【用途】
単眼鏡の利点は
・焦点距離が短い(至近距離でもピントが合う)
・軽い
双眼鏡の利点は
・視界が広い(単眼鏡比較)
・明るく、見やすい
という感じで、設計コンセプト的には
・宝物館などの展示品=単眼鏡
・御本尊様,屋根の上の装飾など=双眼鏡
みたいな棲み分けになってます。
歩き遍路で気になる用途、といえば
・信号機の交差点表示板
・道路の青看板
などによる『現在位置確認』ではないかな、と。
【事前実験】
[条件]
・被験者は200m先の信号に付いてる交差点名の看板がギリギリ読める程度
・目標物は国道などによくある『青看板』
※青看板=青地に白文字で道路の先の地名が書いてある道路案内標識
・12月上旬,晴天,12時,順光
・使用モデル Canon 12×36 ISⅢ(重量660g)
※いわゆる12倍双眼鏡
[補足]
国土交通省のサイトに、青看板について
『漢字1文字あたり20cm〜30cm』
との記載あり。
おおよそ、1文字あたりA4用紙1枚分。
[予想]
裸眼で200m先が読めるのだから、12倍双眼鏡なら単純に
200m×12倍=2400m先 まで読める
のではないか。
[判読結果]
400m→読める
500m→読める
600m→読める
〜(中略)〜
1100m→読めなくもない
1200m(1.2km)→ギリギリ読めなくはない…?
※ひらがながギリギリ読める
[所感]
単純に考えて
200m×12倍=2400m(2.4km)
まで読めそうな気がするのですが
・1kmくらいまでは読める
・1kmを超えたあたりで大気の状態の影響が大きいと感じる
・km単位になってくると歩道など、歩行者の位置からは見通しが確保できない
という結果に…
※電線・電線の重なりやトラックなど車高の高い車の影響で視線が通らない
春〜夏であれば街路樹の葉,黄砂,花粉,大気に揺らぎなどの影響も大きくなり、悪化すると思われます。
※バス車内から、などの車道上からであればもっと長距離の見通しが確保できる可能性あり。
[計算]
歩行速度が1時間4kmと仮定して、分速換算で67m
1200m(見える距離)−200m(裸眼で読める距離)=1000m(双眼鏡で省略できる距離)
となるので、時間にすると
1000m(双眼鏡で省略できる距離)÷67m(移動速度)≒15分
双眼鏡なしで歩いて、その道が間違っていて、引き返す場合は
往路15分+復路15分=30分
となるので
双眼鏡(660g)を持つ事で最大30分の節約が可能
という計算結果になりました。
それなら、単眼鏡では?
ということで、実験。
[条件]
・被験者は200m先の信号に付いてる交差点名の看板がギリギリ読める程度
・目標物は国道などによくある『青看板』
※青看板=青地に白文字で道路の先の地名が書いてある道路案内標識
・12月上旬,晴天,12時,順光
・使用モデル Nikon COOLSHOT LITE STABILIZED(重量170g)
※倍率は6倍
[モデル選択の理由]
・美術品の近距離鑑賞が主な需要のため、屋外の長距離に適したモデルが少ない
・『手ぶれ補正付き』『軽い』『単眼鏡』の条件を満たすもので、評価が高いのがレーザー距離計
・『観る』ではなく『文字を読む』が目的なので、手ぶれ補正がない場合、単純な視力だけでなく、動体視力も影響する。
[判読結果]
400m→読める
500m→読める
550m→一応、漢字も読める
600m→ひらがなは読める(画数の多い漢字は困難)
[所感]
双眼鏡の半分の倍率なので、凡そ予想通りの結果に。
口径が小さめのため、取り込む光の量が少なく、双眼鏡に比べるとかなり暗い像が映る。
このことから、夕暮れや曇天だと判読可能距離が減少する可能性が高い。
[計算]
歩行速度が1時間4kmと仮定して、分速換算で67m
600m(見える距離)−200m(裸眼で読める距離)=400m(単眼鏡で省略できる距離)
となるので、時間にすると
400m(単眼鏡で省略できる距離)÷67m(移動速度)≒6分
単眼鏡なしで歩いて、その道が間違っていて、引き返す場合は
往路6分+復路6分=12分
となるので
単眼鏡(170g)を持つ事で最大12分の節約が可能
という計算結果に。
重量と節約時間だけで考えると、6倍のレーザー距離計の方が効率的な印象( ´ ▽ ` )
さて、問題は。
「この活躍頻度はどのくらい?」
という…。
双眼鏡の重さや取り扱いの手間(※光学機器なので雑に扱うと壊れる)などを考えると
「スマホなどでGoogleマップ使えば確認できるよね」
という感が…。
予備の電池も必要ですし。
[別天候での確認]
上記と同じ条件で
・1月上旬,曇天時々小雨,13時,順光
・使用モデル Nikon COOLSHOT LITE STABILIZED(重量170g)
にて確認。
400m→読める
450m→画数が多いと誤読する
500m→画数が多いと困難
やはり口径の関係か、曇天や雨天は若干厳しい。
[結論]
『交差点名や青看板の確認』という目的だけで双眼鏡などを携帯するのは
・運搬するのに必要な体力
・取り扱いの手間
・購入費
・節約できる時間
などを考えると、利点が少ない
実測で漢字も含めて判読可能距離は
12倍で1100m,6倍で550m
という感じで比例する結果が出ているので、ざっくり計算して
倍率が+1倍される毎に約91m追加
くらいになる感じ。
そうなると
Kenkoのギャラリーアイ 4倍(53g)
という低倍率の単眼鏡でも
・360mくらい先が視認可
・(判読距離360m−肉眼距離200m)÷分速67m=約2分23秒/片道
往復で×2倍なので、4倍で最大約5分節約可能
ということになるので
装備の重さと節約可能な距離
という視点で考えると、4倍は効率が良い…かも?
手ぶれの問題はありますが、4倍ならそこまで問題ではないでしょうし。
※6倍単眼鏡で手ぶれ補正機能なしだと長距離の文字の判読はやや難しい。
【現地実用評価】
『双眼鏡』『単眼鏡』というよりは『距離計』というのが予想外に実用的。
Googleマップの音声ナビを使用する場合、徒歩モードで
km単位はkm未満切り捨て
百m単位は十単位切り捨て
百m未満はm単位
になるため、GPSが
「51m先、右方向です」
と案内した際、50mほど先の右側に道があるか?
位置ずれしていないか?ということの確認アイテムとして。
また「右方向」「左方向」という表現だけでなく「北東方向に」のような表現がされることもあるため、ボールコンパスがあると より効率的かも?
純粋に装備としての『重さ』と、それによって節約される『歩行時間』を考慮すると4倍程度の単眼鏡。
GPSの検算的な装備も兼ねて、レーザー距離計。
双眼鏡は現地で実際に持ってみて、個人的な印象としては
・単眼鏡,レーザー距離計で行える『裸眼の片目で凡その目標物の位置を確認しながら向ける』という動作ができない。
・ポケットに入れるには大きく、かといって首から提げていると不審者にみえる
という点から、運用には若干厳しいかな、という印象。
ポケットに入る程度の小型の8倍双眼鏡くらいが現実的かな、と。
位置情報確認のための主な目標物として
・バス停
・電柱などの住所表示
などがが該当するものの、民家の前にあったりする場合もあるため、側から見ると
『民家を覗き込む、または何かしらの目的を持って観察してる不審者』
のように見える…。
事情をわかっている=お遍路の方向シールの存在を知ってる
という人であれば
「遍路道のシールを探しているのだろうな」
と思うでしょうけれども。
お遍路さんという存在自体は知っていても、その詳しい実情を知らない,全く興味がない地元の人からは
『怪しまれない様にお遍路さんの格好をしている不審者』
と思われそうだなぁ、と。
都会的な感覚、他所者的な視点、とか言われたらそれまでですが…。
【余談】
田植えの時期、田んぼの近くの道には、ヘビが結構います。
水流のない(もしくは緩やかな)水辺がある=カエルの産卵場所
→カエルがいる=カエルを捕食する生き物(ヘビなど)もいる
という理由からです。
[事例]
道幅1mくらいの農道の真ん中にヘビの存在が確認できました。
動いていないように見えるため、死んでいるのかもしれません。
ヘビを避けて迂回すると数百m戻り、km単位で迂回する必要があります。
[選択肢]
・引き返し、迂回する
・全力で走り抜ける
・ゆっくりと近づいて生死を確認して判断する
・小石などを近くに投げて反応を見る
ここに『双眼鏡』または『単眼鏡』を持っている場合は
・その場からヘビの生死を確認する
という選択肢が増えます。
迂回以外は『全力で走り抜ける』しかないので、わざわざ確認しなくても…
といえばそれまでなのですが
『生きているかどうか不明なヘビの側』
を走り抜ける、のと
『高確率で死んでいるヘビの側』
を走り抜ける、のでは気持ち的に…(・ω・`)
とか考えると、軽い小型のものなら持って行っても良いんじゃないかな、と思わなくもないです。
ただ、双眼鏡などを使用するとヘビの生死に関係なく、ヘビをアップで観ることになる点にも注意。
そういう意味では、暗かったり、不鮮明だったりする小口径の単眼鏡とかはアリ…かも?
このあたりはお遍路に行く季節,ヘビ嫌いの度合い,体力などにもよるかと思いますが(´-ω-`)