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 【 彼の頭の中には、打たせて取るというソフトウェアは
               インストールされていなかったのだ 】
                      ― ビル・ジェイムズ ―


 歴代14位タイの通算324勝。 通算7度のノーヒッター。

 歴代でも断トツ1位の5714奪三振。

 史上有数の名投手ノーラン・ライアンのことですね。




 その一方「ノーコン投手」で歴代1位の四球と暴投。

 負けも多く、勝率は決してよくありません。 また意外にも

 サイ・ヤング賞(日本で言う沢村賞)の受賞もありません。




 ビル・ジェイムズはデータ野球の権威ですが、実はデータ分析家の

 間では「ライアンは過大評価されている」というのが常識なのです。




 しかし、ビル・ジェイムズは話します。

 「どんな打者にでも彼は決して手を抜かなかった」

 「ライアン・エクスプレス」は40歳を過ぎても、他を圧倒できる

 豪速球を誇り、誰もが魅了され、そして全ての投手のあこがれです。




 ノーラン・ライアンより優れた投手はいくらかいるでしょう。

 それでも、史上最多の3球団での永久欠番を記録し、99年には

 ファン投票で決定する20世紀のオール・センチュリー・チームの

 右投手部門でも選ばれています。




 また彼は、初めてウェイトトレーニングを取り入れた投手。

 (初めてではないかもしれませんが、当時は悪いものとされていた)

 彼の徹底したトレーニングは、その後の投手に多くの影響を与えました。




 ライアンのことを知らなくても、42歳で年間300奪三振を記録した、

 と聞けば凄さがわかるでしょう。 43歳でノーヒッターを達成したと

 思えば、翌年44歳でも記録。 もちろん、史上最年長記録です。




 全ての投手、ファンの憧れであり、対戦する打者すべての脅威となった

 ノーラン・ライアン。 彼は数字を超越した史上最高の投手なのです!