季節外れの御名無しで恐縮なのですが、今、生活委員会から配布された「冬の着こなし」に関する確認のプリントを手にしています。以前、
『そのうち話題にしよう』
と思っているうちに機を逸してしまいました。プリントには、生活委員の生徒が書いた次のような記載が認められます。
「ヒートテックな体育着の中に着れる物を着ましょう!!」
「ヒートテック」の衣類は、近年、私たちの生活の中にすっかり浸透しています。みなさんにとってもなじみのある素材でしょう。ユニクロと東レが共同開発した保温性に優れた下着です。体から蒸発する水分を利用して発熱し、繊維間の空気の層に熱をためて保温性を高めるしくみとなっている暖かさ抜群の衣類用の素材です。
優れモノなのはよくわかりますが、いつの間に私たちの日本語において、この商標名が
「ヒートテックな」
などという形容動詞となって使われるようになってしまっていたのでしょうか? まったく気づきませんでした。国語教師、一生の不覚です。
しかも、この文、「ヒートテックな」は「体育着の中に」を飛ばして、「着れる物」を修飾しているようではありませんか!!
さらにいうなら、「着れる物」というのは本来は「着られる物」としなければならないところなのに、全校生配布のプリントに堂々と「ら抜き言葉」の「着れる」が用いられています。まるで、
「最先端の『ヒートテック』について書く場合は、最先端の『若者言葉』がマッチするのよ」
とでも言わんばかりではありませんか。
プリントを読んでみて、はぐれ国語教師は思わずぞぞっと背筋が凍り付いてしまいました。ヒートテックを着てくればよかった……。