受験地獄脱出を記念して、日頃の御礼を込めた企画スタート。
毎日ラビュを更新しよう!企画です。(笑)
第六弾。『抱き締めた背中』
神田視点。甘めを目指しましたよ?失敗した感じ満々ですが;;
企画はこれで終了です。おつきあい下さりありがとうございました!
教団の廊下をツカツカと早い足音が響く。
誰の足音かなんて、どうしてこんなにも早足なのかなんて。歩いてる本人が一番良く知っている。
でも認めてはやらない。
認めたら、そんなこと口にしたら、あいつが鬱陶しいくらいに喜ぶのは目に見えている。
扉の前まで来て深呼吸。
そういえば勢いだけで此処まで来てしまったけどなんて理由を付けようか。
適当な理由が思い付かなくて、理由も無くこの部屋を訪れたと気付かれるのも釈で。
扉の前で百面相。
元々頭を使うのは得意じゃないんだ。
舌打ちを洩らそうとした瞬間、廊下に響く声。
あの声はモヤシ?
冗談じゃない、こんなところ見られたら散々からかわれるに決まっている。
姿を見られる前に慌てて扉の中へと飛び込んだ。
「ユウ?」
扉が閉まるより先に聞こえた声。
着替えの途中だったのか、上半身は裸だが腕に袖が通ったままの格好。オレンジ頭がきょとんとして俺を見つめていた。
「・・・間抜け面」
思わず吹き出してしまう。
ツカツカと近づいて額にデコピンをひとつ。途端我に返った様に痛がる。
「ひでぇ・・・いきなりなんなんさぁ」
額を擦りながら恨みがましく俺を見る。モロに決まったから少し涙目で、不満に頬を膨らませて。
あぁたぶんこれがラビの言う可愛いというやつなのだろう。
胸が温かくなる。
・・・抱き締めたい。
そんな感情が芽生えてしまって、俺は心底焦った。ありえないといくら否定しても湧き出る感情は止まらない。焦れば焦るほど頬に熱が集まる。
「どした、ユ・・・ぶっ」
覗き込んできたラビの顔面に思いっきり手のひらを押し付けて俺は顔を反らした。
「ラ、ラビッ後ろ向け!」
「は?」
「いいから後ろ向けっつってんだ!」
こんな顔見られて堪るか。
背を向けたラビに深呼吸。意を決してその背中にすがりついてみた。
途端ラビの肩が驚きに震える。
恥ずかしくて正面からなんて抱きつけない。
後ろから抱き締めるだけで精一杯。これだって死ぬほど恥ずかしい。
けどその温もりに触れていたくて。
頬を擦り寄せてみた。
「ユウちゃん」
「るせ・・・黙ってろ」
きっと見えないところではニヤニヤと頬を緩めているんだ。
解っているけどやめられない。心の内なんてバレバレなんだろ。
からかいをつむぐ口を黙らせて一層頬を押し付けた。