これまで『老い楽茶碗』のブログ冒頭で少し
触れてきた家の新築過程を独立テーマとして
報告することにします。
第一回目は地盤調査。家を建てるにあたって
最も重要な要素は、建設予定地の地盤だ。
本来であれば、土地購入前に周辺地盤情報を
調べるべきでした。周辺環境を重視し過ぎて、
60年以上にわたって木造家屋が立ってきた事
で油断があった。因みに明治期の古地図では
田や桑畑のエリアで、軟弱地盤であることが
想定されたが、地盤調査に立ち会ってそれを
目の当たりにすることになった。

調査方法は、スウェーデン式サウンディング
(SWS)試験と呼ばれ、戸建住宅の地盤調査では
最も普及している比較的安価な簡易手法だ。
現在JIS改正で、スクリューウエイト貫入試験
に名称変更された。現地では地盤硬さの指標
(N値)は正確にはわからないが、収集データを
もとに分析することで、各調査ポイント毎に
地盤の深度に応じた強度(N値)が算出される。
調査ポイントは、建築面の四隅と対角線交点
の5ヵ所、作業者:1人、作業時間:2.5H余にて、
調査は完了した。

画像1は北東方向から見た敷地、画像2は南東
方向から見た敷地で、梅雨入り前に2回草取り
して除草剤を散布したものの、広範囲に草が
茂っていた。
画像3はSWS試験機の上部で、白線枠は可動部、
左側にはモータ、右側には荷重用錘フックが
設けられ、縦の支柱に沿って下がっていく。
画像4はSWS試験機の下部で、白線枠はロッド
(鉄の棒)の先端、スクリューポイント(画像5)
が付けられ、ロッドは深度に従って順次端に
切られたネジにてロッドを継ぎ足し延長する。
操作ボタンやモニタが付いた黄色のボックス
がコントローラだ。

画像6はSWS試験機の全体像で、ロッドを地面
に突き刺す前(初期位置)、画像7は可動部が
中ほどで、その左側に錘が掛けられている。
画像8は最下部に達して、ロッドを継ぎ足した
状態。ロッドの締めを解き可動部は初期位置
へ戻る。この繰り返しでロッドは地中へ貫入
していく。荷重のみで貫入しないと、ロッド
を自動的に回転させて貫入する。貫入速度は
不均一で、荷重貫入と回転貫入が繰り返され、
5ヵ所全てで5m前後から回転貫入のみで進む。
その貫入も硬い層(支持地盤)に至ると止まる。
1ヵ所当たりの計測時間は、14~16分だった。

試験機コントローラからスマホへデータ転送
(Bluetooth?)でき、深度に対する貫入操作の
状況が色分け表示されることで、硬軟の地層
状態の概要が調査ヵ所横並びで比較できる。
ここで重要な点は、多少のズレがあっても、
地層色に大きな乱れがなく均一であることが
建設には適している。本調査ではほぼ良好。
支持地盤に至るまでの深度は、8~9.6mで、
地中2mぐらいでのサンプリングで、水分過多
が確かめられた。ざっくり云うと、0~2mは
盛土、2~5mは有機質土、5m以降は粘性土と
思われる。何れにしても、適切な地盤改良が
不可欠で、予算オーバーは回避し難いだろう。