「協力隊はどうだった?」

「とてもいい経験になりました。」

 

帰国し、いろんな人に会う中で、こんな言葉しか返せない自分がいます。

確かに、この派遣期間を終えて感じていることを一言で表すのはとても難しいです。

 

そこで、自分がなぜ協力隊に参加したのか、少し見失いそうになっていたので、原点を思い出すことにしました。

 

 

この写真は、ミクロネシアではありません。

十数年前、フィリピンの首都マニラのごみ処分場です。

 

まだ世間を知らない10代の生意気な青年が、一人でこんなところに行き、突き動かされるように写真をたくさん撮っていました。

 

この時期、途上国のごみ処分場で働く子どもたちは、貧困問題の象徴としてメディアでもよくクローズアップされていた時代でした。

 

写真ではなく、この場に足を実際に踏み入れ、現実を目の当たりにした者にしかわからない、途方もない絶望感、それに立ち向かい懸命に生きる人々、子どもたち。

ブルドーザーに轢かれ、ごみの山に埋もれ、病気に襲われ亡くなっていくことが目前にある日常を送っている子どもたち。

なぜこんなところに関心をもって足を運んだのかは、あまりよく説明できるものでもありませんでした。

 

 

 

何日か通い、話を聞くうちに、このような子どもたちにとっては、「夢をもつということがどういうことかわからない」とのことでした。

 

 

このころ、当たり前のように日本で暮らしてきた自分と比べ、衝撃を受けました。

 

 

 

だからといって、慈善団体か何かの活動に与し、いわゆる「恵まれない世界の子どもたちにお金を!」とは思いませんでした。

 
 
 

 

痛感したのは、初等教育の重要性です。

偉そうなことだけを考え、何もできずに日本に帰りました。

 

教師になろうと決めたのは、この頃だったと思います。

そして、日本で教鞭をとること10年、長い年月を経て、途上国の教育に何らかの形で貢献したいと思い、協力隊参加。ヤップへ。

 

いろいろとヤップの子どもたちの助けになることをしたつもりですが、それ以上に、いろいろと学びました。

                                                                           

「途上国の教育の質の向上のために何かをする」ということがどういうことなのか、

そもそも、そんなことをする必要があるのかということも、含めてです。

 

しかし、結局最後に大切になったのは、

 

 

自分ができることを全力で行い、それを喜んでくれる、未知の多くの人と出会えたことだったと思います。

やりがいは半端ではありませんでした。

 

 

協力隊に参加し、本当に良かったと思います。

こんなふうに思えるのも、機会を与え、支えてくださったすべての人たちのおかげです。

ありがとうございました。

 

 

 

でも…。

 

 

フィリピンのことを思い出すと、

何だかこれで終わりにしてよい感じは、正直なところ、しません。

世界は多分、もっと広いと思います。

それに、ヤップでももっとできたのではないかと今更ながら思うこともあります。

 

 

 

無事に、帰国しました。

日本着陸数分前から、これまでのヤップの出来事が走馬灯のように蘇ってきました。

 

 

ニュースを目にすると、決していい話ばかりではないかもしれませんが、やっぱり日本は素晴らしい国だと思います。

 

新鮮な野菜が普通に手に入り、四季があり、社会の仕組みが整っている。

発展を遂げつつ、文化が継承されている。 

 

そんなことも、途上国の環境にいたからこそでもあると思います。

 

 

感謝したいのはこちらの方ですが、外務省から感謝状をいただきました。

一生の宝です。

 

 

 

日本での、平凡な一人の小学校教師に戻ります。

まずは、日本の子どもたちに、今回の経験を還元します。

 

 

でも、いつかまた日本を飛び出し、世界の子どもたちのために何かできるための航海に出られればと、ひそかに夢見ています。

 

 

そしてヤップにも、大きくなった子どもたちに、また会いに行きます。

その時、またこのブログにアップしようかと思っています。

 

 

語り残したことはたくさんありますが、ひとまずここで、航海日誌を終わりにします。

素晴らしい航海でした。

 

 

 

これまで読んでくださった皆様、応援してくださった皆様、ありがとうございました!

 

 

 

Kammagar!!

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

もっといろんな人に読んでもらえたら、嬉しいです。

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