『ほらふき男爵の冒険』
ピーター・ニクル再話、ビネッテ・シュレーダー絵、
矢川澄子訳
『ほらふき男爵の冒険』
個人的お気に入り度:★★★★
小学校高学年の頃から時々読んでいる絵本を再読。
「ほらふき男爵」として知られるミュンヒハウゼン男爵の
ほら話(本人はほら扱いされて不機嫌だったらしいが)を、
ラスペ、ビュルガーといった人たちが伝えたものが
『ほらふき男爵の冒険』として知られている物語らしいが、
この絵本はそれをさらに編集したもの。
「陸上編」とあり、船での冒険に関する話は出てこず、
主に狩りやトルコとの戦争(ロシア側として戦った)などの話が多い。
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【気に入っているほら話】
・鴨が何十羽もいるが弾が一発しかないのでベーコンをひもに
くくりつけてそれを次々に食べさせて鴨を数珠繋ぎにした話
・寒い地方でクマから逃げて木に登る途中で大事なナイフを落としてしまい、
木の上からおしっこしたらそれがすぐに凍ってナイフをとることができた
・鹿の眉間に弾がないのでさくらんぼの種を撃ち込んだが逃げられ、
再会したときには頭の上に見事なさくらんぼの木が育っていた
・俊足のグレイハウンドの足がすりへってダックスフントになった
・沼にはまった自分の体を、髪をひっぱって馬ごとひきあげた
・寒いところでラッパふきが合図しようとしたが音が出ず、
宿で暖をとっているときになって「音が融けて」色んな曲を聴けた
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どれもこれも突飛でありえない話ばかりだが、
にもかかわらず想像できてしまい、楽しめる。
ほら話そのものと、
ちょっと古めかしいお侍めいた文体と、
ほら話をよりリアルに感じさせてくれる丁寧な絵が
どれも欠かせないくらい一体となって、
楽しい絵本に仕上がっていると思う。
ちょっと字のボリュームは多いが、
読むのが面倒ならまずは絵だけ眺めて楽しむこともできる。
(ってどれも欠かせないと書いた直後に矛盾してるけど^^;)
お気に入りの絵本のひとつ。
- Peter Nickl, Binette Schroeder, 矢川 澄子, ペーター ニクル, B. シュレーダー
- ほらふき男爵の冒険