コトノハ通信  カウンセラーの日々の想い

コトノハ通信  カウンセラーの日々の想い

吉祥寺で女性専門のカウンセリングルームを開いています。
 日々のこと、好きな映画、芝居、文楽、そして猫の話など思いつくまま綴ります。

 

久しぶりに読んだ絵本です。イラストレーター坂本千明さんのすばらしい版画と文章による作品です。

 「僕」は若い黒猫。うんと小さいときに暖かくて優しい誰かと一緒にいた記憶はあるけれどいつの間にかひとりで町をさまよう生活になってた。昼間は誰にも見つからないようにして寝てる。夜には月を見上げながら一人で散歩。食べるものがみつかれば食べて、自由気ままな生活。
小さいときに暖かくて優しい誰かに言われたとおり、声を出さずひっそりと暮らしてる。そうすれば安全だからね。

「ぼく」は道端の石ころを観て思います。僕はこの石ころとおんなじだ。誰にも気付かれず、誰とも話さない。自由で気ままで安全だ。

 ある日ふと入った家の庭。
上の方から大きなやさしい声がした。「前にいた子のだけど良かったら食べなさい」そしてお皿に残飯ではないごはんが入ってる。用心しながらもいそいで食べた。また声がした。「おいしかった?またおいで」おそるおそる次の日も行くとまたお皿にご飯。「おかわりは?」なんて言って空のお皿にまたご飯。
 
 どうやらこの家では僕のためのご飯があって僕のための寝床もあるらしい。大きな優しい声の持ち主は大きな優しい手も持っていて僕をなでてくれる。なんだかほっとするなあ。
 そう思ったら僕の中からたくさんの声がわき上がってきた!

「おなか空いたよ」「もっと食べたいよ」「一人で寂しいよ」「一人は怖いよ」勢いよく出てきた声に自分でもびっくり、僕はこんなことを思っていたんだ。僕はこんなに大きな声が出るんだ。

 坂本さんの版画作品は路上で生活している猫のひょうひょうとした表情仕草、自分の場所、受け入れてくれるヒトを得たと知った時に突き上げてくる感情、すっかり家猫になってからののんびりした感じ。それらが多彩に表現されていていつまでも観ていて飽きることがありません。

 精神科医佐々木正美氏は「暖かく自分を受け入れてくれて存在を認めてもらえる。こういう経験がなかったら本当の意味で他人に心を開くことはできませんこの心を開く、と言う過程は私たちの心が崩壊することを防ぐ方向に発達していくということです」と言っています。

 この作品の「僕」は受け入れてもらえる場を得て自分が石ころでなくなったと感じます。すっかり安心した「僕」の最後の表情、せりふにはほのぼのします。
 
 猫も人間も同じですね、本当に安心できるヒト、場所がなければ心は開けないし、心を閉ざし言葉を発しなければ自分で自分の気持ちにも気づけないまま。

自分の気持ちを知るということ   「僕は石ころ」

久しぶりに読んだ絵本です。イラストレーター坂本千明さんのすばらしい版画と文章による作品です。

 「僕」は若い黒猫。うんと小さいときに暖かくて優しい誰かと一緒にいた記憶はあるけれどいつの間にかひとりで町をさまよう生活になってた。昼間は誰にも見つからないようにして寝てる。夜には月を見上げながらひとりで散歩。食べるものがみつかれば食べて、自由気ままな生活。
小さいときに一緒にいた、暖かくて大きくて優しい誰かに言われたとおり、声を出さずひっそりと暮らしてる。そうすれば安全だからね。

「ぼく」は道端の石ころを観て思います。僕はこの石ころとおんなじだ。誰にも気付かれず、誰とも話さない。自由で気ままで安全だ。

 ある日ふと入った家の庭。
上の方から大きなやさしい声がした。「前にいた子のだけど良かったら食べなさい」そしてお皿に残飯ではないごはんが入ってる。用心しながらもいそいで食べた。また声がした。「おいしかった?またおいで」おそるおそる次の日も行くとまたお皿にご飯。「おかわりは?」なんて言って空のお皿にまたご飯。
 
 どうやらこの家では僕のためのご飯があって僕のための寝床もあるらしい。大きな優しい声の持ち主は大きな優しい手も持っていて僕をなでてくれる。なんだかほっとするなあ。
 そう思ったら僕の中からたくさんの声がわき上がってきた!

「おなか空いたよ」「もっと食べたいよ」「一人で寂しいよ」「一人は怖いよ」勢いよく出てきた声に自分でもびっくり、僕はこんなことを思っていたんだ。僕はこんなに大きな声が出るんだ。

 坂本さんの版画作品は路上で生活している猫のひょうひょうとした表情仕草、自分の場所、受け入れてくれるヒトを得たと知った時に突き上げてくる感情、すっかり家猫になってからののんびりした感じ。それらが多彩に表現されていていつまでも観ていて飽きることがありません。

 精神科医佐々木正美氏は「暖かく自分を受け入れてくれて存在を認めてもらえる。こういう経験がなかったら本当の意味で他人に心を開くことはできませんこの心を開く、と言う過程は私たちの心が崩壊することを防ぐ方向に発達していくということです」と言っています。

 この作品の「僕」は受け入れてもらえる場を得て自分が石ころでなくなったと感じます。すっかり安心した「僕」の最後の表情、せりふにはほのぼの、心が和みます。
 
 猫も人間も同じですね、本当に安心できるヒト、場所がなければ心は開けないし、心を閉ざし言葉を発しなければ自分で自分の気持ちにも気づけないままなのですね。

とても素敵な作品です。