私がクラシックギターを練習していた頃、
一つの壁が有りました。
「セーハ」という技術の壁です。
人差し指一本で6本の弦を全て抑える技術です。
この技術が要求されるようになるまでは、
1本の弦は1本の指で押さえていたのですが、
「セーハ」という6本の弦を人差し指だけで抑える技術が要求された時、
これはカルチャーショックでした。
よく、「Fコードの壁」と言われますが、
私は当時はクラシックギターを練習していたので、
「セーハ」が出てきたのは「Fコード」ではありませんが、
「Fコード」に例えれば、
1番弦から順に、
F、C、A、F、C、F となります。
この中で、1番弦のFと、2番弦のCと、6番弦のFを人差し指で押さえます。
3番、4番、5番の弦は、
中指、小指、薬指で押さえますが、
実は、この3本の弦も、
人差し指で押さえている意識が無いと、
綺麗に6本の弦は鳴りません。
6本の弦を人差し指だけで押さえて鳴らすのが、
「セーハ」なのです。
最初の頃、私は力一杯抑えることで何とかしようとしていました。
なかなか上手く行きませんでした。
来る日も来る日も上手く行きません。
仕方ないので、
「セーハ」が出てこない曲も練習しつつ、
「セーハ」に挑戦し続けました。
何か月経ったでしょうか。
ある日、突然、開眼したのです。
人差し指に六つの眼ができたのです。
6本の弦の1本1本を押さえているという感覚が分かるのです。
6本の弦の1本1本が、
人差し指の腹の皮膚感覚で見えるのです。
これは凄い開眼でした。
『開眼』したという感覚でした。
ある日、その日は、突然来たのです。
何の予告も無しに、・・・・。
この開眼が無ければ、
ギターを生涯の生き甲斐にすることは出来なかったでしょう。
ではでは。