するところ以外は、まったく心配せずに見られますよね。そして今回のオリビエさんは鮮やかに軽やかに回ってました。どっかのノビ太くんとは違って…。
ドムシャバ欠場、ベルアゴCD出遅れ、ワールド金メダルが間近いところで滑るというのは、いままでにない経験だったと思うし、でもそのプレッシャーに良く耐えたと思います。
リフト、ステップ、スピン、すべてのエレメンツが、ひとつの物語世界を表現するために有機的につながっていて、とんでもないポジションのリフトとかやってるんですけど、このうえなく自然に見えて、びっくりしない。融和している。チャンピオンにふさわしい演技だったと思います。
去年の「ボニー&クライド」も相当好きだったんですけど、今年の「ピアノ・レッスン」、NHK杯のもイエテボリのも保存版にします。ありがとう。
思えば、去年のNHK杯って、ダンスはすごいメンツでしたよね。ワールド表彰台、3組とも来てたんだ。しかもカー姉弟が4位! ペアも、サフソルとデュベデビが来てたし。豪華でしたね~。
最後の振付だけ、口をふさぐ以前のバージョンのほうがロマンチックで好きだったな~、あれだけ残して欲しかったなと思わなくはなかったんですけど、でもね、文句なし金メダル。素晴らしいー! おめでとうございます!
というわけで、アイスダンス語りも終了です!
8位から順番に書きましたけど、書けなかったカップルたちもそれぞれに素晴らしかったわけで。堪能しました。そしてまた、知恵熱が上がりました。
最後に叫ばせていただきます。
アイスダンス最高!
女神幻想ダイナスティア
は乙女のためのコミュニケーション重視のMMOオンラインゲーム。
争いのない世界にあなたも遊びに来てね。
今なら無料で遊べます!
※乙女なショッピングモール「乙女のおかいもの」でもうきうき情報紹介中!
※メルマガ「ダイナスティア情報局」登録はこちらから!