僕は、子供だった。

宿題の問題ができなくて、悩んでいた。



たぶん、夏休みだったのだろう。

何日も何日も、同じ問題の答えを考えていた。



ある日、なぜかすぐに、答えがわかった。

僕は急いでお母さんのところに行き、

「できたよ!」と言った。



するとお母さんは、

「始めから、やり方が間違っていただけじゃないの」

と、にこりともせずに言った。



そのとたん、僕のうれしさは、

消えてしまった。



僕はお母さんが、

「良かったね」と言って、

笑ってくれると思ったから。



今でも僕は、

言葉を怖れ続けている。