昨日のフランス国内選手権でのヤニック・ポンセロ選手について書いた箇所で、「2A+3Sは本来コンボだと思われる」とか馬鹿を書いた人、灰原です。
3Sをどーやってセカンドにつけるんだ!
スイッチジャンパーでないと無理……。
2A+3Sがシークエンスなのは、本来どおりの振り付けのはずです。ポンセロ選手、ポンセロ選手のファンの方、ほんとうに申し訳ありませんでした。



さて、昨日からの宿題、アレクサンドル・ズーリン氏インタビューです。
日本語書き取りをするまえに、蛇足ですけど、あらためて『ズーリンさんってこんな人』というあたりを、さらっとご説明しておきますね。
現在、村主章枝選手のコーチ兼コレオグラファーとして、日本でも知られているアレクサンドル・ズーリン氏は、選手時代は、旧ソ連→ロシアのアイスダンス選手として活躍しました。選手時代のパートナーは、マイア・ウソワ選手。オリンピックにも2度出場していて、アルベールビルで銅、リレハンメルで銀メダルを獲得しています。
日本のスケーターの、伊藤みどりさんとか佐藤有香さんと同じ時代に活躍していた方です。ちなみに現在アメリカ籍でトリノ五輪にも出場した井上怜奈選手は、日本選手としてアルベールビル(ペア)、リレハンメル(シングル)と出場しているのでした……怜奈ちゃんすごい!! どんだけ息が長いのー!!! 
思わず井上怜奈選手のすごさに驚愕してしまいましたが、すみません、ズーリンさんの話題だった。いかんいかん。
で、引退後、コーチとなったズーリン氏は、コーチとしてアイスダンスカップルを育て上げます。タチアナ・ナフカ&ロマン・コストマロフ組。ナフカ&コストマロフ組は、ソルトレイク五輪のシーズンまでは、正直あんまりパッとした評価をもらえませんでしたが、ソルトレイク後急成長、金メダルを総なめするモンスターカップルとなり、トリノ五輪優勝を花道に競技引退するのでした。
ナフカ&コストマロフ組引退後、ズーリン氏は本拠地をアメリカからロシアに移しました。村主章枝選手の振り付けを担当するようになったのは昨シーズンから(FSのみ。昨シーズンのSPはローリー・ニコル作でした)、コーチを担当するようになったのは今シーズンからです。
そんなアレクサンドル・ズーリン氏のインタビュー、それでは日本語書き取りいってみましょう。
いつもの言い訳ですが、灰原は語学力に乏しく、日本語書き取りは、自動翻訳を日本語らしく整えただけのものです。読み取り間違いはありえますし、わからないところは想像の翼で補っている場合もあり、さらにわからないと、飛ばしていたりもします。
よろしければ、原文もお読みいただけると、うれしいです。
英語有志翻訳版こちら→ http://www.ffsg.org/france_elite_2007/index.htm
ロシア語元記事こちら→ http://www.smelite08.ch/cmsimple/result/index.htm  
それでは、日本語書き取り本文にどうぞ。




【アレクサンドル・ズーリンコーチインタビュー】



モスクワ。フィギュアスケートグランプリシリーズ、カップオブロシアは、わが国の代表選手のうち1組が金メダル(アイスダンス:ドムニナ&シャバリン組)を、2組が銅メダルを(男子シングル:グリアツェフ選手 ペア:川口&スミルノフ組)獲得して終了しました。
アレキサンドル・ズーリン氏は、モスクワを本拠とする高名なフィギュアスケートコーチであり、かつてのロシアアイスダンスチャンピオンです。
専門家であるズーリン氏に、今後のロシアフィギュアスケート界の展望についてお聞きしました。



―はじめにアイスダンスについてお訊ねします。ロシア杯で、ドムニナ&シャバリン組は、記録的な高得点で優勝しました。国内のライバルであるホフロワ&ノビツキー組は、国際的には彼らに水をあけられている、と考えてよいものでしょうか?


「名前をあげられた2組は今シーズン、同じ試合で、同一評価のもとでは競っていません。いまの質問には答えることができませんね。
ドムニナ&シャバリン組は本国ロシアで競い、ホフロワ&ノビツキー組は手ごわいライバルたちの本拠地フランスでメダルを得たということも、忘れてはいけないと思います。
ようするに、ロシアは2組の才能あふれたアイスダンスチームを擁している、と私は考えます。オクサナとマキシムは、力強く、美しく、ラインは華麗で、表現力は壮大にして壮麗です。新採点法にもよく対応していて、明確に難しいプログラムに取り組んでいます。
ただ、最近のアイスダンスの傾向として、女性ダンサーが軽く小さいほうが有利である面はあると思われます。女性が小さいほうが、難易度の高いリフトなどの技が容易だからです(灰原注:ドムニナ選手はけっこう大柄です)。
アイスダンスの現在のジャッジシステムでは、表現力や技術の正確さはもちろんですが、そもそもあらかじめ設定されたプログラムの難易度や構成も重要視されます。かつてのアイスダンスとは、もはや別種の競技といってもいいでしょう」


―ホフロワ選手のアクロバティックな動きが、ドムニナ選手のアカデミックな動きよりジャッジに好まれる、というようなことはあるでしょうか。


「さあー。それはわかりません。
ただ、私自身は、パリで、ヤナとセルゲイのフリーダンスにエキサイトしました。
彼らの今年のフリーダンスは素晴らしいですね。彼らは、このプログラムによって、昨シーズンより多くの点を得るだろうと私は確信しています。
私は、今年のロシアナンバーワンはオクサナとマキシムだろうと予測します。ただ、彼らの頭上に一点の雨雲もなしとは言えませんね」


―ロシアスケート界は、ペア競技についても、アイスダンスと同じような状況にあります。つまり、ほぼ同じ実力レベルの2つのチームを抱えている。川口&スミルノフ組と、ムホルトワ&トランコフ組と。


「私は、オレグ・ワシリエフコーチのムホルトワ&トランコフ組への指導法が好きですが、指導の技量的には、タマラ・モスカヴィナ女史に軍配が上がると言わざるをえません。川口&スミルノフ組のプログラムは、彼らのライバルのものよりも難易度も高く、面白くて、優れています。ワシリエフコーチが彼自身の独創性をムホルトワ&トランコフ組にたいして発揮できるようになれば、ペアは興味深い成長を見せることでしょう」


―ロシア杯において、ムホルトワ&トランコフ組は、順位において彼らに勝った川口&スミルノフ組よりも、PCSでは高評価を得ています。これは奇妙ではありませんか?


「べつに奇妙ではありませんよ。彼らはロシアチャンピオンです。ナショナルタイトル保持者が、得点において優遇されるのはままあることです」


―ナショナルタイトルを持たない川口&スミルノフ組が高得点を得るためには、ごく難しい要素(スロークワドサルコウのような)を実施せねばならない、ということでしょうか。


「そういうことですね。私自身、パートナーのマイア・ウソワとともに、当時のチャンピオンカップル、クリモワ&ポノマレンコ組に対抗するために、手を尽くして戦い続けたものです」


―ロシア杯の女子シングルについて、感想をお聞かせください。


「私の教え子、村主章枝選手の不調は、思いもかけないことでした。彼女のフィジカルのコンディションも悪くはなかったし、訓練もよく進んでいたのですが、最終的な局面で、彼女は心理的に動揺したようです。
韓国のキム・ヨナ選手には強い印象を与えられました。彼女はスケートの神の申し子だと思います。すっかり気に入ってしまいました。彼女の演技に触れるとき、私は観客になってしまい、コーチでも専門家でもなくなってしまいます。
ロシア選手のうち、私は、カタリーナ・ゲルボルト選手が好きでした。ニーナ・ペトシコワ選手は、思い切りよく滑って、よくやったと思います。彼女は優雅さを身に着ける必要がありますね。もちろん、私たちにはもうひとり、礼儀正しい選手がいます(灰原注:アリーナ・マルティノワ選手のことだと思われます。マルティノワ選手のロシア杯での成績は奮わなかったため、おそらくこんな奥歯にものが挟まったよーな物言いになったんじゃないかと…)」


―スケート連盟のヴァレンティン・ピセーエフ氏は、ロシアの女子スケーターたちにたいして、おおやけに批判的な発言を繰り返しています。女子選手たちにたいして心理的なプレッシャーを与えるこの種の振る舞いが、正しいと思われますか?


「ええ。私は会長の言葉を支持します。たしかに、女子選手たちは打撃を受けるでしょうけど、知ったこっちゃありません。
失礼。もちろんいまのは冗談です。
しかし、選手たちにたいして過酷さは必要だとも思います。
ピセーエフには、私も怒鳴られますよ。
彼に、たとえば私が、『うちの教え子にいいステップシークエンスを叩き込んだよ』と話すとするでしょ?
すると、ピセーエフはこう答えるんです。『なにがいいステップだ。レベル2しか取れてないじゃないか』『おまえはホントにコーチなのか。たわごとばっかり言って!』なーんてね。
私が『その試合じゃ、西側のテクニカルコーラーに意地悪されたんですよ』と主張したとしても、お構いなしです。ようするに、そういうジャッジをするテクニカルコーラーは、どこにでもいるんですから。
ピセーエフとは敵意に満ちた言い合いをすることもありますが、大局的な視点で考えれば、彼との話し合いは良いプログラム作りに役立ちます。鏡を見るみたいに」


―男子シングルについてお訊ねします。ロシア杯では、ライバルたちのミスのおかげもあって、アンドレイ・グリアツェフは銅メダルを獲得しました。彼をはじめとする男子選手たちの将来の展望について、どう思われますか?


「ふつうに考えて、いまのロシアの男子選手たちが、ウィアー選手やランビエール選手を敵に回すのは荷が勝ちすぎです。プルシェンコやヤグディンは彼らと同等以上でしたよ? でも、いま、私たちのもとに彼らはいません」


―ジョニー・ウィアー選手には、並外れた技術はありません。クワドもありません。それでも、彼はロシア選手に勝るのですか?


「ジョニー・ウィアー選手は、美しいトリプルジャンプで、ステファン・ランビエール選手のクワドより高い得点を得ました。規則は変わったのですよ。繰り返し申し上げていますが。いまや選手たちはクワドを必要としません。
エリック杯で、セルゲイ・ヴォロノフ選手はトリプルルッツも跳んでないし、怪我のせいでベストな状態ですらありませんでしたけど、素晴らしいスピンと面白いステップ、それに大きなアクセルジャンプを跳んで、表彰台に上りました。
彼のコーチ、アレクセイ・ウルマノフはじつに立派なコーチだと思いますね。信頼できるし、ロシアのために偉大なスケーターたちを現在育てています。私は、ウルマノフ氏は、ロシアのフィギュアスケートコーチの中でもっとも将来有望だと考えています。
彼に忠告すべき唯一のことは、ロシアの病に負けないで欲しいということだけですね」


―どういう意味ですか?


「いまや、ロシアのスケート関係者たちは、トップレベルを傍観するだけです。ランビエール選手やウィアー選手が進んでいくのを見て、手をこまねいているだけです。しかし、ロシアスケート界は戦う必要があります。いまやロシアには、ロシアスケートの名誉を託せるリーダー的選手がいません。私たちは、よりよいジャンプを、ステップを、スピンを追求していくべきです」


―どうすればいいと思われますか?


「日本人選手たちは、1日24時間でも自発的に練習します。ロシアのスケーターはそうではありません。怠惰だし、ときに狡猾です。
私は彼らに正しい心構えを指導しますが、必ずしも成功しているとはいえません。
話しかけられたとき、彼らはうなずいて同意します。でも、3日後には元の木阿弥です。
日本人には、正常な心構えを諭す必要がありません。彼らは病的に練習が好きで、限界まで練習し、そして勝つんですよ」


―プルシェンコ選手が戻ってきてくれれば、いろいろ変わるんじゃないでしょうか。彼の復帰準備はできてきていると思われます。


「スポーツの世界は甘くありません。全力を尽くさぬ者は落ちるだけ。
才能あるテニス選手だったマラト・サフィンは、スケジュールにゆとりを欲しました。結果的にいま、彼はどの位置にいると思いますか?
もちろん、プルシェンコ選手は偉大です。もし、バンクーバー五輪までの2.5年のあいだに、彼が必死になって必要なレベルに再到達できるなら、なんでも可能だと思います。
私は、目標のためには彼はすでに出発していなければならないと思います。少なくとも、ロシア国内競技会で。
そして私は、いま彼が、プルシェンコ選手が、それを望んでいるかどうか、理解していると思います。
正直にいって、また競技に専念するのは、プルシェンコ選手には難しいと思います。
彼はいま、故障、再手術、離婚、ビジネス……たくさんのものを抱えています。まずフィジカルの状態からして復帰は難しいと思います。
私自身、長い休止のあと、スケートに再チャレンジしたことがあります。
復帰のはじめのころは、もう、素晴らしかったです。
うれしくてたまりませんでした。自分はまだ若いと思えたし、体のキレもまずまずだと思うことができました。
でも1週間後に、失望は始まりました。股関節、背中、頭……うまく動かない。私は『なぜ』と思い始めました。『なんでこんなことやってるんだろう?』『自分にとって必要なことなんだろうか?』……ってね」


―あなたのいまのお仕事について教えてください。週に7つのプログラムを振付けるのは大変ですか(灰原注:このくだり、意味がよくわからなくて、いろいろ当たってみたところ、現在ズーリンさんは、ロシアのテレビアイスショーの振り付けを担当していて、そのために毎週えらい数のプログラムを作る必要があるようです)? ドライブには出かけられていますか?


「ドライブにはずいぶん行ってません。いまの仕事が全部終わるまでなんていったら、気が遠くなりそうですね。私の頭は負荷がかけられすぎです。この2ヶ月半、1日も休日がなかったんですよ。人間の生活じゃない!」


―ご自身で体を動かしたりはしていますか?


「健康のために、歩いて仕事に行きます。テレビ番組が抑えているリンクに着いて、プログラムを考えるんですが、その日のノルマが終わらなければ、夜勤突入です。翌日、朝から私は、自分自身の教え子をコーチします。これが私の毎日です。引き受けたものについては、できるだけよりよい仕事を、と頑張っています」




はい、本文終了です。お疲れさまでした!
ズーリンさんは、以前のインタビューでも、わりとものをハッキリおっしゃる方だなという印象だったんですが、今回もほんとうに歯に衣着せぬかんじで、興味深かったです。
スケートについてのインタビューなのに「マラト・サフィン」なんて言葉が出てくるとびっくりしますけどね。ヤグディン選手はフェデラー好きだし、ロシアの人はテニスが好きなのかな。ま、いまロシア、テニス強いですからね。人気あるのかも。
しかし、いやー……サフィン兄さんね、たしかに、以前はフェデラーにも勝ったことあるのに最近の成績はちょっと奮いませんが……いやでも兄さんも一生懸命やってると思いますよ。うん。灰原サフィン兄さん好きなのでちょっと弁護してみたり(ズーリンさん、キビシー!!)。
プルシェンコ選手の復帰については……ズーリンさん的にはこう思ってらっしゃるってことですよね。
村主章枝選手についてのコメントのあたりも、興味深かったです。
ズーリンさんは、ロシア杯で、村主選手は「もっとできるはずだった」と思ってらっしゃるようでした。もし、ズーリンコーチの考えるとおり、心理的なことが原因で、あの場で村主選手の全力が出し切れなかったのだとしたら、むしろ全日本に向けて、いい材料なんじゃないかと灰原は思いました。つまり、全開の演技のレベルは、もっと上ってことですもんね。
全日本選手権にズーリンコーチの帯同って難しそうなんですけど……来てくれるのかな? 来てくれたらうれしいんだけどな。アイスダンス時代からのファンのみなさまもうれしいことでしょう。
笑っちゃったのが、ピセーエフ氏を論じるくだりで、ははは、ピセーエフさんて怒りっぽい人なんですね。ロシア国内でも「ピセーエフ会長の女子選手にたいするあの発言はどうなのー」的な雰囲気が漂っているんだな、ということも感じられて面白かったです。
ズーリンコーチ、いまはテレビアイスショーのお仕事でお忙しいようですが、今後、本格的な選手育成にも、もっと携わってくださるとうれしいかなあ…。
そんなズーリンコーチインタビューでした。しかし今回のインタビューには、奥方ナフカ女王さまの話題がイッコもなかったのが寂しかったなあ。
ナフカさまの近況、突っ込んで聞いてくださいよ、インタビュアーさん!
ねえ?





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