今回はヘルニアの治療について。

ヘルニアの治療には大きく分けて2通り、外科的な治療と内科的な治療に分けられます。
 

外科的な治療としては背骨に穴を開けてそこから飛び出した椎間板物質を取り除く方法、または穴を開けることによって圧迫を受けている脊髄を逃がす方法があります。

白黒ですが実際の例です。
$東十条どうぶつ病院 診療日記
丸の中の骨を削ります
$東十条どうぶつ病院 診療日記

赤矢印で指す脊髄を露出し、椎間板物質を取り除きます


この手術で大事なことは、ヘルニアになってから手術を行うまでの経過時間が術後の治癒に大きく係わってくるということです。
一般的に痛みを感じなくなってから(足先を、爪を立ててつねっても痛みを感じない状況)、48時間を経過すると術後の治癒率は大きく低下するといわれています。
実際には手術を行う前にMRIを撮影してヘルニアをおこしている背骨の場所を特定するという1ステップが入ってきますので、発見からMRIを撮影し、手術を行うまでに48時間以内となると、様子を見ている時間的な余裕は無いかと考えられます。




 内科的な治療としては、抗炎症薬の投薬やレーザー治療、そしてリハビリが挙げられます。
飛び出した椎間板によって脊髄に炎症がもたらされるため、この炎症を抑える目的の治療が抗炎症薬やレーザー等の理学療法になります。
そして麻痺した神経を刺激して再び動かせるように働きかけるのがリハビリです。

こちらではレーザー治療の動画をご覧いただきます。

手術を行った仔にレーザーを照射しています。
わかりづらいですが、骨を削った箇所にレーザーが当たると皮膚がギューっとうごいています。この現象は露出している脊髄にレーザーが当たると起こるので、レーザーが深部まで届いていることが見てわかります。



以前、当院で治療した例では、痛みも感じず自力で排尿・排便も出来ない状態で3日間経過して手術を行いましたが、何とか手術に反応し今ではしっかりと歩けるようになった仔はいましたが、運がよかったのだと思います。
この仔のような例もありますので、時間が経ったら絶対にダメだということは無いですが、歩き方に異常を感じることがありましたら素早く対処することを強くお勧めします。