その店は高崎駅から徒歩8分、地元スズランデパートの駐輪場の隣にある。
古い蔦の絡まるブロック建築で、入り口はこげ茶の木枠の格子にガラスがはまった扉で、ガラガラ開けると、暖色系の灯りと、こげ茶色の丸テーブル、左手にはオレンジ色のカウンターが出迎えてくれる。
奥には小学生より背の高い水槽が置かれ、2匹のカクレクマノミが回遊している。
剥き出しの食器棚を背に、人一人が通れるほどの細長い厨房で揚げ物に集中しているのと、その背後を忙しく行き来しているのと、店員は二人。いずれも中高年の女性だ。だがお客の姿は無い。
すると奥の扉の向こうから4歳くらいの子どもを連れた女性が顔を出し、手前のトイレに向かいながら「すみません、ココア揚げパン追加で…」と店員に声をかけた。どうやら奥にも客間があるようだ。
次の瞬間、2階からドタドタとジャージ姿の中学生風の男子が降りてきて「子ども食堂のランチ、お願いします」と言って、またドタドタと2階へ戻って行った。
店員はその都度にこやかに返事をし、よく通る大きな声でオーダーを復唱した。
このやや大柄な満面の笑みを浮かべた女性がこの店の店長である。
店の名は「サミートス』。揚げパンが美味しいと評判の給食カフェだ。