僕の通っている学校では通常授業は90分で終わる。
でもこの実験だけは授業終了時間は決まっていない。
つまり、実験を終えてレポートを提出したものから帰っていいというものだった。
そりゃもう早く終わらせたい。
「やべえ、桑田が近くにいるぞ・・・」
パートナーの山崎が嫌そうな顔して僕に言った。
「まじで・・・」
僕は隣を見た。すると桑田がにやにやした顔で座っていた。
桑田はお調子者ですぐ人にちょっかいを出すところがあった。
前回の実験では提出レポートに書いてあった僕と山崎の名前を書き換えるというウザさを見せていた。
そんな前例があるからこそ油断ならない。
そういえば僕の周りの席には仲の良い連中の顔があった。
僕らの机のひとつ前には中森と山岡、彼らは僕らと同じ内容の実験をする。途中で助け合いながら実験を進めていくことになるだろう。
僕から見て右の机には桑田(僕と揃うとウザ田になる)と小松。近くには黒川や小橋といった面々。
もう少し広く見回すと同じ部屋には同高の河合や○○職人の北村なんかがいた。
「この飴玉やるよ」
「サンキュー」
山崎が飴玉を僕にくれた。働けよってメッセージ付きで。
とりあえず頑張ろう。早く実験を終わらせて家帰ってぐだるんだ。
僕らは実験を始めた。