☆All of Me : Mildred Bailey 1947

一昨日のスーパームーン皆様は御覧遊ばされましたでしょうか？

この時期は兎に角寒いですが、空気が澄んでいるせいか、我が家付近からは綺麗な満月が🌕観れました。

本日は月のうたではない。

しかし、これを一聴して頂ければお分かりの通り明らかにさめざめとした月夜を想起させてくれる。

この曲自体はジェラルド・マークスとセイモア・シモンズが詞曲を書いた1931年のもので所謂ティンパンアレー所産の曲である。

当時絶大な人気を誇っていたダンスバンドポールホワイトマン楽団や人気に火がついていたルイアームストロングのレコードがヒットしてジャズスタンダードとなっていった。

有名無名の歌手や楽団は大抵この曲を取り上げて、聴衆はみなお気に入りの歌手や楽団でこの口当たりの良い曲を覚える。

終始スロー乃至ミディアムなテンポで運ばれ、早口になる発音も無い事から素人でもカラオケで英語で歌うのは容易である。

超有名なヴァージョンではやはりビリーホリデイで有ろう。

有名なテディウィルソンのバンドで吹き込んだブランズウィックセッションは全部で３つのテイクが現存しており、あのレスターヤングが3テイク全て違うフレージングで聴かせるテナーサックス🎷のソロは３つ全てOKテイクにしても良いくらいの完成形である。

テディウィルソンの軽快なピアノで始まるビリーの♫オールオブミーは聴く者をウットリさせる(歌詞は最後に！)。

それはまるでビリーの歌う♫わたしの全ての詞に対してレスターがサックスで呼応してるかの如く聞こえる。

後発のコンボでこのレコードを規範にしていないコンビネーションはない、というくらいの確かさと寛ぎをもたらしてくれる、永遠のスタンダードとして人々に記憶されている。

さて、今回はそんな中から古参の女性ヴォーカリストミルドレッドベイリーのヴァージョンをお聴き頂くが、ベイリーはそれまで流行っていたベッシースミスやその他の黒人歌手たちとは別の系譜の最も最初期に登場した白人女性ヴォーカリストである。

そのキャリアはそれこそポールホワイトマン楽団でのヴォーカリストから始まるがソロになっても、安定した名の通った白人シンガーとしてリーワイリーやコニーボスウェルと言った同時代の女性シンガーらを抑えて引く手数多だった。

彼女がソロを取った時、その録音には大抵腕利きミュージシャンたちが最高のハーモニーとソロを取っている。

このレコードは戦後1947年にまとめて録音されたマジェスティック盤で録音されたうちの一つでその魔性のアレンジから1980年代後半に風変わりな邦画「RANPO」の主題歌として使用された。

今宵はスーパームーンの預かりものの欠けた月で有ろうが、思わず月に吠えたくなる一編。

ご堪能あれ。

♫ 私のすべてを

どうして奪ってくれないの？

あなたがいないとダメだってこと

わかっているでしょ?

あなたにキス出来ない唇なんて

もういらないから持って行って!

あなたを抱きしめられない腕なんて

用はないから、さあ持って行って!

私の目に涙だけ残して行ってしまうなんて

あなたなしで

どうやって生きていけばいいの？

私の”心”があったところを

あなたは持って行ってしまった

だったらどうして

全部持って行ってくれないの!!

https://youtu.be/j4Ez_dGOTVU

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月に吠へる # 9