「引き札～その6」

～Shaudowのひとりごと130

2024.05.31　H・A・笑童

　前回の「引き札～その5」が昨年の11月9日なので、ずいぶん久し振りの「引き札」の投稿になる。

　「引き札」とは、商家が店や商品の広告のために、店名と扱う商品名、そこに関連する絵柄などを印刷し、客に配布する広告印刷物のことで、江戸時代後期から大正時代前期まで制作されていた。

現代の新聞にはさまれているチラシのようなものと考えれば分かりやすい。

　たかが100年ほど以前のことだが、世の中がずいぶんと変わったことをその引き札が教えてくれ、また楽しめるので、よく見ていただきたい。

　まだ少し、所有する引き札があるので、気ままに紹介することにしよう。

　まず一つ目は、「岸和田村赤坂搾乳場」「岸和田本町赤坂牛乳舗」。

　この絵柄は以前にもあったのを覚えているだろうか。

「引き札～その4」で紹介した「西喜代牧場」がそれだが、まったく同じ絵柄が使用されており、

店名が変わっているだけだ。

　つまり版元は、たくさんの絵柄を所有しており、広告を出そうとする依頼主が、宣伝したい商品に合う絵柄を選んで、自らの店名を合成すればチラシが出来上がるというわけだ。

　他にはない特別の絵柄を求めようとすると、絵師から用意せねばならず高額になるので、既製品を使えばお安くなり、まことに合理的だ。

　2つ目は「京都市万清商店」。

　大正2年の暦が見えるが、注目してほしいのは立て札である。

いちばん上に横書きで「郵便物早見」と書かれている。

普通郵便から書留まで郵便物の種類によって料金が分かるように書いてくれているのだが、届け先をみて驚いた。

　なんと届け先が「内地」、「台湾」、「樺太」「朝鮮」、「清国」などとあるではないか。

なるほど、そういう時代だったんだ！

「引き札～その6」 ～Shaudowの ひとりごと130

「引き札～その6」～Shaudowのひとりごと130