イアン・ソープ選手が引退しちゃいましたね……。
24歳という年齢は、水泳選手の引退年齢としては早くはないとは思います。鈴木大地選手は22歳で引退したように記憶していますし。ただ、いまはトレーニング方法もいろいろ進化していますから、本人が続行する気なら、まだまだやれる年齢ではあったと思います。
今回のイアン・ソープ選手の引退に、灰原は、二十年ほどむかしの、男子テニスプレイヤーのビョルン・ボルグ選手の引退劇が重なってしまいました。
10代のころから無敵の強さを誇った生ける伝説のようなプレイヤーが、若くして突然の引退を表明する。
傍から見ると、まだやれるのではないかと思うし、もしかしたらほんとうにまだできるのかもしれない。でも、その選手が、もう戦いきったと思い、戦いに倦んだなら、もはや競技生活を続けるのは難しいと、灰原は思います。
どんな競技を選ぶにしても、アスリートにとってなににも増して難しいのは、勝ちたい、勝てるというモチベーションを保ち続けることではないでしょうか。
バレーボールやバスケットボールの試合などでは、コートサイドで選手が円陣を組んで、気合入れをしているのをよく見ます。「俺たちは強い!」「俺たちは勝つ!」「俺たちは強い!」。繰り返して叫ぶことで、心に浮かぶ弱い言葉を吹き飛ばして、選手たちは戦場に赴くのです。
気合入れしているときの選手の顔って、なんていうか、もう普通じゃないんですよ。目も血走っているし。あれだけテンションを上げていかないと、弱い気持ちを吹っ飛ばすことはできないんだなって思う。「負けたくない」じゃダメなんです。どんなに苦しくても、最後の一瞬まで「勝てる!」と思うことができない選手は、肉体的に有利で技術的に優れていても結局は勝てない。
トップアスリートになればなるほど、周囲からの重圧は増します。ライバルだって「勝てる!」と思って向かってきます。敗北への恐怖を打ち負かし、ライバルからのプレッシャーを跳ね返し、さらに相手より強い思いで「勝てる」と念じ続けること。そのためには、常人には想像しえないほどの精神的エネルギーが必要だと思う。
灰原にはとても、真似できません。だからこそ、選手たちの強靭な精神力を、彼らの超えてきたものを、尊敬せずにはいられない。
それでも、まだ、激励しあう仲間のいる団体競技の選手はいいです。個人競技の選手は、たったひとりで、恐怖とプレッシャーの海を泳ぎわたらなければならない。彼らの消耗が団体競技の選手より早いのは、当然のことです。
勝てない、もしくは、もう勝てなくてもいい、とイアン・ソープ選手が思ったのなら、引退すべきは今なのです。
ただ、なにしろ最近のトレーニング技術は大変進歩していますから、もし彼が戻って来たいとまた思ったら、もういちど競技に戻ってくることは可能ではあると思います。
競技生活で疲れきったソーピードが、どうか心安らいでくれますように。
正直に言えば、スポーツファンとしては、落ち着きを取り戻したイアン・ソープ選手が、できたらまた、競技に戻ってくれるとうれしい……ですけどね。
バスケットボールで使われる、ブザービート、という言葉があります。試合終了のブザーと同時に、逆転のゴールを決めて勝つことです。ブザービートを決めた選手のことを、ブザービーター、という呼び方もします。
ずうっとビハインドの苦しい試合でも、さいごのさいごまで諦めない執念が、チームに勝利を引き寄せるのです。
イアン・ソープ選手とは反対に、肉体的に、もう競技は難しいのではないかと言われつつも、諦めない選手たちがいます。マラソンの高橋尚子選手は、現役続行を表明しました。フィギュアスケートのイリーナ・スルツカヤ選手も、引退報道を否定し、競技生活を続ける意志を明らかにしています(今期の大会参加はないようですが)。フィギュアスケートでは、日本の村主章枝選手も、バンクーバーを目指すと言っていますね。
勝ちたい、勝つんだ、と思い続けているなら、彼らはまだ引退すべきではないのです。そして、他人が、心配ごかしに、無茶だとか、もうやめたほうがいいとか、言うべきではないと、灰原は思います。
トップアスリートたちにかかる、想像を絶する重圧を考えると、引退していく選手たちを惜しみこそすれ、引き止めたいとは思えない。そして、だからこそ、その厳しい場所に立ち続けると決意した選手たちに、心の底から畏敬の気持ちを抱きます。
結局、灰原みたいなスポーツファンにできることって、愛する選手たちを気遣いつつ、最後の一瞬まで、彼らと一緒に彼らの勝利を信じて、応援し続けることくらい、なんですよね。
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