ゆづき24時 2nd

ゆづき24時 2nd

ヤプログ終了のためこちらに移転しました。過去記事順次引っ越し中。

朗読「銭形平次」

江戸阿呆宮、YouTubeちゃんねるにUPしました。

 

雑談と解説は最終回です。

 

 

「銭形平次捕物控 江戸阿呆宮」

 
「親分、浪花屋でなきゃア、誰がお品さんをさらったんでしょう」
「そんな事が判るものか」
「消炭で描いた銭形は?」
「偽物だよ、よく見るがいい、書いてある場所が誂向きすぎるし、第一、悪者にさらわれて行く女が、あんな手際の良いものを書けるわけはねえ」

 

 

てんとうむし

 

 

今回のblogはもう

 注意ネタバレ 回ですね。

 

展開を知りたくない方は

原作をお読みになるか朗読を聴いていただいてから

読んでくださいね。

 

 

今回はお品さんの活躍回です。

 

「命がけの仕事なんざ、お茶漬ほどにも考えちゃいないこちとらじゃありませんか。八、これをこうしろ――と威勢よくやっておくんなさい」

 

と意気込む八五郎を嗜めて

 

「この囮は、若くて綺麗な女の子でなくちゃ勤まらない」

 

と言う平次。その言葉に

 

「それじゃ、私では勤まりそうもありません」

 

と、一度は

奥ゆかしく、淋しく笑って紛らせてしまうお品さんですが、

やはり、平次たちにも黙って

菊川町の盲目の太助の美しい娘と入れ替わり、

囮として施米へ向かいます。

 

南辻橋の施米で、

平次はその「身なりは貧しいけれども美しい女」

見かけるわけですけれども、

そしてそれはお品さんの変装?なわけですけれども

すぐにそこで、それが「お品さん」だと書かないところも

胡堂先生の文章、ステキじゃないですかあ。

もちろん平次は気付いているんですけれども。

 

 

てんとうむし

 

 

そして、さらわれたお品さんを追って

お品さんが書いたと思われる

江戸の町のあちこちに消し炭で書かれた

銭形のマークを探しながら

南新堀浪花屋へたどり着く平次と八五郎ですが、

 

 

この銭形栞は実はフェイクで

平次たちの目をごまかすため

浪花屋に罪をきせるため

犯人が書いたもの。

 

それに気づいた平次は、

巴屋の隣に住む桶屋の甚三郎の家に辿り着きます。

 

桶屋の甚三郎。

 

桶屋と言っても、作っているのは早桶ばかり。

 

「お品さんをどこへ隠したんだ、それを教えて貰おうか、

次第によっちゃお前を入れる早桶を註文するよ」

 

と甚三郎に迫る平次。

あ、「早桶」というのは

粗末な棺桶、間に合わせに作る棺桶、みたいな感じですね。

 

その後、甚三郎の家を捜索した平次は

風呂場で真新しい「風呂桶」を見つけます。

 

余談ですが、

「風呂桶」というと

「湯船」に使う方の大きい桶

お湯を汲んだりする「手桶」

どっちのことを言うんでしょうかね?

 

…検索してみたところ、どっちもあるみたい。

ただ、桶の職人さんは「湯船」の方の意味で使うことが多いとか。

 

この場合は…

八五郎と二人がかりで風呂桶を退かせると下から千両箱が。

二人がかりなところを見ると、やはり湯船でしょうかね。

小さい桶がたくさんあったのを二人がかりで…

とも考えられるな。

いや、まあ、湯船の方じゃないですかね。

 

余談でした。

 

 

そして、風呂場の奥の炭部屋の羽目板を押すと――

 

 

隣の巴屋の庭への抜け道が続いていたのでした。

 

この後の展開は

 

 

なにか、こう

アニメの「ルパン三世」か、江川達也さんの漫画みたいだと

思ってしまいましたよ。

 

ルパン三世は第2シリーズですね。

私がいちばん見ていたのは。好きだったなあ。

 

江川達也さんの漫画、というのは

ちょうど最近

「GOLDEN BOY」という漫画を再読しましてね。

 

母屋の他に、土蔵七棟、

善美を尽した豪勢な構え、
オランダの敷物、ペルシャの壁飾り、インドの窓掛、ギヤマンの窓、紫檀黒檀に玉を彫めた調度。

そこにたくさんの美女が。

 

最初、ちょっと西洋風なものを思い浮かべて、

いや、待て、七つの土蔵だしなあ、

日本風?

どんな感じなんだろう?とちょっと考えてしまった。

 

 

てんとうむし
 
 
さてさて、
今回のお話は「江戸阿呆宮(あほうきゅう)」ですが、
中国、秦の始皇帝
阿房宮村に建てた「阿房宮(あぼうきゅう)」
という宮殿があったそうですよ。
胡堂先生、
この「阿房宮」をもじってタイトルを考えたのでしょうかね。
 
 
「江戸阿呆宮」
人気のあるお話だと思うのですけど
そして面白いお話だと思うのですけど
 
意外と後になって、
あれ? あの問題は?
的なところもあったりするような気がする。
 
たとえば
今までさらわれた娘たちは
みんな気を揃えて素直にさらわれている――
悲鳴をあげたり、もがいたりしたものもなく、
まるで自分で雨戸を開けて二階から出て行ったようだったり…
 
あの賢いお品さんも
フラフラと戸を開けて、怪しの物に操られるように、
フラフラと出て行ったという外には、見当も付けようがなかったり。
 
そこがその、それ、
お話の冒頭で
 
「神隠し騒動――と言われたこの事件は、平次捕物のうちでも極めて重要な事件で、詳しく書くと長大な一編の小説になりますが、」
 
と書かれている、そういうことなのかもしれないけれども。
まあ、読み手の方で好きに解釈しても良いのかなあと。
 
私としては、
そうですね、催眠術みたいなもの、
マインドコントロールみたいなものだったのかなあと考えます。
先程も書きましたが
ちょうど、なんだか
江川達也さんの「GOLDEN BOY」という漫画を
再読したとこで、
それ(金剛寺編のとこ)をなんだか思い出したものですから。
 
平次が娘たちを助けようとしても
三十余人の娘たちは
振り向いてみようともしない。
誰も逃げようとする者がない。
女たちはここを極楽のように思っている。
 
「いや、この罪悪の淵から脱け出そうとする良心を持ったのは、
とうの昔に殺されて」
 
いたわけですけれども、
その割には
 
「歓楽と豪奢な生活を餌に貧しい女を虐げた」
 
という言葉も出てきて、
「虐げた」のは「とうの昔に殺され」た者たちのことなのか
今も逃げずに土蔵の中にいる者たちのことなのか。
 
女たちはやはり
自分の意思でここにいるように見えて、
そして本人たちも自分の意思だと思っているけれど
やはりマインドコントロールのようなものなのではないかと。
 
そうすると、
「この罪悪の淵から脱け出そうと」して殺された人たちは
つまり、催眠術にかかりにくい…的な人たちということとも
考えられなくもない(汗
 
 
てんとうむし
 
 
 
そして土蔵に追いつめられた平次たち。
危機一髪!
 
…と思ったところで、後日談になります。
あれ? 平次たちが助かる場面は?
と思いますが、
それは後日談の中で
 
「一番大事なことを言い落しましたが、平次とガラッ八を助けたのは、やはりお品だったのです。その時まで、死んだ者のようになっていたお品は、二人が硫黄燻しにされるのを見るとそっと甚三郎の家への通路を抜け出して、八丁堀へ飛んで行き、危ないところで平次とガラッ八を救うことが出来たのでした。」
 
と語られています。
「その時まで、死んだ者のようになっていたお品」
というところが、
やっぱり、催眠術か、なにかのクスリかなあ、と思わせる。
 
私としては、
原文中に平次と八五郎が助かる場面は
リアルタイムに出てきませんけれども
なにかちょっと暗示させるものがほしいなあ、と
 
そこで目を覚ますお品さん、
 
の絵を入れることにしました。
この後、八丁堀に走ります。
お品さんもちょっと綺麗な着物とか着せられてるのね。
 
 
てんとうむし
 
 
というわけで
ラストシーンの平次と八五郎、とお品さんです。
 
 
 

てんとうむし

 

 

 

ご視聴ありがとうございました!虹

 

 

 

てんとうむし 

 

 

(七)

【霊岸橋】 れいがんばし

現在の日本橋茅場町一丁目と

新川一丁目の間にあった橋。

 

【鎧の渡し】 よろいのわたし

日本橋川の日本橋小網町付近にあった渡し場。

今は鎧橋という橋が架かっているようですよ。

 

【早桶】 はや-おけ
粗末な棺桶。死者のあったとき、間に合わせに作るところからいう。

 

 

(九)

【女護島】 にょごがしま

日本の伝説上の地名。

海上にあり、女性だけが暮らしているという島。

 

 

 

 

 
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