おもいでの味朝…職場に行くと事務所の椅子に白い買い物袋が置いてあった。「頂き物ですけど良かったらどーぞ」とメモ書きが添えられたそれは、同僚からの里芋のお裾分けだった。土臭いただの土の塊…そんな見ための土つきの里芋はスーパーで見る物とは違う姿をしていた。それは私が里芋の自然な姿を知らないというだけの話で新鮮な証でもあった。土と髭で覆われた様な姿の里芋は茹であがる頃になってようやく見慣れた里芋になってきた。串がスーッと刺さるくらいの柔らかさまで茹でた里芋。荒熱をとってから包丁で形を整えようとしてみたものの、ツルんっ!と皮が剥けてしまうので、そのまましょうが醤油で食べることにした。昔祖父が美味しそうに「生姜醤油」で食べていた記憶が薄っすらと浮かんだ。子供の頃には分からなかった。茹でただけの里芋がこんなにも美味しいモノなんだと。この日…用意していたメニューを作ることなく、里芋だけで夕飯が終わった。