大人の修学旅行
取り調べが終わった後、留置室に連れてかれ、手続きと身体検査を済ませました。「どなたか留置所にいる事を伝えたい人はいますか?」沢山いるけど携帯が無いから連絡先が分からない。とりあえず妻の電話番号を伝えました。その後、「服はどうする?」と聞かれました。刑事が家に来た時は長袖Tシャツにジーパンでした。この格好では寝ずらいので、私は服を借りる事にしました。渡されたのは薄汚いトレーナーにジャージのズボン。汚いけどまぁ仕方ない。借りた服をよくみるとマジックペンで『官』と書かれてました。どうやら留置所が貸した服を見分けるために書いてるようです。部屋の連中は『官T』とかって呼んでました。「はい、じゃあ君の番号は103番ねー、この中ではお互い番号で呼ぶから。くれぐれも本名と、何で捕まったかは話さないように!」そう言われ、とうとう中に入りました。正面入口ドアを開くと、もう中は真っ暗でした。どうやら消灯時刻を過ぎてたようです。入って左側に鉄格子の部屋が5つくらいあり、少し前に進むと右側に手洗い場とロッカーがありました。「103番さんは5番の部屋ね」そう言って"5番"の部屋の前まできました。部屋といっても扉は鉄格子なので丸見えです。六畳一間の部屋には3人の男がいました。一人は熊みたいな見た目で左腕にガッツリ和彫が入った20代後半くらいの男。一人は高身長で眼鏡で髪が長い30代前半くらいのチャラそうな男。一人は太った60代くらいのオジサンでもう寝てました。早速、熊みたいな男が話しかけてきます。「ど~も~、こんばんは!何して捕まったんですか?」「え…?」さっき『言っちゃダメ』と言われたばかりなので戸惑いました。そんな私を察したのか彼はすぐに教えてくれました。「あー、大丈夫っすよ。皆んな普通にベラベラ喋りますよw 自分はタクミって言います!21歳です。大麻と覚せい剤の売買で捕まりましたw」熊みたいな彼は、見た目とは違ってかなり陽気で接しやすい感じでした。つか、21歳かい・・年上だと思った。「あ、自分ははーもって言います。25歳です。恐喝で捕まりました。て言ってもとばっちりなんですけどね…」そう言うと、タクミともう一人の身長高い男は興味深々で聞いてきたので、私は色々と捕まった経緯を話しました。「あちゃ~、可愛そうっすねー。完全にハメられましたね。ヤクザ絡みはすぐ捕まるっすよ。アイツらある事ない事言わせて芋づる式で引っ張りたいから」そう教えてくれたのは高身長のエイジでした。歳は私の一つ下。エイジは傷害で捕まったそうで、2勾留目の期日が近づいてるのでそろそろ出れるとの事。一見クールそうだけど、タクミにめちゃくちゃイジられて二人でアホみたいなやり取りをしてました。無口な方のオジサンはずっとぼーっとして無口でした。最後まで名前は分かりませんが、飲酒運転で捕まったそうです。タクミとエイジからは"オトウサン"と呼ばれてました。こうして、様々な事情で集まった4人の"大人の修学旅行"がスタートしました。