一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)は、厚生労働省の平成24年度老人保健健康増進等事業の助成を受け、「福祉用具サービス計画作成の実態把握と効果検証」を行い、5月9日、その結果を公表した。

福祉用具サービス計画は、ケアプラン同様、福祉用具についても導入時にアセスメントを行ってサービス計画書を作成することが本年度より完全実施化されることになり、福祉用具専門相談員の更なる専門性の向上が求められている。

そこで、「福祉用具サービス計画作成の実態把握と効果検証」では、全国の福祉用具貸与事業所の管理者、福祉用具専門相談員、介護支援専門員の3者を対象に、定性・定量の両面から調査を実施し、福祉用具サービス計画の活用状況の把握、効果と課題の抽出を行った。

以下、調査結果の概要を紹介する。

■福祉用具サービス計画の作成状況
作成の進捗:福祉用具サービス計画を「9割以上」作成済の事業所は30.5%。総合では65.2%の事業所が「半数以上作成済み」と回答した。
福祉用具サービス計画書の様式については、「独自の様式を使用している」事業所は22.6%、同協会が無料で提供している「ふくせん様式」を利用している事業所が54.6%と半数以上を占めた。
また、福祉用具サービス計画書の作成において、「専用ソフトで作成している」事業所は36.5%、「ワードやエクセルで作成している」事業所は50.3%、「手書きで作成している」事業所は6.3%だった。

■福祉用具サービス計画の活用状況
福祉用具サービス計画の活用場面について(複数回答)は、「介護支援専門員との情報共有」がもっとも高く79.5%を占めた。次いで「事業所内でのひきつぎ・情報共有」に利用していると回答した事業所が53.1%、「サービス担当者会議での説明」は49.4%だった。
介護支援専門員への設問では、「福祉用具サービス計画を受け取ったことがある」と回答した介護支援専門員は81.4%。さらに、介護支援専門員へのヒアリング調査からは、「福祉用具サービス計画の記載内容を受けてアセスメントを見直した」ケースがあったことも明らかとなった。

■モニタリングについて
福祉用具サービス計画のモニタリングの実施頻度は、「4~6ヵ月に1回程度」という事業所がもっとも多く45.6%、次いで「半年~1年に1回程度」が21.5%,「2~3ヵ月に1度」が17.9%、毎月実施している事業所も8.9%あった。

さらに、介護支援専門員の「福祉用具サービス計画」モニタリング結果の受け取り状況は、「9割以上の利用者について受け取っている」が26.6%を含め、「1度でも受け取ったことがある」介護支援専門員は85.4%だった。

先の結果から、福祉用具サービス計画が順調に導入されつつあることがわかった。また、ケアマネジャーとの関係性もより強固となり、利用者のための


福祉用具サービス計画の導入効果として、以下の6点が挙げられる。
1.アセスメントで把握すべき情報項目が明確になった
2.利用目標・選定根拠をはっきりと意識するようになった。
3.事故防止等に関わる留意事項を書面で共有できるようになった。
4.モニタリングと福祉用具の機種変更が適切に行えるようになった。
5.福祉用具サービス計画が福祉用具専門相談員の能力を引き出している。
6.福祉用具サービス計画が、介護支援専門員との関係づくりのツールとして機能しつつある。

その一方で、調査結果のネガティブな面を精査すると、福祉用具サービス計画の作成・活用においては、以下のような課題も見えてきた。

1.記入作業の負担感が大きい
2.計画書の作成内容、説明方法に不安がある
3.利用者・家族に対して計画書の意義が浸透していない
4.多職種連携のツールとして十分に機能していない

同協会では、こうした課題解決のために、今後、福祉用具サービスの質の向上に向けた取り組みとして、福祉用具サービス計画書の分析・評価の実施、作成ガイドラインの検討、ガイドラインに基づく人材育成、ケアマネジャーほか他職種への福祉用具サービス計画の普及・啓発に取り組んでいく。(ケアマネジメントオンライン)