「戻ってこい」と言われたから、戻ってきた。
インターネットも変わったものだ。スターバックスでもフレッシュネスバーガーでもいい。どこか好きな所で、コーヒーでも飲みながら、隣に座ったカップルの話に耳を傾けてみることだ。その泥水みたいなコーヒーが半分も減らないうちに、そいつらは「マイミクが」とか言い出すに決まってる。
変わるってのは恐ろしいことだ。アメーバブログ? 派手な広告が目立つ。左端の下世話なニュース「和製ビヨンセついに初共演へ」「飯島愛ピロリ菌、だが太る」。
インターネットってのを、戯言をこびりつける場所だと思っていた。最初はhtmlで自分用のゲロ袋を作った。そのあと、ご丁寧にブログなんていう、出来合いのゲロ袋が流通し始めた。俺はそれを黙って見てた。そしたら皆、ゲロ袋にゲロじゃないものを入れたりし始めたんだ。今じゃ、俺がゲロ袋だと思っていたものは、すっかりゲロ袋じゃなくなってしまった。そこに大事なものを入れて、それを見せ合ったり、自慢し合ったり、そういうものになった。
俺にだって大切な宝物や、皆に聞いて欲しい話があるよ。そう思って引き出しを開けたら、悪ノリした時のオナニーの記憶や、グラップラー刃牙のコンビニコミックが数冊、あとはクソと小便しか入っていなかった。
多分、もうこういうのは流行らないんだろう。だけど仕方がない。ここは今まで通り、便所の落書きのような存在感を保ち続けるんだろう。俺が誰で、あんたが誰かなんてのは、どうだっていいことだ。肥溜めにクソが溜まるように、文字が少しずつ増えていくだけだ。それは愉快なことなんだ。